第87話 ウエストダンジョン②

翌朝?かは解らないが目が醒めたので、自分に浄化を掛け綺麗にしてテントを出た。

護衛組も起きて来て、そちらは生活魔法の洗浄をしていた。

ダンジョンなのでジョギングは諦め素振りを始める。

素振りを終わらせて結界を解く。

女の子達のテントに出向き、ウルティアに声を掛ける。


「ウルティア、結界プレートに触って終了と唱えて。 そうすれば、結界が解除されるから。」


「分かりました。」


ウルティアが終了と唱えて、結界が解除される。そして、ウルティアが、子供達に生活魔法の洗浄を掛けていた。

それを終わらすと女の子達はテーブルのあるこちらに向かって来ていた。

サイエン、コニスも起き出してウルティアに洗浄を掛けて貰っていた。


「エーデルト、皆んな起きてきたから朝食を出してくれ。」


「畏まりました。」


と、エーデルトはそぼろ肉とレタスの様な野菜を挟んだピタパンとクリームスープの入った鍋を取り出してテーブルに置いた。

浄化を掛けた、食器とカトラリーをテーブルに置き、皆んなが着席したのを確認して。


「では、食べよう。」


と声を掛けた。


「「「「神の恵みに感謝を」」」」


食事の挨拶をしたのは、私と護衛組だけだった。 まぁマトモな食事はここ最近だから仕方ない。


そして食事を終わらせて、テントやテーブルを回収させるとトイレブースだけを残して、子供組に薬草採取を再開させた。


「粗方取り終えたら、2階層に進むのでここに戻って来て。 護衛組は子供組が襲われない様に、ついて行って。

僕も薬草採取をしています。集合の目印はこのトイレブースで、これが見える範囲で採取して下さい。

それでは、始めて。」


そして、子供達はそれぞれ昨日採取していた場所に、向かって行った。近い場所に群生地がある為、それほど散ってはいない。それでも一応、ステータスを起動させ地図を表示して感知を掛けた。敵性反応がある場所を示して、エーデルト達を討伐に向かわせた。

それを見届けて私も薬草採取に向かう。

群生地にはオトギリ草が生えていて、偶にチドメ草が採れる。他の薬草を探すもこの2種類しか見当たらない。

それでも、これでライフポーションは出来るから補充出来るのは非常に助かる。

2時間程、採取してトイレブースに向かった。すると、皆んな戻って来ていて男の子達はウェルウィンとムスカーノにマンツーマンで剣の型を教わっており、女の子は、エーデルトに短杖の使い方を教わっていた。


「エーデルト、遅くなった。女の子達の短杖の扱いはどうかな?」


「最初は、おっかなびっくりで、狙いが定まらず危なっかしかったですが、今は少し慣れたみたいで、的に当てる事は出来ませんが飛ばす方向は定まって来ました。」


それは良かった。フレンドリーファイヤだけは避けたいから、ウェルウィンに男の子達の話を聞く、


「ウェルウィン、サイエン、コニスはちゃんと剣を扱える様になったの?」


「ヴァルグード様、お帰りなさい。全然駄目ですが、突きの型をひたすらする様に教え込んでいました。魔物が相手ですから突きさえ出来ればなんとかなります。」


人形ひとがたの大きな魔物で無ければ何とかなるか。


「まぁ、手が空いた時は、稽古をつけてやってくれ。」


「畏まりました。」


皆んな集まっているので、トイレブースを仕舞って、皆んなを集め移動を開始した。

下層に降りる階段は森の中に有りそうなので無理に向かって進む。


「この先は森に入るから子供組は、絶対離れないように!」


注意を促して、先頭をウェルウィン、そしてムスカーノ、私、サイエン、ウルティア、アミエル、ティナ、コニスという順番で殿をエーデルトにお願いして進む。


森の入ると魔物の気配が濃くなってきた。


「皆んな、魔物が寄って来ているから油断しない様に準備して。」


とはいえ、1階層だから間引きされているこのダンジョンでは、群れて攻撃される事は無いので、護衛組がホーンラビットの飛び出しも、スライムの体当たりも剣の腹で叩き落としてから足で踏みつけ、子供組に順番で討伐させる。

そんな事が出来る時間の余裕があった。


魔物の襲撃を受けながらも階段を探索していると、先ずサイエンが、


「レベルが上がったみたいだ。」


というので、「人物照会」を唱えて確認すると、職業は戦士でレベル2に上がっていた。


「本当だね。レベル上がっているよ。おめでとう。」


と教えると、満面の笑みで、


「ありがとう……ございます?」


と返してきた、疑問符がついているのはご愛嬌。

そうして子供組は益々、鼻息が荒くなり周囲をキョロキョロと見渡す。

護衛組が叩き落とすと自分の順番では駆け出す始末だ。そして、次にレベルアップしたのはウルティアで職業は魔法使いレベルは2になっていた。

その次に上がったのはなんとコニスだった。

「上った!レベル上った!」


とはしゃぐので確認するとコニスの職業が闘士で少し驚いたがレベル2になっていた。

そして次はティナで


「私も、レベルアップなの。」


と言うので「人物照会」をしてみると、

職表が私と同じ魔術士だった。確かにレベル2になっていた。

普通の魔術士にあった事が無かったので少し嬉しかった。

最後に自分だけレベルアップしないので、半泣きで頑張っていたアミエルが最後の最後でレベル2にようやく上がった。職業が治癒士だったからだろうか。

レベルアップが遅かった。

こうして皆んなレベルが上った頃、下に向かう階段を見つけて、2階層に降りた。


2階層は1階層と変わらず、草原と奥に森という構成になっていて。やはり人口密度は変わらず濃かった。それで、2階層でも、森への直線ルートは避けて採取でもと思い、スクリーンは立ち上げて地図も起動していたので、感知を掛けて見渡しながら人の居なそうな場所を探した。


「ウェルウィン、森を見て左の方角に逸れた方が薬草を見つけられそうだ。そっちに向おう。」


「畏まりました。 では出発。」


そして、人の配列は変えずに、進んで行く。

1階層では肉も皮すらもドロップしなかったので、2階層では期待したい。


地図で僅かな色違いの箇所を頼りに進んで行くと2匹や3匹で纏まってホーンラビットが攻撃して来たが護衛組は慌てること無く剣の腹で叩き落としていた。落ちた魔物を我先にとトドメを差す子供組。

貴族のレベルアップ方法と同じだが、早く戦力になって貰いたいので、気にしない。

やはり人の行き来が無いので、魔物とエンカウントする率が高い。

2階層の今迄でホーンラビットを26匹スライムは32匹討伐したのにドロップが肉2kgとスライム水が10個だけである。

何故なんだ! あそこの直線ルートではマトモに薬草採取をしても幾らも採れない。こんなんで、収支が見合うのだろうか?


取り敢えず、群生地に着いたので、子供組に薬草採取をお願いした。

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