第24話 頑張りすぎた結果
今日からは通常のポーション作りはウィンディに任せて、僕は研究に時間を割いてもいいということになった。
ライラさんには感謝してもしきれないな。
それに応えるためにも、頑張らなきゃ!
妹のために、
――僕はその日から、倉庫の片隅に作った研究所に
◇
【side:ライラ】
新しく雇ったウィンディさん、頑張ってくれているみたいですね。
これでヒナタくんの助けになればいいですが……。
今日は少し早めにギルドへ行くとしますか。
私もヒナタくんに負けていられません。
「おや……?」
私がギルドへ着くと、倉庫から明かりが漏れているのがわかりました。
「ヒナタくん……?」
恐る恐る、倉庫の扉を開けて中を確認すると、そこには一人頑張り続けるヒナタくんの姿がありました。
まさか……!
昨日から帰っていない!?
それどころか、いや、何日も?
「ヒナタくん……!」
「あ、ライラさん。こんばんは」
「今は朝ですよ! 大丈夫ですか!?」
「ええ、おかげさまで」
そう言って振り返った彼の目には、クマができ、頬もやつれています。
どうしてこんなになるまで……!
きっと私のせいです。
私が助手を雇って、ヒナタくんを研究に没頭させたから……。
彼が無理をしすぎる可能性を考えていませんでした!
優しすぎるヒナタくんは、妹さんのために、ここまで頑張ってしまう人だということを、失念していました。
「もう、休んだ方がいいですよ!」
「大丈夫ですよ。これを飲んでいるので」
「それは……?」
「徹夜ポーションです。これを飲むと疲れを感じずに作業できるんです。自分用に調合しました。健康面での保証はできないので、売り物にはできませんが……」
「そういう問題じゃないですよ! 健康面で保証できないのならヒナタくんも危ないじゃないですか! 休んでください!」
「これが済んだら休みますから……。もう少しやらせてください」
「それが済んだら休むんですよ? 約束ですからね?」
「はい」
真剣な表情のヒナタくんに説得され、私はとりあえず倉庫を後にしました。
本人は大丈夫だと言っていましたが、やはり心配です。
それに、私も責任を感じずにはいられません。
もし彼に何かあれば、それは私の監督不行き届きということになります。
でも――
だけど――
あんなに一生懸命なヒナタくんを、無理やり止めさせることなんて……!
◇
【side:ヒナタ】
ライラさんには申し訳ないことをしたなぁ。
心配してもらってありがたい。
だけれど、今いいところなんだ。
何かが掴めそうな気がする。
気がつけばもう昼だ。
倉庫の中もいろんな従業員であふれかえっている。
「オイオイオイ、大丈夫かよ?」
「働き過ぎだわ、アイツ」
「大したものですね」
そんな声が聞こえてくる。
でも僕は一心不乱にポーションと向き合い続けた。
「さすがに疲れたな……」
だけど、徹夜ポーションを飲めばまだ頑張れるはずだ。
徹夜ポーション――
――ごくごくごくごく。
「あれ……?」
なんでだろう、今、5杯目の徹夜ポーションを口にしたはずなのに……。
なんだか目の前がかすむ。
真っ暗になる。
――そして僕の意識は深い暗闇へと落ちていった。
「キャーーーー!! ヒナタ先輩!? しっかりするっス!」
「どうしたの!? ヒナタくん!?」
◆
過労の末、倒れてしまったヒナタ。
だがこのことがきっかけで、とんでもないチカラに覚醒することになろうとは……!
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