第112話 1月5日(木)夕刻2

「割るですって?」

「崇が持っていたはずだ、ソレを探しに来た、敦、お前を見て、お前が持っていないことは解った、話はそれだけだ」

「大叔父様…僕は、割らせない…アナタより早く魔鏡を破壊するソレを探して見せる」

「敦!!」

「なんだ?」

「貴様!! 魔鏡を使ったな…」

「あぁ…幾度か使いました、ソレがなにか?」

「いつ知った?」

「さぁ、かなり前ですよ…偶然にね、アリスに会うより、もっと前です」

「オマエ…知ってなお…」

「少し疲れたんじゃありませんか?」

 敦は老人の顔を思いっきり蹴り上げた。

「グッ!? 敦?」

「しばらく寝てろ…病院で、話す気が無いなら用事もない」

 敦は老人を喉を幾度も殴り続けた。

 血を吐いて、血が出なくなるまで殴り、時には首を締め付けた。

「そのうち誰かが救急車を呼んでくれるさ、じゃあね、老害は駆除すべきってのが僕の考え方だ」

 敦は、すでに意識が無い老人を踏みつけて部屋を出た。

 グニッとした嫌な感触が足の裏に残る。

(気持ち悪ぃ…)

「話は終わったの敦」

 母親が声を掛けてきた

「あぁ」

 一言だけ返して、僕は外へ出た。

 家の中のバタバタした感じから解放されたようで心がスッと楽になる。

(やっぱり独りがいい…みんな邪魔だな)

 静かに…ただ静かに生きていたい。

 誰とも関わらずに生きることはできない、だからといって、その摩擦を自ら上げる必要はない。

 多くを知る必要などないのかもしれない。

 放り込めば消える、それだけ解っていればいいのかもしれない。

 知ろうとする好奇心が、この摩擦を生んだのだ。

(僕はまだ子供なんだ…これは成長するための過程に過ぎない)


 薄暗い街をフラフラとアテも無く歩く、結局行き着いたのは…。

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