第42話 12月27日(火)

 朝から連絡網に従って電話が来た。

 僕の次は倉部さんだ。

「澤田くんが昨日から家に帰ってない、なにか知っている人がいれば学校へ連絡するように」

 地元の消防団も捜索している。

 市役所の広報でも呼びかけが続いている。

 今夜はPTAも開かれ、何組かに別れて探すらしい。


 面白く転がってきた。

 大騒ぎになる…それも地元だけの小規模な範囲で、このくらいが丁度いい。

 遊ぶには丁度いい範囲なんだ。

 あの刑事さえいなければ、もっと楽しくなるはずだったのに…。

 出来れば澤田の目の前で、アリスを見せてから消えてもらいたかった、僕の目の前で…。

(見たかったのに…)

 あの刑事が何か気になって池には行かなかった、澤田は行ったのに、誘い出した意味が無かったな。

 どうせ冬休みなんて会うことも無いときに消さなくてもよかった。

 澤田のおかげで、ひとつわかった。

 アリスが関わらないとコピーは残らないようだ。

 祖父の日記には書かれていないので知りようもなかったが、澤田は家出したことになっている。

 ということは、コピーはこっちに残らなかったということだ。

 たぶん、アリスが関係しているはず。

 澤田は何処かに移動しただけだ、きっと。

 運が良ければ生きてるかもしれない。


 やはり、色々試さないとならない。

 中途半端に知ることは、何も知らないより性質が悪い。


 僕は考えていた。

(なんとか、あの刑事で試せないものだろうか…)


 他のヤツじゃ今はダメだ。

 あの刑事は、僕のことを怪しんでいる。


 今は我慢だ…いつまでもいないはずだ。

 澤田の件とアリスは結びつかない。

 実際、関係ないのだから…。

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