第118話 領都への物資奪取作戦③
帝国軍の皆さんを武器倉庫に置いて、地下の備蓄倉庫へと転移し作業状況を確認すると、伯爵家、辺境伯家のアイテムバックは容量が大きい様で、それなりに時間が経っていると思ったが、未だ誰も作業を終わらせていなかった。
仕方がないのでいくつかの仕切られた置き場であまり人気の無い野菜の入った木箱が置かれている場所に移動して木箱の中身を覗いていると、薬草や香辛料それに、胡椒を見付けた。
私は
塩や魚醤、油になんと砂糖なども備蓄されており樽に詰められたそれらを各グループ毎に分配して収納して行った。
暫く、野菜の入った木箱を収納していたが、作業を終えた方が1人また1人と最初の転移して来た場所へと戻って来た様なので、私も切り上げて、待機している人の方へと移動する。
〈いや〜。酒がたんまりあり過ぎて収納しきれなかった。辺境伯の方が収納しているが、全部収められるだろうか〉
〈そんな事を言ったら野菜なぞ、私一人だったぞあそこにあった1割ぐらいしか入れられなかった〉
〈肉類もそうだ。未だまだありますなぁ〉
そんな会話に聞き耳を立てていると、伯爵家の皆さんが全員集まったので、
「では皆さん、僕に触れて下さい。ダビン港町に戻りましょう」
伯爵家の皆さんが私に触れたのを確認して、ダビン港町へと送り返した。そしてとんぼ返りで備蓄倉庫に戻ると、辺境伯の皆さんは酒類が置かれた場所と肉類が置かれた場所でせっせと収納作業をしているので、誰もいない野菜置き場に移動して、全てをインベントリに収納した。
暫くすると辺境伯の皆さんは少し悔しそうな顔をして
、その内の一人が、
「ヴァルグード君、全部は収納出来なかった。残念だ。」
「大丈夫です。うちの者達にやらせます。では、ダビン港町へ戻りましょう。皆さん、僕に触れて下さい」
作業を終わらせた辺境伯の皆さんをダビン港町へと転移し送り返すとそのまま転移で備蓄倉庫に戻り残っていた全ての物資をインベントリに収納して、リートゥス家の皆が作業している穀物倉庫へと転移すると、エーデルトが近寄って来て、
「ヴァルグード様、頑張って収納しましたが、まだこんなに残ってしまいました。後をお願い致します」
「まあ、体裁を整える為に回収をお願いしているだけだから。それじゃあ、ちゃっちゃとやっちゃいますか。〝収納〟」
穀物倉庫に残っている。大麦、蕎麦、豆類、とうもろこし等を歩きながら次々とインベントリに収納して行く。全ての物資をインベントリに収納した私は、
「それじゃあ、ダビン港町へ戻ろう。」
「「「「「了解です」」」」」
穀物倉庫を空にして、リートゥス家の皆をダビン港町の鍛錬所に転移で送り届けると、
「後、武器倉庫に置いてきている帝国軍の皆さんを回収すれば終わりだから先に戻っていて」
「「「「「畏まりました」」」」」
リートゥス家の皆を返して私は帝国軍の皆さんを回収する為に、武器倉庫へと転移した。
武器倉庫に戻ると帝国軍の皆さんは予備の大砲を囲んで、コソコソと話し合っていた。
私は、大砲の近くまで移動して〝光球〟を出して戻って来た事を知らせる。
帝国軍の皆さんは光球に気付き、私の方へと集まって来た。リーダー格と思われる人から、
「ヴァルグード君、取り合えずこの大砲の
「そうですか。残った分はこちらで何とかします」
「それと扉に鍵がかかって入れない場所が2箇所あるのだが、申し訳ない、ここにいる誰も解錠スキル持っていないので入る事が出来なかった」
「分かりました。その鍵がかかっている場所に案内して下さい」
「承知した。こちらだ」
帝国軍の皆さんに連れられて1つ目の施錠されている扉の前までやって来ると、
「ここだ」
「では、皆さん鍵を壊してみますので、扉から少し離れていて下さい」
