第26話 12月25日(日)

 終業式が終わって、ほっとした。

 学校へ行かなくていい。

 なぜ、学校へ行くのだろう?

 その行動の意味が理解できない。

 通学路があって、そこの安全を確保して、子供を1か所に集めてまで何をしたいのだろう?

 一定のレベルに揃えられた社会人を育成して何が変わるんだろう。

 もうずっと…寺子屋の時代からこの世界は変わってないんじゃないだろうか。

 それに気づかせるために学校ってあるのだろうか?

 もしそうなら…僕は卒業でもいい。

 大分前に、あの建物には何も無いと感じているのだから。

 気付けないバカだけ、ゾロゾロと通ってればいい。


 今日は澤田が消える日だったのに…その予定が狂ってしまった。

 軽率だった。

 あの刑事が…。

 神社には近づくべきでは無かった。

 ここで僕が、いや、アソコでなにかが起きれば、あの刑事だけは僕への疑いを、より深めてくる。

 あの刑事は、あの男だけは僕の敵だ。

 必ず、また僕の前に現れる…偶然を装って…あの目で僕を見る。

 腹が立つよ…イライラする。

(アイツは僕の世界にいらない)


 しかし…マズイことになった。

 もしかしたら、澤田とあの刑事が鉢合わせるかもしれない。

 それだけは避けたい。

 澤田はバカだから、得意気に話すだろう。

 僕のことを…アリスの髪の毛のことを…。

 ソレが何なのか解らないだろうが、僕がアリスの髪の毛を持っているという事実は隠さなければならない。

 軽率だった。

 澤田のバカなんかに振り回されて、つい急いでしまった。


 あの刑事がウロウロしているうちは、大人しくしていなければならなかった。

(澤田を止めるか…いや、それも…どうする…)

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