第104話 イライザ
「相良警部補?」
「あっ?」
「どうかしたんですか?」
「いや…あのイギリス人、アリスの遺体消えたそうだ」
「はい?」
「砂に変わった…ってことだろうね」
「はぁ」
「どういうことでしょう」
「崇が入れ替わったんじゃないかな~たぶん」
「入れ替わる?」
「つまりさ、複数の人間の情報は同居しないってことじゃないの」
「情報?メモリみたいな許容量があるってことですか?」
「多分ね…たぶんだよ」
助手席でガムを口に放り込みながら噛みはじめる。
「最近のガムってさ、粒タイプばっかなのね、俺はさ~板ガムを丸めて噛む派なんだよ」
「板ガムってなんですか?」
「知らないの?昔ガムってさ…まぁいいや、ガムはタバコの代わりにはならんよ」
「吸いたいですか?」
「吸っていいの?」
「ダメです」
「あのさ…イライザって知ってる?」
「どちら様です?」
「人工知能さ、Siriのというか、AIの元になっているプログラムの名前」
「知りませんけど」
「あれさ、チューリングテストで人を騙したと言われているんだ」
「何テスト?」
「ヒトとAIを判別するテストさ、まぁ、そうなるようにプログラムしてたんだけどさ」
「なんの話をしているんです?」
「いや…肉体を捨てて精神だけの存在になるなんてさ、AIに近しいような気がしてさ、ヒトの最終進化形態は肉体の破棄なんじゃないだろうかって最近思うんだ」
「肉体の…もしそうなら、なんで魔鏡は肉体を保持し続けるんです?」
「戻るため…以外に理由がないようにも思えるんだけどね」
「なんで、1人だけ取りこむのでしょうね?」
「わざと揺らぎを発生させるため…かもな」
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