第142話 Head-On

「皮肉なものですね…」

「ふと思ったんだよ、何世代かに1人、摂り込むのかな~ってさ」

「魔鏡が選ぶ」

「ん、誘うのかもな…」

「入れ替わった?アリスと」

「違うような気がする…アリスの死体は日本にあったんだからさ、あの時点では生きてたんだよ、だから日本へ来た、入れ替わったのは日本へ来てからさ」

「つまり?」

「魔鏡は機能が異なるのか…それとも複数の機能を持つのか…」

「距離の移動と時間の移動ですか」

「あぁ、それを選択するのは本人ではない…おそらく摂り込まれている者の意思」

「つまり、敦は崇の意思で20年飛ばされた」

「そう、アリスは距離を移動させられた…その時、誰が撮り込まれていたか知りようは無いけどね」

「アリスの近親者?」

「巫女の子孫って考えるとさ、なんとなく日本へ来た意味も解るような気がする」

「日本へ呼ばれた意味がある…」

「あんまりさ、幸せじゃなかったようなんだよね、アリス・シーカーって女性は」

「友人と旅行中だったんじゃ?」

「それね…報道ではってヤツさ、心のほうにね…一緒にいたのは友人じゃ無くて同世代の看護師だったようだね、治療の一環でさ、外に連れ出してさ、それでね事故となってたけど、そんなもんで、ご両親も諦めが早かったというか…」

「つまり自殺の線も考えられていたと…」

「そういうことだね」

「なんで日本へ送られて、その後、すぐに入れ替わったか…アリスが望んだんじゃないのかな遠くへ…現実ではない何処かへってさ」

「それが現実に在った…」

「近しい場所だったのかもね、彼女が望んだ世界にさ」

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