第22話 ギルド長はやっぱりポーションが作れない【side:ガイアック】
「ギルド長、やっぱり、ポーションに関しては素人の自分たちが、ポーションを混ぜるべきではありませんでした……!」
「聖水の件で、ギルド長に迷惑をかけてしまい、申し訳ありませんでした!」
部下たちが俺に頭を下げる。
当然だ。
こいつらが聖水やポーションのことをロクに知らなかったせいで、俺が怒られたんだからな。
「まったく、いい迷惑だよな」
「はい、反省しています!」
そもそも、こんなことになったのは全部ヒナタのせいだがな。
あいつが満足のいく働きをしていれば……。
俺がポーション師をクビにしたのは、あいつがどうしようもないマヌケだったからだ。
「で、どうするんだ?」
「もう一度、チャンスをください!」
「いいだろう」
こうして、俺たちはもう一度ポーション作りに挑戦した。
もちろん今度は、聖水を使うことを忘れてはいけない。
◇
「ギルド長、ただいま戻りました!」
教会に聖水をもらいに行ったキラが帰ってきた。
「おう、どうだった?」
「それが、教会では最近、聖水を作る量が減っているとかで……」
「は?」
「代わりに、
「
「なんでも、彼らは教会の負担を減らすために、代わりに聖水を作って売ってるそうで。それに、売り上げも教会に寄付しているらしいですよ? いやぁ、世の中にはすごい人もいますね」
ふん、どうせなにか裏があるんだろう。
寄付なんてするのは頭の腐った偽善者だけだ。
それにしても、
どこかで聞いた名だな?
まあいいか……。
「さぁ、聖水も手に入ったんだ。こんどこそ、ちゃんとポーションを作れるな?」
「はい!」
◇
――イライライライライライライライラ。
「おい、いつまでかかってるんだ? たかだかポーションを混ぜるだけのくせに!」
俺は従業員たちを怒鳴りつける。
以前、井戸水でポーションを作った時にはこんなことにはならなかったのに。
どういうことだ?
俺を舐めているのか?
「それが、聖水だと、ポーションを作るのが思ったよりも難しくて……」
「いい訳をするな! そんなわけないだろう!」
「井戸水と違って、すぐに蒸発するんですよ……。この調整がなかなかシビアで……」
「俺に貸してみろ!」
――ぐつぐつぐつぐつ。
む、たしかに……。
これはなかなか難しいな……。
ま、まあこんなのは俺の仕事ではないからな。
できなくても問題ないだろう。
「どうしましょうか……」
「もういい、金はいくらでもつかえ! とりあえず患者はどんどんやってくるんだ、既製品のポーションを買ってこい!」
「はい!」
くそう、このままじゃいつか破産するぞ……。
「やはりポーションの専門家が必要なのでは……?」
レナが俺にささやく。
「うるせえな……?」
俺はその辺にあったゴミ箱を蹴とばす。
だがまぁ、レナの言うことにも一理あるな……。
破産するまでに、新しいポーション師を雇わなければな……。
そうだ!
今度は大学出の、貴族を雇おう。
そうすれば、あんな馬鹿みたいなウスノロはやってこないだろう。
ポーション師なんかに金をやるのは嫌だが……。
貴族のヤツならまあいいだろう。
貴族のポーション師なんて少ないが、まあ探せば見つかる。
まったく、世の中には物好きなバカもいたもんだ。
そんな底辺職……。
まあそういうヤツは、大学でも落ちこぼれなんだろうな。
それに、底辺貴族ってのがお決まりだ。
もしくは、完全に道楽でやっている上級貴族のバカ息子か。
まあどちらにしろ、ヒナタなんぞよりはましだろう……。
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