第96話 今後の打ち合わせ
ソイルを送り出して父ティモンが、騎士2人に
「お前達、これを皆んなに配って来てくれ。」
「畏まりました。」
騎士2人はペンダントを持って天幕を去った。私達も戻る事にした。
「父上、これ以上居てもご迷惑でしょうから、これで引き揚げます。」
と父ティモンに声を掛ける。父ティモンが
「色々、教えてくれて助かった。
それでな、今後どう動いたら良いと思う?」
「帝国軍とは一緒に動かないほうが良いでしょう。領主連合軍は誰が指揮をしているのですか?」
「ラウジッツ辺境伯だな。」
「軍事に強いですか?」
「戦術は無難だろうが3万の連合軍を指揮するとなると厳しいだろう。寄せ集めの軍だから、誰がやっても一緒だがな。」
「それはそうでしょうね。父上だけで動けるのならばやれる事はたくさん在りますが、別働出来ないとやれる事は2つしかありません。村の奪回と伏兵の排除です。領都奪回は帝国軍が譲らないでしょう。
別働を許されるのなら、僕も同行出来ますので砦を奪還して補給路を絶ちます。」
「砦に行くルートはどうする。王国軍が封鎖していると思うぞ。」
「父上、ガルチ村の道は誰が作ったとお思いですか? 無ければ作れば良いのです。」
「そんな事言うのお前だけだぞ。でもそうか。無ければ作る、か。」
「それも、別働隊として認めてもらえばの話ですけどね。」
「分かった。明日また来てくれ。」
「分かりました。」
今後の話を父ティモンとしていると、ソイルが帰って来た。
「ご領主様、行って来ました。ご想像の通り村は王国軍に占拠されていました。村人は、大半がは処刑されて埋められているみたいです。 村の外れに新しい土が盛り上がったところがありましたからそこに埋められたのでしょう。
代官屋敷が覗けて、若い体格に良い者は首に大きな首輪を掛けられていました。残りの村人代官屋敷に一纏めに押し込められているみたいです。民家には兵士らしき者しかいません。
何かを持ち出す事は警戒が強くて出来ませんでした。申し訳ありません。」
「いや、無事に帰って来てくれて良かった。その様子じゃ辺境伯領は既に王国領と考えて行動しないと危険だな。分かった。今日はもう休んでくれ。」
「ありがとうございます。失礼します。」
「騎士団長、明日、この情報を持って辺境伯の天幕を訪ねる。同行してくれ。ヴァルグード 、スキルを使って隅々まで情報を拾って明日朝一番で来てくれ。」
「分かりました。それでは今日は失礼します。エーデルト、帰るよ。手を。」
「畏まりました。」
転移で父ティモンの元を去り、宿屋に戻ってきた。戻るとウェルウィンとムスカーノが待っていた。
「「お帰りなさいませ。」」
「「ただいま。」」
代表してウェルウィンが、
「あちらはどうでしたか?」
「各地の村人は大半が処刑されていると考えた方が良いね。
領都の周囲に在る村はほぼ占拠されていると思う。
かろうじてダビン港町は籠城出来ているけど、王国軍に包囲されて情報も入っていない状態ではいつ陥落してもおかしくない状態だね。
援軍に向かった領主部隊も村に潜んでいる王国軍に各個撃破されたと思われるね。
明日も朝一番であっちに向かうよ。
今日はここまでにして休もう。お休み。」
「「「お休みなさい。」」」
翌朝、日の出と共に起きて、(スクリーンオープン〝遠見〟)を発動して、ロデムラート砦に遠見を飛ばして見ると、馬車が食料を積んで中に入っていく。
砦はやはり食料庫になっている様だ。
北にある街はまだ王国軍もの手に落ちてはいないみたいだがこちらも封鎖されているようだ。
東は既に王国軍の手に落ちていた。
これは、村々が占拠されているのだからわかっていた事ではあるが、帝国軍は知らないだろうと思われる。
外に出て朝のルーティンを行い。
食堂に行くと子供達がいた。明日で最終日となるので、どうするか確認をする。
「滞在を延長しようと思うけどいいかな?」
「私達は構いません。」
と母親達が返事をした。子供達も頷いている。
「エーデルト達も良いか?」
「構いません。」
これで延長が決まったので、
「ウェルウィン、悪いけど10日の滞在延長の手続きと帝都の屋敷への連絡お願いします。」
「畏まりました」
「滞在費用はこれで金貨5枚渡しておきます。」
「お預かりします。」
ウェルウィンに滞在時用の入った皮袋を渡す。そして、父ティモンの元に行く事を伝える。
「食事が済んだら、直ぐに向こうに向かいます。あとは宜しく。」
そして部屋に戻り、エーデルトと共に父ティモンの元に転移した。
転移すると、天幕では父ティモンと騎士団長が食事をしていた。
「父上、食事中でしたか?」
「びっくりした〜。突然現れるのは全然慣れそうにないな。」
「そうでしょうね。転移出来る人間は居ないみたいですから。それで、辺境伯領内ですが、残っているのは北の街とダビン港町だけです。」
「そうか、すると領内に入れば直ぐ戦闘になるな。陣形を考えて進まないと大きな被害を出しかねんな。」
「そうですね、王国軍は斥候を放ってますので、こちらの動きは筒抜けと考えた方が良いです。」
「よし、説得を試みるか。」
「頑張ってください。ここで待ってます。」
「分かった。行って来る。騎士団長・ラウジッツ辺境伯に先触れを送ってくれ。」
「畏まりました。」
そうして、騎士団長が天幕を出て指揮し、父ティモンは武装し天幕を騎士団長と一緒に出て行った。
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