第69話 グリル

「特ダネ…刑事が使う言葉じゃないな~」

「そうなんですか?」

「でなに?特ダネって」

「神社の歴史、解りましたよ」

「天見の由来かい?」

「それだけじゃないですよ」

「だから特ダネか…」

「はい…桜井久実、崇の妹です」

「敦の叔母…だね」

 花田は興奮気味に久実の話を相良に伝えた。

 身振り手振りを交えながら話し終える頃、相良の前にデザートが運ばれていた。

「なんだかな~」

「繋がるでしょ」

「オカルトだね、どうも…苦手だよ、そういうのさ」

 スプーンを口に咥えながら頭をガリガリと掻く相良。

「ソレ…美味しいですか?」

「ん、コレ?まぁ洋風蜜豆というか…美味いよ」

「頼もうかな、太るかな」

「で?」

「頼みます」

「そうじゃなくてさ、実際、マユツバ部分を差っ引いてもだ…まぁ、アリス・シーカーのような事例は昔からあったということだろ」

「そうですね」

「姥捨て、デンデラか、嫌な話だね、日本人ってのは、どこか残酷な民族だよな」

「そうなんですか?」

「そう思えちゃう、歴史が物語ってるじゃない、死に対する感覚が他と違うのかもな~」

「それは解りませんが、魔鏡ってあるんですかね?」

「そればっかりはね…掘ってみなくちゃ解らんよ」

「掘ったら腐らない死体が出てくるんですよ」

「それな…どう思う?」

「へっ?」

「ナントカ巫女は砂になったんだろ、永遠じゃないわけじゃない…腐らない…砂になる…トリガーは何だと思う?」

「トリガー、きっかけがあるってことですか?」

「あるさ、魔鏡は、ある条件下で発動するんだと思うよ…今も」

(それを敦は知っていると考えるべきだろうな~)

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