第46話 シントウプリースト

(一度くらいは会ってみるか…)

 得るものは無いと思っている。

 登録によると、『小向こむかい 洋二ようじ』(35)。

 神社に住んでるわけでもないし、本籍はN県ですらない。

 現住所はK市だがアパート住まい、実際居るのだろうか?


「花田巡査、ピンポン押してきてくれる」

「はい…」

 花田は解っていた。

 今日は吹雪、相良は外に出るのが嫌なのだ。

「居たらどうします?」

「居たらどうしますって…居ない前提なの?居たら神社のこと聞いてみてよ適当に」

 相良の言う、適当とは『適した当たり』ではない、『テキトー』のほうだ。

「あ~コレだけは許可取っておいてくれる、境内を調べてもいいって許可」

「はい…」


 カンカンカン…と音を立てて階段を上がる花田、アパート2階202号室。

(なんで4部屋しかないのに…3桁使うんだろう部屋番号って?)

 相良の考えでは2階の2号室なら22でいいだろう、なんで真ん中に0が入るんだ?である。

 詰まる所、神社の境内を勝手に調べていい許可が欲しいだけ、ココから何か聞けるとは思っていない。

 40分ほどして花田が戻ってきた。

「居ました」

 運転席に座って

「あっ、タバコ吸いましたね!!」

「長いからさ~外で吸うよりいいでしょ」

「この車、灰皿無いんですけど」

「吸い殻…窓から」

「捨てたんですか?」

「いや…こう灰を落とそうとしたら、風で飛ばされたんだ捨てたわけではないよ」

「呆れた…子供の言い訳ですね」

「未成年はタバコ、ダメだよ、いい訳なら吸ってない言い訳をすべきだ」

「そういう意味ではありません、レベルの話です」

「風で飛ばされたってのは説得力があると思うけど」

 窓を指でコンコンと突く。

 外は先ほどより酷い天気だ。

「安全運転でお願い」


 車を走らせながら花田が口を開く

「あの神主さん、大学出たまではいいけども、奉職先が無くて、天見神社に奉職したみたいですね」

「伝手が無かったんだな~、神様の世界も就職難だね~奉職難か」

「まぁそんなわけで、神社については私たちの方が詳しいです。私、レクチャーしてきました」

「ご苦労さん…で、許可は頂いたの?」

「2つ返事で」

「充分だ」

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