第21話 助手を雇おう【side:ライラ】
なんだか最近、ヒナタくんを頼りすぎているような気がします。
彼は優秀ですが、いつまでも頼ってばかりもいけませんね。
もっと私がしっかりしないと!
正直、ヒナタくんの仕事量は、一人の人間がこなすものとしては多すぎます。
彼のスキルを駆使すれば、なんてことはないのでしょうが……。
彼にはもっと楽をしてもらいたい……。
仕事だけではなく、彼には妹さんを救うという使命があるのですから……。
「ヒナタくん、助手を雇いましょう」
「助手、ですか……?」
「そうすれば、ヒナタくんの手も空いて、ポーションの研究をする時間も増えますよ!」
「はぁ……でも本当に大丈夫ですよ? 僕一人でもなんとかなるので」
「ヒナタくんは頑張りすぎですよ、少し手を抜くくらいでちょうどいいです」
「そうですかねぇ。まあそう言ってもらえるなら……」
さすがヒナタくん。
ですが、なんとか助手の採用に同意してくれました。
これでヒナタくんの時間が空けば、私と過ごす時間も増えるという作戦です。
ふっふっふ――。
◇
【side:ヒナタ】
なんだかライラさんの提案で、助手をつけることになったみたいだ。
正直、僕なんかにそこまでしてもらっていいのだろうか。
でも、ライラさんはよく見てくれているなぁ……。
「あ、あなたが助手の方ですか……?」
倉庫に入ると、先に来た若い女性が在庫チェックをしていた。
「あ! あなたがヒナタ先輩っスね? 自分、ウィンディ・エレンフォードと言います! ポーション師二年目の新人ですが、精一杯がんばるのでよろしくお願いします!」
ウィンディ・エレンフォードさんか……。
緑の短髪がよく似合う、元気な感じの女の子だね。
「ウィンディさんは大学出なんだってね」
「そうっス! でも実践はまだまだ足りてないので、いろいろ学ばせてもらいます!」
大学で学んだポーション師が、今更僕なんかから学ぶことなんて何もないと思うけどなぁ。
「じゃあさっそく、こっちのポーションを混ぜるのを手伝ってもらえるかな?」
「はいっス!」
――
ウィンディがそう唱えると、みるみるうちにポーションが出来上がっていく。
まあ大学に行くような子だし、当然かな。
でも結構なペースで使えてる。
なかなか優秀な子みたいだね。
「よし、僕も負けずにがんばるぞ!」
僕も横で自分の分のポーションを調合し始める。
――
「……!?」
「?」
「せ、せせせせ先輩、今……何をしたんスか!?」
「え? 何って、ポーションを混ぜただけだけど?」
「
「え? 君も、使ってたよね?」
彼女は何をそんなに驚いているんだろうか。
僕のやり方が間違っていたのかな?
まあ僕は独学みたいなものだしね……。
僕みたいな平民でも使えるからすごいっていってるのかなこの子は?
「自分は代々家がポーション師の家系なので、これくらいできて当然っスけど……。先輩は大学にも行ってないんスよね?」
「まあね、平民だし」
「あ、そうなんスね。それならなおさらすごいっス! 独学って事っスもんね」
「ていうか大学いくような人ならみんな使えるんじゃないの?」
「そんなことないっスよ!
「そうなんだ」
「それで今の動きはすさまじいっスよ……? 大学の仲間にもそこまで精度の高い
「あはは……。またまたー、ウィンディは人をノせるのが上手だなぁ」
褒められて、自然と僕の手も速くなる。
「もう! お世辞じゃないっスよー」
なんだか僕はからかわれているのかな?
まあ絡みやすい人で良かった。
いい助手に恵まれたね。
「じゃあラストスパートといこうか……」
僕は残りのポーションを一気に片づけるべく、ポーションを三列に並べる。
「……?」
――
「せ、せせせせせ先輩!?」
「どうしたの!?」
「い、いいいい今のは?」
「並列処理だけど……?」
最近、毎日ポーションを大量に作っているから、いつのまにかできるようになっていた。
今のところは一度に三つのポーションを作るのが限界だけれど、そのうちもっと増えるかもしれない。
「そんなの聞いたことないっスよ……」
「ははは……大げさだなぁ」
そんな感じで、その日のポーション制作は、あっという間に片付いた。
「君のおかげでポーション制作が楽になったよ、ありがとう」
「こちらこそ、優秀な先輩の元で働けて、光栄っス!」
これはライラさんにも感謝しないとなぁ……。
明日からは正直、ウィンディ一人でもなんとかなるかもしれない。
これでようやく研究のほうにも力を入れられるぞ!
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