第123話 密談

「相良警部補、アナタは現在、銃の保持を認められていませんね」

「当然だ、内勤中の内勤だよ俺は、そんな物騒な物必要ないんでね」

「そうですか…欲しくはありませんか?」

「銃が?いや、結構だ、もともと好きじゃないんでね」

「いえ、銃なんかよりもっと大きなチカラです」

「ふっ…公安さんは越権行動が当たり前だと思ってらっしゃる、そういうところが嫌いでね、俺達、警察ってのは法の番犬で充分なんだよ…」

「法の?私は国家の番犬のつもりでした」

「そこが勘違いなんだよ」

 相良がギリッと歯ぎしりをする。

「勘違いではありませんよ、現に私は政府の密命で動いています」

「政府…欲しいのは魔鏡か」

「そういうことです、話が早くて助かります」

「それ以外に心当たりがないものでね…でもさ、報告した以上のことは何も無いよ、残念だけどさ」

「本当にそうでしょうか?」

「違ったら?」

「こんなことになっていないのでは?」

「この仕事は気に入っているんだけどね」

「冗談でしょ、そんな人間ではないと思いましたが」

「どういうことでしょうね?解りませんな、買い被っているのか…それとも見くびられているのか…」

「値踏みしているのですよ、相良警部補」

「ほぉ~、で?おいくらほどで?」

「かなり高額で買い取りたい」

「言ったでしょ、コレ以上は何も出ませんよ」

 公安の男はフッと笑った。

「あなたは、隠している…そして、この件を自分で決着をつけるつもりでいる、違いますか?」

「さぁ」

「だとしたら…愚行です、我々に任せれば、警察のように中途半端な隠ぺいはしませんよ」

「我々?」

(政府のことか?それとも…別の?)

 相良は、目の前の男を計れずにいた。

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