第122話 暗躍
「では…この相良という刑事と接触します」
相良が閑職に回されて、4ヶ月が経とうとしていた。
毎日、パソコンの前で座るだけの退屈な日々、刺激を求めるような歳でもないと、それなりに受け入れて安穏とした生活を送っていた。
忘れようとしていたのかといえば、少しウソになる。
ただ、捜索に意味は無いことも知っていた、だから資料整理くらいしかできることはないのも事実なのだ。
(いずれ出会うさ…)
相良には漠然とした確信があった。
だから待つというスタンスで、現状を受け入れている。
そんな相良に横やりとも言える接触があった。
ほとんど、誰もやってこない資料室に突然の来訪者、『公安』の中でも存在すら怪しい課、警視庁にありながら政府直轄で管理されている特殊部署…ホントにあるとはね…。
「相良警部補、アナタにとっていい話かどうかは解りませんが…当課に来ませんか?」
「おいおい、俺は公安嫌いでね~」
「公安が嫌われるのは仕方ないことです…アナタの情報が欲しいのです」
「情報?なんの?公安さまに提出できるような大層な情報は持ってないつもりですが」
「あなたの報告書を拝見しました…魔鏡の、と言った方が早いのでしょうか?」
「あんなホラ話し、公安が興味もつとはね…いつから公安はオカルトに首を突っ込むようになったんです?」
「オカルト…なんですか?桜井敦…いや崇、アリス・シーカーの件は?」
「……さぁね…」
「我々が処理したのです、アリス・シーカーの件は、あなたとは別口で我々も動いていたのですよ、もっとも我々は、事後処理ですがね」
「どうりで…仕事してないのに呼び戻されないなとは思ってましたよ、俺をココに回したのも、アンタ達の差し金なのか?」
「さぁ…私は、アナタに接触せよと命令を受けているだけです」
「そう…」
(これだから嫌いなんだよ…公安の連中は…)
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