第20話 妹の命名の儀

ゴブリンのスタンピードから3ヶ月

ガルチ村の情報として聞いたのは、ガルチ村には500名の住民が住んでいたが地下に備蓄庫のあった家は、そこに逃げ込んだ住民だけが生存して、地下倉庫の無い村の外に逃げた人達は漏れなく全滅してしまったそうだ。


生存者は33名家に来たのは代官一家3名

代官も代官屋敷の屋上で死体が見つかっている。 戦って亡くなった様だ。


その代官の奥さんが俺付きの侍女になる。

マリネラは母アリーシアの侍女だから私の侍女と云う訳ではなかった。

妹の乳母は母アリーシアのメイドが乳母になって居るので妹の乳母兼侍女になる。


本日、その妹の名前が決まる。

私は、朝のジョギングをして、部屋に戻り衣服を着替えて食堂に向かう。


食堂に入ると既に父ティモンが着席していた。

「父上、おはようございます」

「ヴァルグード、おはよう。

毎朝のジョギング続けておる様だな。

「はい、ジョギング、魔術の研究、剣術の鍛錬は欠かしておりません。」

そんな会話をしていると、母アリーシアと兄姉が食堂に入ってきた。


兄カリアスが

「父上、母上おはようございます。

今日は、末の妹の〝命名の儀〟ですね。

名前は決めているのですか?」

「カリアス、おはよう。

当然、俺は決めているぞ。」

「おはよう、私も決めているわ」

それを聞いて、姉ソフィアが

「父上、母上おはようございます。

妹の名前は母上が考える名前が良いわ。」

「ソフィア、おはよう。

おいおいソフィアの名前は俺の考えた名前が選ばれたんだぞ。」

姉ソフィアがあんぐりと口を開けたまま呆然としてしまった。


「ソフィア、父上が考えても良い名前になるのだから心配要らないってことだ」

兄カリアスの言葉に姉ソフィアは我に返り、

「むむぅ。」

食事の配膳が終わり、

「では頂こう。

神の恵みに感謝を」

「「「「神の恵みに感謝を」」」」

食事も終わり、両親は神殿に向かう準備を始めた。


兄は騎士団の訓練場に、姉は部屋で勉強を、私はエーデルトと部屋で合流すると直ぐに、裏の林に向かった。

開拓が進み民家が一軒建てられる広場が出来ていた。

畑も作りたいので広場を拡張する。


分解は抱きつかなくても手を木に当てるだけで、使える様になった。

倒した木は枝を分解で剪定して丸太にして、広場の北側に身体強化を使って積み上げている。


領主邸の敷地は東西に長いので、東側に広場を広げて進んでいる。

すると、3m位の高さの木に小さな実が付いている木々が広がっていた。

「エーデルト、この木はなに?」

「何でしょうね~。

この辺一帯この木ばかりですね。」

(そうだ! 鑑定)

※※※※※※※※※※

名称:オリーブ

※※※※※※※※※※

(これオリーブか!!ということはオリーブオイルが出来る!!)

「ヴァルグード様、どうしましたか??」

「エーデルト、オリーブって知ってる?」

「知っていますよ。油が取れる実が成る木ですよね・・・って、これがそうですか!」

「そうなんだよ!これ一帯の木々はオリーブの木なんだよ。

実が付いているけど未だ小さいなぁ。」

「収穫出来るのは未だ先でしょうね。」

「でも100本以上はありそうだから、それなりの実は収穫できそうだね。」

「領主様に報告しませんと」

「今日、丁度妹の命名の儀の発表で集まるから、その時に報告するよ。

良し、東側はここまでにして西側を広げよう。」

「では戻りますか。」

北側の丸太が積み上がっている広場まで戻ってきた。


切り株に手を当てて練気力と神力を切り株に流し込んで(分解)っと唱えると粉々になり、穴が空いた。

そこを覗くと、根っ子は無くなってパウダーが底にあった。

摘んで見ると小麦粉の様にキメ細かな粉だった。

これはと思い、切り株をどんどん分解で粉に変えていった。


「ヴァルグード様、広場が穴だらけになりましたが、このままでは使い道がありませんよ、どうしますか。

庭師のところに行って、耕す道具を借りてきますか?」

「それでも良いけど、魔術で耕せないかなぁ。」

「魔法でも聞いた事が無いですね。

そろそろ鍛錬の時間になりますよ。」

「今日は、ここまでにして明日考えよう。」

林を出て、屋敷に入ると両親が戻ってきた。


「おう、ヴァルグード丁度良かった。

名前を発表するからコンサバトリーに来てくれ。」

「分かりました、着替えて直ぐに向かいます。」

ついでに、2人も呼んできてくれ。

カリアスも部屋にいると思うから。」

「はい、声を掛けてきます。」


そう言って、2階に向かう、

「エーデルト、兄上に伝えに行ってくれ、

僕は姉上に声をかけてくる。」

「畏まりました。」

そうして隣の部屋の姉ソフィアに

「コンコン。

姉上いますか?」

「は〜い」

侍女によって扉が開かれる。


「ヴァルちゃん、どうしたの?」

「姉上、父上達が戻ってきました。

コンサバトリーに来るようにと。」

「そう!、名前決まったのね。

すぐ向かうわ。」

私も部屋に戻り、衣服を着替えてコンサバトリーに向かった。


コンサバトリーに入室すると全員集合していた。

家宰のセバスチャンも扉の脇に立っている。

父ティモンが

「全員集合したな、セバスチャン、使用人はエントランスに集まっているか?」

「はい、皆集合しております。」

妹は母アリーシアが抱っこして家族全員エントランスに向かう。


「忙しい中、集まって貰って申し訳ない。

皆も存じ寄りの〝命名の儀〟は恙無く終了し、我が娘の名前はアンジェリカと決まった。

これからも我々共々、皆の忠誠に期待する。

以上だ」

するとセバスチャンが片膝を付き、右手を胸に当て、頭を下げて

「リートゥス伯爵家に忠誠を」

皆も一斉に片膝を付き、右手を胸に当て、頭を下げて

「「「「「「「リートゥス伯爵家に忠誠を」」」」」」」

それを聞きセバスチャンが、

「それでは、各自仕事に戻って下さい。」

そして解散となった。

(アンジェリカ、いい名前で良かった。)






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