第48話 有志ハンター隊LION 崩壊




「ついていけない……って?」

 怪訝な顔のリラ。それに対しナヤは冷めた笑顔でリラを見つめていた。

「あやうく死ぬところでした。飛行機ではなく脱出カプセルを使えば、死ぬ思いをしながらここまで泳いでこずにすんだはずです」


「脱出カプセル? そんなの……」


「ありました。それを見つけたからイザックの手を引いて、そっちに走ろうとしたんです。でもリラ、あなたが飛行機に引き込みました。私の首ねっこをつかんで」


「どうして言ってくれなかったの?」

 不思議そうな顔をしてみせるリラ。ナヤは『そんなことも分からないのか』とでも言いたげにリラを見つめながら「フン」と笑った。


「あなたが、一度でも私の言葉に耳を傾けた事がありましたか?」


「そんな……私は、理にかなってる事なら……」


「何が理にかなってて、何がかなってないか私には分かりません。決めるのはあなたですから。あなたの判断は、私なんかとは違っていつも正しいはずでしょう? だから何も言わずについて行きました」


「分かった分かった。悪かったよ。反省する。で、せっかく黄金の獅子の手がかりをつかんだんだから……」


「黄金の獅子は私にも憧れですが、あなたと一緒に目指す気はありません」

 ナヤはキッパリそう言った後、続けて「イザック」と呼びかけた。


「行きましょう。私と一緒に」


 イザックは戸惑いながらナヤとリラを見る。

「いや……うん……でも、俺は……」


 イザックの煮え切らない態度を見て、ナヤは体をひるがえし、一人で歩きだした。リラが「ナヤ!」と呼んでも止まらない。


「……まあ、嫌ならもうしょうがないね。三人で……」

 リラがそう言うと、オスカーが立ち上がった。


「悪い……俺も、やることができた」

 常に仏頂面のオスカーだが、何やらいつも以上に真剣な空気を感じさせる。


「え、やることって?」


「すまない。これは、んだ」

「どういうこと? ねえ、ちょっと! オスカー!」

 オスカーはナヤと同じく、体をひるがえして歩き出した。


 リラとイザックは呆然と二人を見ている。

「どうすんだよ」

 イザックがリラに言った。リラは何も答えずに立ち上がって、ポケットから方位磁針を取り出して覗き込むと、ナヤとオスカーとは違う方角に走り出した。

「おい、どこ行くんだよ! リラ!」

 イザックに振り向きもせず、リラは走って行ってしまった。



 有志ハンター隊LIONは、崩壊した。



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