第5話 ブロークン
「なんにもわからねぇ…」
タバコの吸い殻だけが増えていく。
「アイコスってなんだ?」
吐き捨てるようにタバコを口から離し、灰皿を潰さんばかりに力任せに吸い殻を押し付けて火を消す。
苛立っている。
「なんなんだ、あの鑑識は!!」
交番の壁を蹴飛ばして、田舎町の空気を吸い込む。
話は4時間前に戻る。
「本件は極秘捜査となった、報道にも規制が掛かる、ウチからはオマエが所轄へ行け、解ったな?相良」
そのまま新幹線に乗って、2時間半、N県K市に飛ばされた。
所轄の警察署に向かうと、ロクに調書も取れてない、詳しい話は交番勤務の巡査に聞いてくれと言われて、通報を受けた交番へ出向いたのだが、ここでもロクな話は聞けない。
遺体なんて滅多にお目にかからない平和な田舎だ無理もないのかもしれない。
解ったのは、第一発見者の小学生、名前は『桜井
(それにしても…時間軸が無いとは、どういうことだ?鑑識や科捜研の発言とは思えない)
思い返すと腹が立ってくる。
こっちの警察は、捜査権が無いと解れば、興味すら示さない。
まるで独りで調べて来いと言われたみたいだ。
実際、一人だし。
というわけで交番待機していたのだが…。
「相良警部補、とりあえず案内役兼ねてパトカー1台回すそうです」
巡査がヘラッと笑って外でタバコを吸っていた俺に声を掛けてきた。
「そう、ありがとさん」
15分ほどして、ミニパトが到着した。
「相良警部補ですね、案内と運転手言いつかりました、花田と言います」
降りて敬礼したのは制服のノリも落ちてないような婦警だった。
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