第49話 サイレント

「埃っぽい…ってこたぁないな…不思議と」

「そうですね、定期的に掃除していたとか?」

「にしては汚い、定期的に誰かが出入りしていた…が正解だろうね」

「管理人さんでしょうか?」

「違うよ…」

 スマホのライトで薄暗い床を照らすと小さな靴の足跡。

「子供…か女だ」

「桜井敦」

「決めつけないよ…まださ」

 いくつか木箱を開けてみる花田

「何してるの?」

「へっ?何って物証探し…というか、なんか捜査に役立ちそうなものを…」

「で、何かありそうかい?」

「いや~お祭りの飾りとか…一般的な法具というか…」

「無駄だよ…桜井敦が出入りしてたんだろ?あの小僧が持ち出してるよ関係ありそうなものは全て」

「決めつけてるじゃないですか!!」

「他に誰がいるの?」


「当たるべきはさ、合鍵だよ…」

「はぁ」

「帰ろ…寒いよここ」


「花田巡査、俺、民宿に送ったらさ、合鍵作れそうなとこ当たっといてよ、その鍵を作ってると思うんだ」

「はい…頼まれた失踪事件の資料というかデータ、後部シートに置いてあります」

「そう、助かるよ」

 相良はプリントアウトされた紙をペラペラとめくり、ポイッとシートに放り投げる。

「えっ?」

「なに?見たよ」

「それだけですか?」

「言ったじゃない件数だけあればいい」

「そうですね、で?」

 花田は不服そうだ。

「以上だよ…田舎町でさ、行方知れずの件数が…遡れば、その特異性が際立つんじゃないか」

「少なくはないですよね…確かに…単純に家出だけじゃない。突然死の発見場所は、あの池だ」

「遺体があるから事件性が無いと判断されてるんだろうけどさ…」

「合鍵と…その後さ火葬場当たってよ」

「火葬場?」

「何件も無いだろ?」

「そうですけど…なぜですか?」

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