第二章 総合ギルド 編
第47話 ギルド長は悪あがきをする【side:ガイアック】
どうしよう……困ったな。
俺のギルドが監視役なんかに乗っ取られてしまう……。
もちろんそんなことにはさせないが、だが監視役が来てしまったらどうなるかわからない。
なんとかそれまでに、俺じゃなくて、ヒナタを悪者にしないといけない。
こんなことは間違っているのだ。
医術ギルドの俺が正しくて、ポーション師のヒナタが間違っていなければならないのだ!
それがこの世の唯一不変の理というものだ。
監視役は来週からやってくるらしいが……。
「それまでになにか手をうつ必要があるな……」
「そうですね」
まずは敵情視察だな。
「おい、キラ! お前、行ってこい」
「わかりました、ギルド長!」
数日間キラに聞き込みをさせて、情報を集めた。
それで
「どうやら
「ほんとうか……。それはいい情報だな」
ポーション師の仕事にもちろん免許などは必要ないが……。
俺たちみたいな魔術医師には絶対に免許が必要だ。
そうじゃないと大問題になるからな。
前例を見るに、一つも例外はない。
医師免許は大学に通わなければ得られない。
もちろんヒナタなんかが大学に通っていたわけはないので、あいつは完全な違法行為に手を染めたことになる。
「これはアイツを
真相を確かめるため、俺は直接ザコッグの元へ向かった。
◇
「ちょ、なんの用なんです!? ガイアックさん。うちはもうあなたと関わるのはこりごりなんだ!」
ザコッグのやろう、ちょっと見ない間に偉そうになりやがって。
だがコイツのことはどうでもいい。
俺が憎いのは全部ヒナタだ。
「おい、ザコッグ。お前、あの爆発テロのとき、ヒナタと共に
「そうですけど、それが何なんです?」
俺を憎んでいるはずなのに、こうして素直に受け答えするとは、こいつもとことんお人よしだな。
そういうやつが馬鹿を見るんだ、マヌケめ。
俺は密かに心の中で毒づく。
「そのときだ、ヒナタはどんなことをした……?」
「どんなって……みんなを助けましたが? 英雄的な機転の利かせ方で……」
「そうじゃない。例えば……。医療行為をしていなかったか……?」
「なにが知りたいんです? たしかにヒナタさんは
「そうか、それでいい……。俺はそれが聞きたかっただけだ。もうお前に用はない。じゃあな」
「はぁ……なんなんだ一体……」
ようし、これでザコッグの証言は得られた。
あとは出るところに出るだけだ。
医術協会は厳しいことで有名だ。
こんな不正行為、絶対に許さないだろう。
◇
俺はスーツに着替え、書類を持ってギルドを出た。
目的地はもちろん、医術協会本部だ。
「医術協会会長――ドレイン・ヴァン・コホックさんに面会したい」
「はい、ガイアックさまですね。しばらくおまちください」
俺は軽やかに受付を済ませる。
あとはヒナタの首が
俺は待っている間、ニヤニヤが止まらなかった!
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