第120話 ピクチャー
「相良さん、あれからどうなさってたんですか?」
「ん?あのあとのこと…うん…まぁそれなりにね」
「それなり…ですか?」
「うん、それなり…」
桜井敦が池に飛び込んだ後、相良は本庁へ呼び戻された。
元々、アリス・シーカーの捜査に送られていたのだが、一向に報告は上がらず、あまつさえ、捜査対象でもない一般人に張り付いて、桜井崇は自殺、息子は叔父を殺して逃走、被疑者を目の前にしながら刺されて負傷し、取り逃がすという失態。
相良は、すぐ本庁に呼び戻された。
その後、相良は、あるがままを報告した…本人もどうなるかよく解ったうえで。
魔鏡だの腐らない遺体だのといったおよそ正気とは思えない相良の言動、そして焼失したアリス・シーカーの遺体、事実と虚構を突きつけられた上層部は、一連の操作を打ちきり、遺体は腐敗が激しく本国返却は不可能として、アリス・シーカー事件は封印された。
当然、相良の口封じも兼ねて、相良は第一線を外され、資料整理と後輩育成のため教育係を命じられ、表舞台には2度と這い上がれないように蓋をされたまま、今日に至る。
とはいえ、資料整理という名目で過去の事件を遡ることはできる、相良は有り余る時間で桜井に関連すると思われる事件を探し続けた。
成果はあまりなかったが…。
結局、こだわり続けて20年を費やしたわけだ。
一方、花田は相良とは対照的に希望部署へ転属させられた。
交通課に戻すという線で打診したのだが、花田は刑事課へを希望した…。
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