第19話 村の生き残り

SIDE:代官の娘

私は エリーシャ・ジョロノア 4歳

それは10日前の朝、突然にやってきた。


村が襲われる前日に、ゴブリンを目撃したと、村人が家に報告に来た。父さんが村人と何やら深刻そうに話している。


私は4歳なので、話している内容は理解出来ない。 父さんに、

「もりに、なにかいたの」

当聞いてみると、

「魔物がいたと報告しにきたんだよ」

「まもの、こわいね」

「怖いね、魔物は父さんがやっつけるから大丈夫だよ」

と言っている父さんの顔は少し強張っていた。


翌朝、父さんは何度も井戸から水を汲んでは地下に運んでいた。何度も何度も。

母さんが厨房で料理を作っている時も3回も地下に水を持って行ってた。

私は妹のコーデアと一緒に食堂に入って、父さんと母さんを待った。


父さんが私を椅子に座らしてくれて、コーデアは父さんの膝の上に抱っこされて座った。

母さんが食事を持って食堂に入って来た。

私とコーデアの分それをテーブルに置くとまた厨房に戻り、父さんと母さんの料理を持ってきた。


父さんが

「それでは、神の恵みに感謝を」

「「神の恵みに感謝を」」

と食事の挨拶をして食事を始めた。

食事が終わると父さんが母さんに

「シャネット、今日夕方まで備蓄倉庫で子供達と隠れていてくれないか?」

「どうしてそんな事言う?」

「昨日、森でゴブリンを見つけたと村人から報告があったんだ。

大事を取って子供達と隠れていて欲しい。

僕は代官だからね。

冒険者ギルドと領都に書状と使いを出さないと行けないから、仕事をするよ。」

「危ないと思ったら逃げて。」

「分かってる。」

「エリーシャ、コーデア今日は地下で遊ぶからお部屋の荷物を地下に運びましょう」

「かあさんもいっしょ?」

「かあたんいっちょ?」

「母さんも一緒よ。」

「「やった〜」」

「とうさんは?」

「とうたんは?」

「父さんはお仕事だからね。」

「「ざんねんね〜」」

母さんは自分の部屋に戻って地下に衣服やリネン、シーツ、毛布等を持ち込んでいた。


私は、お人形や絵本、着替えとシーツと毛布を運んで、母さんとコーデアと一緒に地下の備蓄倉庫ヘ入った。

入口には父さんと母さんが話し込んで、

扉が閉まった。

父さんを見たのはこれが最後だった。


備蓄倉庫で、先ずは絵本を母さんが読み聞かせてくれた。

それが終わるとコーデアがコックリと始めたので、シーツを引いて寝かせた。

私は隅に積んである枝を持って、絵本に書いてある文字を声を出しながら地面に書いていた。

随分時間が立っていると思うも、父さんが来ない。

コーデアとお人形さん遊びをして気を紛らしていたが、お腹が空いたので母さんにお腹が空いたと訴える。


「かあさんおなかすいた」

「コーデアもおにゃきゃすいた」

「そうねお腹が空いたわね。

でも料理出来ないし。

そうだわ、パンも少し硬いけど果物と干し肉を水で戻して食べましょう」

そうして多分夕方と思われるので夕食を食べた。

「とうさんこないね〜」

「とうたんこにゃいね~」

「ランプも勿体無いから今日は寝ましょう」

こうして初日は何事もなく過ごした。


村では悲劇が訪れていたとも知らないで。


翌朝、排泄問題が起こった。

ウンチがしたい。

「かあさんウンチ」

「そうよねトイレを何処かに作らないと行けないわね。

ちょっと待って。」

母さんは火種にする積み上がった枝や薪を

移動させて壁を作りそこに

「【土よ 地か深くまで 掘り下げん アースホール】」

直径20CMの穴が空いた。

脇には土の山用を足すとこの土手埋めていく。

おしりふきは野菜で。

なんか微妙ではあったが、最後は生活魔法のクリーンを掛けて貰う。


そして朝食はパンと干し肉を水に付けて、果物を食べた。

3日目にコーデアがイヤイヤと癇癪を起こしたが、母さんがずっと抱っこしていたら泣き止んで大人しくなった。


5日目にパンが駄目になったのでイモを生で齧って食べ、干し肉と果物を食べた。


8日目に果物が傷んできた。それでも傷んだ部分を取り除いて食べた。


10日目の朝上でドンドンと音が響いて、備蓄倉庫の扉が開いた。

父さんかと思ったが、知らない人だったので、びっくりして母さんの後ろに隠れた。


村は魔物に目茶苦茶にされていた。

父さんは居なかった。

母さんが泣いているので、ここには居ないのだろう。


村を出た所に村の住民が30名程いたが男の人はいなかった。

母さんからもうここには居られない当言われた。

私達は生き残った村の人たちと一緒にロスランに行くことになった。


私達以外はロスランで生活していくみたいだ、

私達3人はロスランから領都という所に行って領主様の屋敷で住む事になった。

村を出て1日歩くとなにか作っている場所に着いた。今日は、ここで泊まって行く事になった。


騎士さんが、私たちの家に有った使える鍋や調理器具と食器を持ってきてくれた。

母さんがそれで料理を始めた。

村の住民も、料理を始めて周囲にいい匂いが立ち始めヨダレが出てしまった。

コーデアもヨダレがダラダラだったので、お姉ちゃんである私が、拭いてあげた。

コーデアがこっちを見て来て2人で見つめ合って笑った。


食事はパンと干し肉と葉野菜が入ったスープだったがとっても美味しくて涙が出た。

恥ずかしくて服ですぐ拭いたが、村の人達全員泣いていた。

母さんも泣いていた。

そして、その日は騎士の人にテントを借りて眠った。


朝起きると、馬車がこっちに向かって来た。

騎士さんが、

「皆んなが乗ってロスランに向かう為の馬車だよ。

領主様が用意してくれたんだよ。」

って教えてくれた。

歩かないで済んで助かった。

こうして私達は、馬車に乗りロスランに向かうのでした。







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る