帝国軍の皆さんに扉から少し離れて貰って、私は、扉と枠の隙間を覗き、
「これはっ」
「何だこの数は? 魔杖なのか?」
「しかし、魔杖なら魔石が付いて無いぞ」
私には見覚えのあるショットガンに形状がそっくりの武器が壁一面に立て掛けられて、部屋には木箱が大人の背丈程、積み上げられていた。
「取り敢えず、これをアイテムバックに収納出来る方いませんか?」
「皆、入れられないか試してみよう」
こうして帝国軍の皆さんはそのショットガン形状の銃をアイテムバックに収められ無いか試す。2人の方がなんとか3丁ずつ、収納して、リーダー格の人が
「3人は無理だった。すまない」
「仕方がありません。次に行きましょう」
「そうだな。では移動しよう」
こうして、次の施錠された扉へと移動して、同じ方法で錠前の
その木箱1つを持ち出して蓋を取ると仕切りに入った同じ大きさに加工された魔石が収められていた。
「これは何なのだ」
リーダー格の人が首を
「これは大砲と同じ仕組みで先程の筒状の杖にこの魔石を詰めて何かを打ち出す
と私が話すと、
「もしかして、魔法が込められているとかだろうか?ヴァルグード君、一旦我々をダビン港町へと戻して貰えないだろうか?鍛錬所へアイテムバックに収納した武器類を置いて、再度こちらに戻りたい」
「分かりました。それでは皆さん僕に触れて下さい。良いですか?では〝転移〟」
そしてダビン港町の鍛錬所に戻ってくると、リーダー格の人が、
「良し。皆!ここに奪取した武器類を取り出してもう一度戻るぞ!」
「「「「了解」」」」
帝国軍の皆さんは散らばってアイテムバックから戦利品の大砲2門を含めた武器類をその場に取り出した。
それらを取り出し終えると私の下に集合して来たので、
「では、もう一度武器倉庫に戻りましょう。僕に触れて下さい。行きます〝転移〟」
再度、武器倉庫の最初に鍵の掛かっていた部屋に転移して戻るとリーダー格の人が、
「イドリック、ジェロニー、アルフリー貴様らはここにある魔杖を回収してくれ、フェリックは俺ともう一つの部屋にある弾の入った木箱を回収しよう。ヴァルグード君、申し訳無いが待っていてくれ」
「分かりました。終わったらここに集まりましょう」
「承知した。では始めよう」
帝国軍の皆さんは各々作業を始める為に移動して行った。私は、部屋を出て、残っている大砲3門とバリスタ2機それからバリスタの矢2000本程、剣、槍、斧、弓と多数の矢、それにクロスボーが50丁とボルトが大樽に入って30樽、それらをインベントリに全て収納して、転移してきた部屋に戻る。そして積み上がっている、木箱を一山10箱う頂戴して肩掛けカバン経由でインベントリに収納する。
弾が収められている部屋に移動すると、
「こちらの作業は終わったが未だまだ残っている。もう一度往復させて貰えないだろうか?」
「分かりました。では元の部屋に戻りましょう。おっと僕も、いくらかこの弾頂いて行きますので先に戻って下さい」
「承知した」
私は、積み上がった木箱を一列分インベントリに収納して、元の部屋に戻り、帝国軍の皆さんとダビン港町へ転移し、武器を鍛錬所で取り出し、また武器倉庫に転移した。
そして
「ヴァルグード君、子供に無理をさせて申し訳ない。自己紹介していなかったな、俺はルドウィン・ハイド斥候隊の隊長をしている。今日はお疲れさん。また会おう」
と手を出して来たので握手する。
「ルドウィン隊長、お疲れ様でした。皆さんもお疲れ様でした。では、また会いましょう」
「お疲れ様」「「お疲れ様でした」」「お疲れ」
お互いを労いながら部屋に戻る為、鍛錬所を後にした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます