第35話 超絶美少女と海

 琴美が言っていた英彦たちを含む四人で海に行くという日がやってきた。

 俺たちは電車で1時間のところにある海にやってきていた。


「海だー!!」


 砂浜に到着して琴美が子供のようにはしゃいでいる。

 砂浜にはたくさんのビーチパラソルが設置されており、家族連れやカップルもたくさんいた。


「じゃあ、私たちは着替えてくるねー!」

「了解」


 琴美たちを見送って、俺も英彦と一緒に更衣室に向かった。


「なあ、女神様と何かあったらしいな」


 英彦がニヤニヤとしなから言った。この様子は絶対に俺たちのことを知っている。また、琴美のやつアリスに言ったな。


「まぁな」

「それにしてもやっとかー! よかったな!」

「うっせえ」


 俺は恥ずかしさを隠すように早足で歩いた。


「いやー。海に来る前に付き合ってくれてよかったよ。これで、気を使わなくてよくなった。楽しもうな! ダブルデート!」

「お前、この状況楽しんでるだろ」

「そりゃあな! 夏だぜ! 海だぜ! 夏休み最終日だぜ! 楽しまないでどうする!」


 まあ、その気持ちには同感だ。 

 せっかく海にやってきてるのに楽しまないのはもったいないな。俺も内心テンション上がっていた。


「まあ、早く着替えてようぜ」

「そうだな」


 俺たちは男子の更衣室に向かって着替えを済ませて琴美たちを待っていた。


「お待たせ〜」


 しばらく待ったところで水着姿の琴美たちがやってきた。

 

「おー! 眼福だな!」


 龍彦が自分の彼女(アリス)の水着姿をみ言った。アリスは黒色のシンプルで大人っぽい水着を着ていた。しっかりと引き締まったウエストなのでその上にあるものが際立っていた。


「おい、俺の彼女に見惚れてるなよ〜!」

 

 英彦は笑いながら肘で俺の横腹を突いてきた。

 

「蒼月君! 私じゃなくてアリスのことを見るの! 」

「は、違うから」


 英彦の言葉を聞いた琴美が俺にずいっと近づいてくる。しょうがないだろ、こんなに可愛い彼女を直視できるわけがない。俺は琴美から顔を逸らした。

 琴美はプールに行った時とは違う水着を着ていた。

 

 アリスとは対照的な白色のレースのついた可愛らしい水着だった、プールの時にも思ったが琴美もアリスに負けず劣らずのスタイルをしている。

 なにも、運動していないはずなのに、ちゃんと引き締まったウエストも、豊満な胸も、形のいいお尻も、いい勝負をしていた。いや、彼氏目からみて琴美の方が魅力的だと思った。


「アリスの水着姿を見る前に、私に何か言うことがあるんじゃないの?」


 琴美が不満そうな顔をしてさらに距離を縮めてくる。


「それは・・・・・・可愛いです・・・・・・」

「うん! ありがと!」

 

 琴美はそれで満足したのかアリスの隣に戻っていった。


「全く、見せつけてくれるね〜。見てみろよ周りの反応を」


 英彦にそう言われて俺は周りを見渡した。近くにいた男どもが琴美たちの水着姿に羨望の視線を送っていた。

 

「連れてくるんじゃなかった・・・・・・」

「あはは、なんだ嫉妬か?」

「そうかもな」

「気にすることないだろ、女神様はお前のことしか目に入ってねぇよ。ほら呼んでるぞ」

「蒼月君〜。早く海に入ろ〜!」


 いつの間にか琴美たちは水際まで行っていて俺たちに手を振っていた。


「な、ほら行くぞ!」

「そうだな」


 英彦に背中をポンと叩かれ俺たちは琴美たちの元に向かった。絶対に琴美から離れないようにしないと。

 俺はそう決意して海に入った。

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