第140話 COLUMNS

「そうはならないんだよ…きっとさ」

「澤田くん、いや、さんも?」

「さあな、でも桜井敦がソレを知る術は無いと思うね、でも接触には媒体が必要なことは知っていたようだ」

「媒体?」

「アリス・シーカーのDNA…まぁ髪の毛だろうな…手っ取り早く手に入れやすかったはずだ、カッターでも持ってれば、いやアイツは彫刻刀か」

 相良が自分のふとももを擦る。

「傷跡残ってるんですか?」

「あぁ、消えないな…だがソレでいい、風呂に入る度に目に入ってね、いやでも思い出すよ、あの夜の事」

「撃てば良かった?」

「さぁな…戸惑ったのは俺の方だ」

 窓の外をチラっと見る相良、向かいの本屋から、2人を伺う男、姿を隠そうとはしない、なんなら会釈でもしてきそうな感じだ。

「目立たないようで、他人と異なる恰好か…」

 相良がタバコを深く吸い込んで呟く。

「それが無言の警告ってヤツですよね」

「そうだな、監視されてるんですよ~っていう圧力」

「なんの目的で?」

「話してくれれば、辞めますよってことかな」

「話すこと無いんですけどね…」

「まぁね、全部片付いたら話すさ」

「なにを?なんてですか?」

「壊しちゃったってさ」

 花田がクスッと笑う。


「で、アリス・シーカーの髪の毛を持ってる…持っていた桜井敦から澤田さんは髪の毛を渡されて、20年を超えたと」

「あぁ、髪の毛採取できたんですか?」

「いや…推測だよ、きっと時を超えた時点で消滅しただろうね、死体はとっくに灰になったわけだし、髪の毛1本も残ってないはずだよ」

「桜井敦は、飛び越えられると思って池に飛び込んだ?」

「ん、そこさ…崇の遺体を見たことで確信したんだよ」


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