Return to Myself（龍神池2）

第78話 バースト

「正月だってのに…好きな物を食べちゃいけないのかね～」

「正月だからですよ」

　民宿で晩御飯を一緒に食べている花田。

「雑煮って好きじゃないんだ…というかモチが好きじゃない」

「そうですか？食べたくなりませんか？」

「ならないよ…俺が思うにだ、毒物以外で人を殺傷する食べ物はモチ以外にないと思うよ」

「詰まらせてね、死んじゃう人いますからね」

「そうなんだ、わざわざ正月から死に急ぐこともないだろ、勝手に順番は回ってくるさ、俺はモチ食って死ぬのは嫌だな」

「ぜんざいは食べてたじゃないですか？」

「あれは白玉だろ」

「モチとどう違うんですか？」

「さぁ…強いて云えば大きさか」

「小さくして食べればいいじゃないですか？」

「そこまでして食いたくないから嫌いなんだよ」

「モチ抜きで食べたらどうです？」

「それじゃただの醤油汁だろ、コンビニで弁当買ってくれば良かった」

「おでんだと思えばどうです？」

「おでんとは大分違うな～」

「相良警部補…この先、どうするんです？」

「どうしようかな～行き着いた先が異星人じゃなぁ～」

「ソッチじゃないですよ、敦くんのことです」

「ソッチはさぁ～……悩ましいよな～実際」

「このままじゃ…ダメですよね…」

「暴走しちゃうだろうね」

「その前に止めなきゃですよね…大人として」

「警察としてじゃないんだ？」

「大人としてです…警察としては止められないと思います」

「そうだな…警察としてか…澤田少年の方は？」

「家出から誘拐の線でも捜査するようです」

「そっちに参加してみようか」

「澤田くんの捜査ですか」

「うん…どうせ無関係じゃないでしょ…というか敦に行き着けば、あるいは…」

「警察って正義の味方じゃないんですね」

「正義の味方は警察にはいないよ、無法者から産まれるんだろ…たぶん」