機械獣ハンター NOIL と黄金の獅子

ロドリーゴ

第一部 メイジャーナルカップと黄金の獅子

第1話 機械獣エンバ狩り




「イザック! そっちへ行ったよ!」


 ガチャガチャと金属音が鳴り響く森の中。リラが声を張り上げた。

「イザック?!」

「聞こえてるって!」

 イザックはリラへの返事と同時に、潜んでいた樹から飛び降りた。ガシャンと音を立てて『エンバ』の背中へ飛び降りた。イザックはすぐにエンバの背中にあるコードに手を伸ばす。


 円柱に虫の足が生えたような形をしている機械獣、エンバ。イザックが飛びついている上部をぐるぐる回転させて振り落とそうとしている。


「イザック、頑張ってつかまってて! 今私が……」

「っ……だめだぁっ!」

 振り飛ばされたイザックがリラの所まで飛んできた。受け止めようとしたものの、重さに耐えきれずリラも一緒に吹き飛んで倒れる。

 二人が起き上がっている間に、エンバのガチャガチャという足音は遠くなっていってしまった。


「あっちゃー。悪い」

 そう言ってイザックがリラを引き起こした。リラは「平気平気」と言いながら、ほどけてしまった長い髪をもう一度一つに結び直す。


「アンテナが十~十五センチほどだから、あれはタイプAのエンバ。通信機能はないから、仲間は呼ばずに巣まで自分で逃げるはず。この際作戦変更して、群れを丸ごと狩っちゃおう」

 マニアックな知識を披露し、イザックにウインクとグーサインを見せるリラ。イザックも「よし!」と応じる。

「じゃあ、すぐに追いかけよう。『ネジリウマ』連れてくる」


 ネジリウマとは、斜面や荒れた地面に強い偶蹄目の馬。村から乗って来たそのネジリウマは、狩の邪魔にならないよう少し離れた所につないである。


 リラは自分の武器『マグネット式マルチドライバーガン』を手に取った。パッと見は盾を取り付けた短い槍だが、これは先端がドライバーになっている。プラスマイナスや大きさ等様々な先端に交換でき、ワイヤー付きの先端を発射して離れた所からネジを回すことも可能。機械獣をバラすのに、これ以上の武器はない。


 エンバについているボルトに合わせ、先端を大型のマイナスにセットする。戻ってきたイザックと一緒に、ネジリウマを走らせ、森を進み始めた。


「ふう、ちょっと時間くっちまったからな。追いつくまでしばらくかかるだろうな」

 イザックはぼやきながらハンチング帽を脱ぎ、汗を拭く。乗馬に長けたイザックなら、ネジリウマを走らせながら食事をすることだってお手の物だ。

「追いつく頃には、群れで俺達を迎え撃つ準備も万端にしてるハズだ。くっそ」

「こっちだって準備万端だよ」

 リラはイザックにマルチドライバーガンを掲げて見せた。

「エンバなんて片っ端からバラしてやるから!」




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