第87話 リボーン

「あぁ…妊娠していた女性の遺体」

「妊娠?」

「あぁ、遺体から産まれた子供がいた」

「産まれた…のか?」

「腐らない遺体とは、肉体を死亡直後に留めること胎児は成長し続けた」

「イレギュラーだったのか」

「さぁな、その子は里で産まれ、成長し自身の出生を知った」

「忌み子、鬼子と蔑まれ里を追われた」

「そして…禁忌を犯す、桜護を殺し…姥捨ての地に火を放った」

「皆殺し」

「さぁ、だが桜護も姥捨ても、それ以来行われていない、ここを神社にした本当の理由は弔いではない」

「で、一番手を出しにくい神社を…ってことですか」

「あぁ、そんなとこらしいな」

「肝心な話を省いてますね…桜井は?あなたの先祖は何をしたんです?」

 大きくため息を吐いて、崇は話した。

「その若者を…殺した桜護が桜井の先祖だ」

「なるほど…解りやすい、桜護の任が無くなったので神社の裏側を護り伝える役割を担い、名を変えた」

「そんなとこだな…」

「敦くんにも、その話を?」

「いや…していない、すべきか否か、迷っているよ、俺自身、聞いたのは30を過ぎた頃だ、それまでは久実と同じ話しか知らなかった」

「いや~、正直、ほっとしてますよ」

「なぜだ?」

「調べれば、調べるほど、オカルトやSFめいた話ばかりでね、正直、辟易してたんですよ、久しぶりに現実味のある話を聞けたんでね」

「あぁ…だが、大元はソレだがな…」

「その、魔鏡と言うんですかね、ソレを埋めたのは?」

「桜護だ、魔鏡を我が物にしようとした桜護…それも先祖だ…すべては桜井の一族が歪めたんだよ、その責を自らの手で封印しただけ」

「そういうことですか…」

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