素敵な上司のお祝いに 3ー③
ジュリアは表情を変えず、ゆっくりと頷いた。
「はい。仮想通貨が世を
そうなった時、勝者の
ジュリアの言葉に、ルッジェリは、にやりと
「そういうことだ。そして我々がこのゲームを勝ち上がるのに、必要なカードがある」
「承知しています」
「石油屋をやり込める世界システムのカギも、奴が持っているんだろう?」
「ええ」
「だったら、
「巣穴に籠もったトビネズミを、私の鼻で嗅ぎ当てろと? 残念ながら、彼は極めて慎重な性格です。まるで
「そこが分からん。ローレンという男は冷血の天才なのだろう。なのに、我々が提示する条件交渉では奴を落とせないのだと君は言う。
確かに、バチカンの二人の神父は有能で愉快ではあったが、だからといって、彼らを
ルッジェリは疑わしげに、ジュリアの瞳を
ジュリアは目を細め、ふふっ、と笑った。
「そうですよ、ルッジェリ。一目瞭然なのです。あの神父達は、ローレンにとって、他の人間と違うのです。そうですねえ……お友達、と言えばいいのでしょうか」
「バチカンの囚人と神父がか? ますます分からん。とにかく、君を信じて待つには待つが、時間は余りないぞ」
「存じています」
「間に合わなかった時の覚悟は出来ているな?」
「はい。それはもう。なんなりと」
ふん、とルッジェリは鼻を鳴らした。
「よし、この話はここまでだ。そろそろ
ルッジェリは最後のシャンパンを空けると、足を組んで座りなおした。
「はい。今宵は貴方に、素敵なグルメを堪能していただきます」
「グルメ? なんだ、ありきたりな余興だな」
ルッジェリは
「ただのグルメではありません。まだこの世で誰も食べたことのない、
「ほうっ。いいだろう。始めてくれ」
「承知しました」
ジュリアは手元にあった呼び鈴を、優雅に鳴らした。
続く
◆次の公開は9月10日の予定です。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます