第73話 ウォーキートーキー

「誰も居ないね~」

「まぁ…名ばかりの神社ですからね」

「曰くつきの神社だからじゃないの?」

「曰くって…バチ当たりますよ」

「宇宙人の?」

「……可能性は否定できませんね」

「池に吸い込まれるとかな~」

「ソレ、バチなんですか?」

「さぁね~罰かもな…」

「なんの?」

「ん~、行き過ぎた好奇心…かな」

「サッパリ解りませんが」


 相良は薄く積もった雪をシャクッ…シャクッと踏みつけて、池に向かって歩いて行く。

 池のほとりで、ヒョイッと石を投げ込む。

 丸い波紋が池に広がる。

「どうしたんです?いじけてるみたいですよ」

「う~ん、鏡ってさ、歪むと使い物にならないじゃない」

「ですね」

 相良の真似をして池に石を投げ込む花田。

「おかしいと思ってさ…」

「なにがです?」

「鏡って思ってるけど、違うんじゃないかと思ってね…」

「えっ?」

「だってさ、地中に埋めて池まで造って、まだ機能するんだぜ…鏡じゃないよ埋めた時点で反射は得られんでしょ」

「確かに、変ですね」

「だろ、そもそも機能を殺すために埋めたんじゃなくてさ…弱める為に池にしたんじゃないかな~と思ってさ」

「弱める?ですか?」

「そう考えると辻褄も合い始めるんだ…いまだに続く失踪もさ」

「澤田くんのことですね」

「あぁ…敦が試しているってのもさ」

「弱めるって言いましたよね」

「ん、うん。俺はさ…この下に埋まっているものは相当デカい物だと思ってるんだ」

「この下」

 花田が足元を見る。

「空からさ…落ちてきた鏡のようなナニカ、手に負えなくなってさ、埋めたんだよ…きっと、反射を歪めるために水を張ってさ」

「この下にはなにが?」

「これはさらに推測なんだけどさ…」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る