第100話 ロデムラート砦へ嫌がらせ
ダビン港町の防衛は問題無さそうなので、ここで、父ティモンと合流して街道とは別の道を作り出して領主連合軍を誘導して来ようと思う。
その前にロデムラート砦の王国軍に嫌がらせをしたいと考える。エーデルトと方面長に、
「安眠を妨げたお仕置きに今からロデムラート砦に嫌がらせをして来ます。エーデルトはここに残って、王国軍への反撃を方面長と立案しておいて。僕の護衛は、ダドリオにやらせるから、方面長それでは行って来ます」
「子供を戦争に参加させるのは忍びないが、ヴァルグード君の能力はこの戦いの行く末を左右する程だから、お願いするしか無いな」
「ヴァルグード様、ダドリオを死なす様な無茶はしては行けませんよ」
「エーデルトは、僕がどんな風に視えているのかなぁ~。安全第一に嫌がらせして来ますよ。ダドリオ行けるかい」
「何時でも問題ありません」
城壁の上から〝遠視〟を使って川沿いを月明かりを頼りに遡上しながら視て行く。すると、川に橋が掛かっていてその脇にロデムラート砦が見えた。屋上には監視の兵士がいるので、死角になる階段用のペントハウスに転移をする。
「ダドリオ、屋上に転移するけど、監視の兵士がいるから気を付けてその兵士は僕の方で始末するから。兵士は2名だけ、では行くよ〝転移〟」
「シュン」
到着して直ぐに、兵士に向けて
「アイスニードル、アイスニードル」
と2発の魔法を放って2人の頭にアイスニードルが突き刺さる。直ぐ様駆け寄り死体をインベントリに収納する。
ここで、目に神力を集めて暗くても見えるようにして更に、〝透視〟を発動して備蓄倉庫を探す。左側の大きな空間に食料や木箱が山のように積み上がっている。
「物資を見付けた。ダドリオはここで待機してくれ」
「了解です」
私は備蓄倉庫の中に〝転移〟して、倉庫にある全てをインベントリに収納して、先程、仕留めた兵士の死体を取り出して倉庫に放置し屋上に〝転移〟した。
「ただいま」
「っ!おかえりなさい。前回もそうでしたが、今回もお早いお帰りで」
「うん。さてこれだけでは腹の虫が収まらないから、あの橋をぶっ壊そう!ダドリオ、ちょっと大規模広域魔法を使うから、ペントハウスに隠れて」
「砦は壊さないですよね!まだ使いますから壊しちゃ駄目ですよ!」
「分かっているって、壊さないと思うよ…、多分。いくよ〝メテオストライク〟」
ゴーと云う音が天空から聞こえて来て。
「おっと!これは不味いかもしれない。」
創造スキルを発動してロデムラート砦周辺を神力と魔力で覆うと「結界」と唱える。
「ドッガーーーン」
と3本ある橋の真ん中に隕石が直撃して、周囲の全てを吹き飛ばす。土石や粉塵が舞い上がり木々は粉々に、地面は
砦の真下は川であったがそこを起点にクレーターが出来た為、水が溜まれば湖のなると思われる。これで王国からの移動は出来なくなった。
私は結界を解除して、砦の中庭にある無数の天幕に、
「〝インフェルノ〟」
と最大の火魔法を放つ。一瞬して中庭は火の海となった。成果を見届ける事なく〝転移〟を使ってダビン港町に帰還しようとしたが自分の作った結界に阻まれて、町に入ることが出来なかった。
仕方がないので、父ティモンを遠視で見付けて、
「ダドリオ、結界に阻まれて町に入れないから、父上の所に移動するよ」
「了解です」
そうして、父上ティモンのいる天幕に転移した。父ティモンが寝ているので揺すって起こす。
「父上起きてください」
「うん。なんだ!どうした!襲撃か」
「違います。ヴァルグードです。ダビン港町を結界の魔道具を作って発動させたのは良いのですが、一度結界の外に出ると解除するまで、誰も中には入れないのを忘れて、ロデムラート砦に嫌がらせを行う為に外に出てしまい入れなくなったので、こちらに来ました。
こちらは、どんな状況ですか?」
「それがな、てんで張り合いが無い。我々を見付けると戦いもせずに逃げ出すばかりで、一度も戦闘にならずここまで来てしまった。
多分、領都かダビン港町の王国軍に知らせに行ったのだろう。とにかく、無傷で村は奪回している。それでそっちはどうなんだ」
「こちらは、ダビン港町を包囲している王国軍の食糧を根こそぎ奪って、ダビン港町に補充しました。その後、結界を作り発動させて今、まさに襲撃を受けましたので仕返しにロデムラート砦の物資を奪い、外にあった物資を根こそぎ燃やしてやりました。その戻りにこの事態となりました」
「ご領主様、私から補足を宜しいでしょうか」
「何だ、言ってみろ」
「実は、ヴァルグード様は、王国側が掛けた橋を壊すために、隕石を落とす魔法を使われて、橋はもとより橋の周辺にある全ての物を吹き飛ばして大きな穴が川底に空いてしまいました。王国側からロデムラート砦に行くには大きく迂回するしかなくなっています」
「ヴァルグード、魔法で隕石を落とした……。隕石って空から降ってくる流れ星の事だよな。それを魔法で落としたのか?」
「あぁ。え〜。結果的にはそう云う事になりますかね。と云っても砦は中庭を除き無傷ですからご心配ありません」
「ご心配だらけだわ。バカモノ!」
頭上に拳骨が落とされた。
「痛い」
天幕で拳骨を貰った私はそのまま地面に転がって気絶した。
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