第45話 オカルト

「過去形ですか?」

「過去形だ、監察医…自殺したの」

「……えっ」

「アリス・シーカーの資料を廃棄して、データを削除して…そのまま飛び降りたんだそうだ」

「なぜ?」

「さぁ?」

「なんでデータを?」

「さぁ?」

「で…やる気がでたと」

「いや…やる気というか、桜井敦に興味があるのさ、ああいう性格でなければ、現場検証して帰ってるよ」

「その…時間軸って…どういうことですか?」

「ん、この世界に存在しない…視えてるだけだってことかな…知らなかったっけ?あの遺体…腐らないんだ、たぶん未だに死亡直後のまま」

「はい?」

「だから…捜査中にして、本国に返さないようにしてるんだな本庁は」

「あ~だから、相良さんがダラダラしてても催促すらされないと」

「そういうこと」

「相良さん、なんで、こんなオカルト担当することになったんです?」

「知りたい?」

「はい…まぁ6割くらいの興味で」

「教えない」


「オカルトですね~」

「まぁさ、この商売長いとさ、たまに報告書に書けないような事象にも出くわすんだよ実際」

「コレも、その範疇だと?」

「いや…超えてるな」


 民宿に戻って、とりあえず今まで解ったことだけ書き出して見る。

『腐らないアリス・シーカー』

『桜井家の日記』

『池にまつわる何件かの不可解事件』

 これ、捜査か?


 とりあえず、一番現実的なことから調べてみようと電話する相良。

「あ~花田巡査、過去のさ、この街の失踪事件と植物状態で発見された人、件数だけでいいから調べてくれる?遡れるだけでいいからさ…よろしく」

(俺は…オカルト的な方面から当たってみようか…)

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