第135話 ボトム
「時効が無くなったこと知らないのでしょうか桜井敦は」
「さぁ、あの時点では知らないだろうけどね…今はどうかな?」
「別人になっている?」
「おそらく、偽名かなんかで暮らしているか…あるいは匿われているか」
「匿う?実家ですか?」
「正確には本家かな」
「魔鏡を知る誰かの庇護下に置かれている」
「そう考えるのが妥当だろうな~」
「実家に戻れば警察が…」
「そうオマエさんが気づくだろ?」
「そうですね…そんな感じは無かったです」
「つまり、アイツが頼ったのは…桜井久美だよ」
「叔母の、でも久美は敦を嫌っています」
「あぁ、だがね崇の遺体を保管しているのは間違いなく久美だ」
「それがなにか?」
「俺が、ココに敦がいると確信したのは、澤田という記憶障害の男が保護されたという情報からだ」
「あの行方不明だった」
「あれは敦の仕業さ、つまり魔鏡が精巧な装置ならば、敦は2週間前にココに来ている」
「それなんですけど…なぜ、それが解っていて来た瞬間を押さえなかったんですか?」
「あぁ…崇…オヤジが迎えに来ているはずだから」
「はっ?」
「崇は、そのさらに数日前にココに戻ってきている」
「はい?」
「あの装置の滞在限界は20年なんだ…崇は強制的に排除されている」
「そうだとしてもなぜ?」
「俺の目的は魔鏡の破壊でもある…崇に頼まれているんでね、つまり崇が排除されて、敦が出て来ないと破壊できないでしょ」
「どうして?」
「出口…無くなっちゃったら、どうなるか解らないじゃない、今以上に混乱したら手が出せなくなる」
「たとえば?」
「全然違う出口に出ちゃったりさ…困るじゃない」
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