第86話 ウエストダンジョン
我々は宿屋を出て西門に向かって歩いていた。西門に到着するとすぐ横に冒険者ギルドがあった。特に用事もないので素通り使用したら、エーデルトが、
「一応、どんな依頼があるか見ておきませんか?」
と言ってきたが、
「お金には困らないし、討伐や採取をして依頼に沿うものは納品する感じで良いんじゃない。今は時間が勿体無い。」
「それもそうですね。このまま行きましょう。」
そうして西門抜けダンジョンへ向かう。
道中、人の行き来は其れなりにあって馬車の行き来もあった。30分ほど歩くと、丘を囲って門と壁が見えて来た。
門の廻りには集落が出来ていて。其れなりの
町になっている。屋台や露店それに集落の入口には冒険者ギルドがあって門番も居るようだ。冒険者ギルドは出張所の様で、入場手続きを行っている。
「ダンジョンに入場する方はこちらで手続きをお願いします。商取引でお越しの方は、門番に身分証を提示して下さい。」
我々はダンジョンに向かうので、出張所で入場手続きの列に並んだ。
どんどん列に並んだ冒険者達が捌かれて、そんなに待たずに我々の順番がやって来た。
「こちらのウエストダンジョンは始めてですか?」
「はい。」
「其れでは、先ずは、ギルドカードを提示して下さい。 はい、結構です。E級冒険者が6名とC級冒険者が3名ですね。9名のパーティーグループと云う事で良いですか?」
「はい。」
「では、この用紙にパーティー名とリーダー名、メンバーの名前をご記入お願いします。」
用紙にパーティー名は無かったのでリートゥスとし、リーダーは舐められない様に、エーデルトとした。
それぞれの名前を書いて、女性スタッフに渡した。
「ありがとうございます。 ダンジョンでは全て、自己責任となります。救助は申告が無い限り出ませんし、出してはいけません。
戦闘中に出食わしたら、手を出さず素通りする事をおすすめします。
加勢は必ず声を掛けて、相手が同意するまで待つように、同意がない場合は無視して下さい。この手のトラブルが有ってもギルドは介入しません。
どうしてもの時は訴状にして提出してくだされば介入します。
以上が注意事項となります。
最後に、退去する場合はなるべくギルドに報告をお願いします。ウエストダンジョンにようこそ!気を付けて行ってらっしゃい。」
「ありがとう。」
こうして、出張所を出て丘にあるダンジョンに入って行った。
ダンジョンに入ると、洞窟になっていて更に進むと膜を突き破った感じがしたと思ったら視界が開けて一面草原が広がった。
ガルチ村のダンジョンと同じ構図だが、人の多さが違った。
「エーデルト、ガルチ村のダンジョンとあまり違いが無い様に思うのだけどどうかな。」
「そうですねダンジョンの作りに違いは無さそうですが、大きさはこちらが遥かに広いですね。人の多さも段違いですが、これでは薬草採取は期待出来ませんね。」
「取り敢えず、階段を目指しつつ人の居なくなる場所を探すか。」
「「「了解です。」」」
護衛組は返事をして先頭を歩き出し。私はその後について行ってその後ろをサイエンを先頭に子供組が付いてくる。
取り敢えずは奥にある森に向かって進んでいた、草原の草は私の肩程の高さがあり、魔物が見付けづらいが、スクリーンを立ち上げて地図を起動させ、感知を発動させると魔物の位置が把握出来た。
入り口付近と森に向かう直線状は人の気配が多く魔物は居ないのでエーデルトに、
「直接森に向かわず右側に逸れてくれないか?そっちに群生地らしき反応があるし、魔物も居そうだ。」
「了解です。」
そして森の方角から逸れて、右に方向を変えて進むと地図に敵性反応の赤い点が向かって来ていた。
「皆んな!魔物が近付いて来ている。武器を取れ!」
と大声で呼び掛ける。すると皆んな立ち止まって思い思いに武器を構えた。かなり近付いて来ていたので。
「来るぞ!」
と声を掛けるとホーンラビットが飛び出してきた。前方から3体が向かって来ていたので、エーデルト、ウェルウィン、ムスカーノが剣で一撃の下首筋を切っていた。
ダンジョンなので、死体は残らず魔石が落ちていた。ドロップアイテムは無し。
魔石を拾って先に進む。
子供組は緊張していたが、
「今度来たら、俺がこれでやっつける。」
コニスの鼻息が荒かった。
それに乗っかりアミエルが、
「私だって、杖があるからね。やっつけられるんだからね。」
フンす、フンすと鼻息荒く興奮して杖をフリフリしていた。
それを見た、姉のウルティアが、
「アミエル、振り回したら危ないでしょ!
魔法が飛び出す武器なのよ!気を付けてよ!」
「はぁ〜い。」
姉に叱られて、アミエルは一気にテンションが下がっていた。
そんな会話を微笑ましく聞きながら薬草を探しながら進んでいると、横から敵性反応が出たので、
「サイエン右横から魔物が来るぞ。」
と声を掛けてすぐにスライムが飛び出し、サイエンに体当たりして来た。サイエンは体当たりで後退ったが、待ち構えていたので、倒れること無く、剣で反撃に向かいスライムの核を剣で切り飛ばした。 核が切られてスライムは魔石になった。それを見ていたムスカーノが、
「ダンジョンでの初討伐おめでとう。」
と、褒められたサイエンは、苦笑しながら
「ありがとうございます。」
と返事を返していた。
そうして、1時間程、右に逸れたまま進んでいると、ホーンラビットは護衛組が討伐して、スライムが襲ってきた時は護衛組が剣の腹で叩き落としたところを子供組に討伐を譲り、順番に男の子は短剣で女の子はナイフで討伐をしていた。 そして地図に
すごいの!薬草がいっぱいなの!」
とはしゃいで、毟り取り始めた。 私は、慌てて、
「待った待った。そんな取り方したら薬草が駄目になっちゃうよ。ちょっと待って。」
と言って神気鉄を取り出し「創造」と唱えて
刃渡り8cmの小刀を鞘と共に5本作り子供組に渡した。
「それを使って、地面の少し上で切り落として採取して。 見ててここの辺りを小刀で切り落とす。 やってみて。」
そう伝えて、エーデルト達に付き添わせて手解きをさせた。 徐々に採取が上手く出来てきたので、子供組には薬草採取を続けて貰って、私と護衛組は夜営の為の設営を始めた。
先ずは、草叢を薙ぎ払い、テントを設営しトイレブースを設置した、寝るときには改良した結界を設置するつもり
木のパウダーで2卓、食卓テーブルを作って、椅子も9脚作成。鉄鉱石を加工してスプーン、ナイフ、フォークのカトラリーを作り、木のパウダーでコップとスープ皿と平皿を作った。それを並べて野営の準備が整ったので、子供組に声を掛けて集まってもらい。
エーデルトに食事を出してもらって、夕食を取った。
大きいテントを購入していたみたいで、一張り4名は優に寝れるスペースがあった。これを男性グループで2張り女性グループで1張り設置していたので各々がそのテントに向かって行く。
その後ろ姿に声を掛ける。
「ウルティア、これをテントとトイレブースの間に魔力を流しておいて欲しい。これは、結界を張れる魔道具だから。」
「分かりました。やってみますか」
と言って、結界プレートを持ってテントとトイレブースの間で発動させていた。
薄い乳白色の膜が出来てきたので、結界は上手く発動したようだ。
こちらも、テントと、トイレブースが収まる位置で結界を発動させた。
初日は1階層で終わってしまったが、訓練と思ってゆっくりやるとしよう。
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