第15話 ライアー

「相良警部補…あの少年が嘘を?」

「ウソじゃないんじゃないかな~、ただ、まだ話してないことがありそうな気がしてね」

「隠してることがあるってことですか?」

「隠してるとは違うかな…言う必要が無いってこと」

「何をおっしゃっているのか理解しかねますが」

「うん、理解しなくていいよ、ただの勘だから」

 そう言うと、相良は池の周りを1周回って、神社の境内に腰を下ろした。

「なにか解ったんですか?」

「はっ?疲れたから休んでるだけだよ…案外広いね歩くとさ」

「はぁ~」

 呆れたように溜息を零す花田巡査。

「ここからさ、池は見えないよね」

「当たり前です、池は後ろなんですから」

「彼、ここに座ったんだよ、そして池の方に向かった…」

「そうですね」

 立ち上がり池の方へ再び歩き出す。

「池が凍っていた…と…」

 池の手前で立ち止まり首を傾げる。

「どうかしましたか?」

「あのさ…死体引き揚げたときに池、凍ってたの?」

「さぁ?」

「彼、言ったよね、凍った池を見たかったってさ」

「そうでしたかね?」

「あぁ…凍ってたんだよ、彼が発見した時は」

「で、調書によると…引っ張って引き揚げたんだよ、つまり凍ってない」

「氷を割りながら引っ張ったかもしれませんよ」

「無いね…事件性があるんだ、外傷が残るような引き揚げ方はしない」

「現場保存ですか?」

「いや…引っ張ったってことは、死体だと確信したからなんだよ」

「はぁ?」

「生存の可能性があれば、お巡りさんも池に入るんじゃない?冷たくてもさ」

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