第74話 帝都の商業ギルド
名乗りをすると、
「お貴族のご令息でしたか、失礼いたしました。 私は商業ギルド受付主任のジェミーナと申します。以後お見知り置きを。
登録は、5歳の職授の儀が終了されていれば、保証金1万ダラを頂ければどなたでも創れます。」
「それでは、僕とエーデルト2人登録します。」
「畏まりました。それでは2万ダラを」
と言われたので銀貨2枚を取り出し差し出す。それを受け取ったジェミーナは魔鉄の薄い板と針を出して来て、
「こちらの板に血を一滴程垂らして下さい。」
言われるがままに魔鉄の板に血を一滴垂らすと板から魔法陣が浮かんですぐに消えて、
板に名前、年齢、所属領地、所属商業ギルド、裏には登録日と等級が刻まれた。
「「おぉ~。」」
エーデルトも驚いたらしい。同時に感嘆の声を上げていた。
「これで、お二人共商業ギルドの登録が済みました。それではご用件をもう一度お伺い致しますが、物品の売却で宜しかったですか?」
「はいそうです。」
「でしたら、3番の窓口で対応致します。
あちらで、詳細をお願い致します。」
「分かりました。エーデルト行こうか。」
こうして、総合カウンターを後にして3番の窓口に向かう、座る席は2つあったがエーデルトは私の後ろで立っていた。
渡し
私は仕方無く椅子に座り偽装の肩掛け鞄に手を入れインベントリからマジックポーチを3個と肩掛け型のアイテムバックを取り出しテーブルにおいた。
「これを売却したいのですが。」
「本日はようこそいらっしゃいました。 窓口担当のカノアと申します。以後お見知り置きを宜しくお願い致します。これは、肩掛け鞄とポーチですね。拝見致します。」
カノアは外見を確認し、中を覗くと鞄に手を入れようとしたが、
「駄目!!」
と私が大声を出して制止した。
カノアはびっくりして固まっている。
「カノアさん、その鞄とポーチはアイテムバックとマジックポーチです。
中のプレートを触ると登録が完了してしまいます。貴女が買い取ってくれるなら結構ですがそうで無ければ見るだけにして下さい。」
「失礼致しました。 鑑定の出来る者を呼んで参りますので暫くお待ち下さい。」
そう告げて誰かを呼びに席を立った。
すると40代の男性を連れて戻って来た。
「失礼致します。私は当ギルドの副ギルド長を勤めております、オルデリーノと申します。今回、アイテムバックとマジックポーチを売却との事で、鑑定をさせて頂きます。」
オルデリーノはテーブルにある、鞄の鑑定を始めた。しばらくして鑑定を終えたオルデリーノは、紙にメモをしてこちらに渡してきた。メモには
『間違いなく、アイテムバック10m³とマジックポーチ5m³ですが、産地が読み取れません。』
「出所に関しては何も言えませんが新たなダンジョンと申しておきます。」
「分かりました。時間はどれ程ですか?」
「停止です。」
「えっ………。」
「動きません。」
「そうですか。動きませんか……。済みませんがこれを持って2階の商談室に同行をお願い出来ませんか?」
「分かりました。そちらに移動しましょう。」
「カノア君、こちらのお客様は私が対応します。それでは、あちらの階段からお願い致します。」
そうして左手中央にある階段で2階に上がり、オルデリーノと合流して奥の部屋に入っていく。そこのソファに座りローテーブルにアイテムバックとマジックポーチを取り出した。
「先に、ギルドカードを拝見出来ますか。」
先程作ったばかりのギルドカードを渡す。
「0。今回が初めての商談と云う事ですね。まあ、お年がお年ですからね。これを持ち込まれることは親御さんは承知してらっしゃいますか?」
「はい。父の了承は取っています。」
「という事は、これの価値を親子で気付いていないとの事ですね。はぁ〜。先ずは、個人認証のある点、これだけなら貴重ですが存在します。それと時間停止の点これだけで、この世には存在しないアイテムバックとマジックポーチとなります。」
「「えッ、え〜〜。」」
「時間遅延の長いモノありますが停止しているモノは今まで出て来ていません。巷に出回っているのは120分の1が普通です。ですので売り出す時は、最長遅延の360日の1で売り出します。こんなの10年に一個出回るかって品物ですよ。 そういえばリートゥスの商業ギルドで時間遅延不明のアイテムバックとマジックポーチが売りに出ましたね。
もしかしてそちらの商品もそうですか?」
「多分そうですね。あちらでいくつか売りました。」
「やっぱり。 では買取価格ですが、アイテムバックは6000万ダラ マジックポーチは3個で7800万ダラでいかがですか?」
「それで結構です。」
「せっかくギルドにいらっしゃるですから何か買って行かれますか? おっと、そうでしたギルドの等級を上げておかないといけませんでした。ギルドカードをお預け下さい。
それとお支払いはどうされますか?」
ギルドカードを渡して、エーデルトにもギルドカードをカードを出す様に促す。
渋々、エーデルトがギルドカードを出す。
「今回の取引で1億超えの商談成立ですので、ヴァルグード様にはB級にエーデルト様にはC級の会員等級になって頂きます。
B級は年間で100万ダラの税金がC級は10万ダラの税金が掛かります。がB級は仲介手数料が50%C級は30%の割引が適応されますし、宿泊にも優遇制度があります。。現金は幾らご用意しましょうか?」
「先ずは、今回の売却金から年間の税金を支払って下さい。それで、9000万ダラをヴァルグード名義のカードに預金して、1000万ダラをエーデルトのカードに預金して下さい。残りを現金で、それで鉄鉱石はどれ程ありますか? 後、綿と羊毛が欲しいです。」
「鉄鉱石は、2tまでならお売り出来ます。
綿は今あるので売れるのは麻袋100体。羊毛も100体ですね。 鉄鉱石は1kg1000ダラですから200万ダラ。綿は1体8000ダラなので80万ダラ 羊毛は1体12000ダラなので120万ダラ合計400万ダラになります。
アイテムバックとマジックポーチの売却金金額が1億3800万ダラ。
預金にヴァルグード様名義で9000万ダラ
エーデルト様名義で1000万ダラなので、現金は3800万ダラそこから税金の110万ダラと今回の購入金額400万ダラを差し引いて残り3290万ダラをご用意してきます。
暫くお待ち下さい。」
暫く待つとオルデリーノが戻ってきた。
「先ずは、ギルドカードをお返し致します。
カードランクが変更されている事をご確認ください。
売却金の残りがこちらになります。」
と言ってテーブルに金貨32枚と小金貨9枚が置かれた。それを革袋に入れて偽装の肩掛け鞄に仕舞った。
「それでは、品物のある倉庫にご案内致します。」
そう言うと皆が立ち上がり部屋を後にした。
建物から出て裏手の倉庫に到着すると、作業員が倉庫から麻袋をどんどん出してくる。
私は、肩掛け鞄の口を開けて麻袋収納していく。別口の作業員が荷車で鉄鉱石をこちらに運んで来たのでエーデルトの背負い鞄型のアイテムバックに収納して貰った。
「今回は大変貴重な物をお売り頂き有難うございました。また、良い物がありましたら名指しでご訪問下さい。」
「あっ、因みになんですがこれってお幾らに位になりますか?」
と言って上級ポーションと最上級ポーションを見せてみた。
「これはっ!」
「また今度、お持ちしますよ。今日のところは失礼。」
そう言ってエーデルト共に馬車に向かった。
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