第35話 12月25日(日)自室

(何を確認したんだ?)

 普段、何も喋らないだけに気になる。

(わざわざ念を押してきた…その裏は?)

 知らないことにするんだな。

 という確認なんだろうか、考え過ぎかもしれないけど、もし祖父の日記を父も見ていたらと考えると、あの池についてなにか知っているのかもしれない。

 昔、同じような失踪事件があったのかもしれない。

 まさか、父親が誰かを?


 考えれば考えるほど、不信感が増していく。


 もし、この日記を読んでいたとして、あの池の秘密を知っていたとして、それでも、この日記を処分しなかったのはなぜだ?

 関係ないからだ。

 ただの日記だと思ったから、それ以前に読んですらいないのかもしれない。


 楽観的だろうか?

 それならそれでいい。

 でも、最悪のパターンは考えておかなければならない。

 そのうえで、父親は自分にとって敵か味方か判断しなければならない時がくるかもしれないのだ。

(味方はいらない…敵以上に必要ない)


 必要なのは正しい知識と情報。

 もし父親が池についてなにか知っているのなら…その知識は得ておかなければならない。

 偶然知った僕の知識は危ういのだ。

 知っていることは、にえと呼ばれる橋渡し役とコンタクトを取れれば魔鏡の力を使うことができるということ。

 逆に言えば、それ以上は知らないに等しい。


『贄』とは?

『魔鏡』とは?

 その力の真意は?


 わかるのは、魔鏡に写された者は、この世界にはコピーしか残らないということだ。

 本体は何処へ行く?

 別の土地に飛ばされるのか?

『アリス』はなぜ『贄』となったのだろう…。

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