第43話 ダンジョン内の騎士達
SIDE:小隊長 ベリック
翌朝となり鎧のまま階段で夜営となり、余り疲れは取れないが干し肉とパンで朝食を取り生活魔法のクリーンで汚れを落とした。
「皆んな準備は済んだか?」
『はっ』
「それでは出発する。」
そして3階層を進む。
3階層は森が多くて草原の規模が小さくなっていた。
早速、ホーンラビットが散発的に飛び掛かって来るがエルギス達は4人組の塊で前後左右に警戒をしながらホーンラビットの襲撃を捌いていく。
私達も4人組になっていて前後左右を警戒して襲撃を捌いていく。
「入って早々にこのホーンラビットの襲撃を躱せる冒険者はなかなか居ないのではありませんか?」
騎士の一人が私に話しかけて来る。
「そうだなぁ。 腰高の雑草で襲撃まで姿は視えないし瞬時の動きに反応出来ないと生き残れないだろうなぁ。」
「我々騎士は日常の訓練で身体を鍛え、「ザシュ」この様に対応する剣技や体術を学んでいますから対応出来ますが、経験も浅い駆け出し冒険者は入場を制限したほうが良いと思います」
「それには、「ザシュ」同感するが、冒険者は自己責任が原則だから制限は難しいなぁ」
「若い冒険者には早死してほしく無いのですがね。」
「お前は冒険者から騎士になったんだったな。」
「はい。ですから後輩となる若い冒険者達には外で経験を積んでからダンジョンに挑んで欲しいですね。」
「そうだなぁ。取り敢えず戻ったらヴァルグード様には進言しよう。」
「宜しくお願いします。」
草原の中程に行くとゴブリンの群れに遭遇してしまった。
近すぎて魔法を使ってしまうと、フレンドリーファイヤとなってしまう。
「魔法は使うな!!抜剣!」
ゴブリンは木の棒や棍棒を武器に襲ってくるが鎧を着ているので当っても大したダメージは受けない。
数が多いので何度か被弾するが、鎧の上なので衝撃を受ける程度ですんでいる。
「慌てるな。頭さえ防げば大した怪我は負わん、焦らずに捌け。」
「右前方レッドキャップ。」
「「おう」」
レッドキャップはナイフを持っている。
対処が変わるので見つけた騎士が発見を伝える。
「レッドキャップがいるなら剣を振り上げるなよ。懐に入られる。」
「「「おう」」」
レッドキャップと対戦になった騎士達は突きや横薙でゴブリンを倒して行く。
「左後方にホブゴブリン2体」
「エルギス!行けるか。」
「少し足止めを」
「分かった」
側にいる騎士2人の肩を叩き
「ホブゴブリンの足止めを頼む。」
「「はっ」」
「エルギス、そっちは私が対応する。
ホブゴブリンを頼む」
「了解です。」
私はエルギスが対応していたレッドキャップを突きで倒しエルギスと入れ替わる。
エルギスは後ろに下がると
【雷よ 無数の矢となりて 顕現せよ サンダーアロー】「伏せろ!」
騎士2人は詠唱を聞いてホブゴブリンを蹴りその勢いで身体を伏せた。
騎士の蹴りで少し後ろに下がったホブゴブリンにサンダーアローが突き刺さったが急所は外れていた為、息はある。
すかさず騎士達が起き上がりホブゴブリンの首筋に一撃を食らわせてホブゴブリンの頭部が転がった。
そして3人はゴブリン戦闘の前線に戻る。
こうしてホブゴブリン2頭レッドキャップ20匹ゴブリン60匹の襲撃は終了した。
魔石を回収して一息つく。
「流石に、一撃で倒せるとはいえ、この数は脅威だったな。」
「小隊長、直ぐに進みますか?」
「そうだな、ここではまた魔物の襲撃に合う可能性側に高い、先を進もう。」
「小隊長、班は分けましたが別行動はしないほうが良いと思います。」という
「エルギスもそう思うか?実は私もそう考えていた。
これだけの集団が一斉に来たら4人では対応が難しくなるだろう。
この集団形成はダンジョンが放置されていたからここまでの集団が出来たのか分らないが未だある可能性を考えると兵力の分散は下策だな。」
「それでは、これまで通りに行動しましょう。」
「そうしよう。」
「では先に進むぞ!森に向けて出発!」
森に入っていくとキラービーと胴回りが黒光りしているブラックキラービーがいた。
キラービーの胴回りは黄色なのだが、一回り大きいブラックキラービーは上位種になる。
「ブラックキラービーは火耐性持ちだ。
彼奴は私が対応する。
残りのキラービーに火魔法で対応してくれ」
『はっ』
【【【【【【【火よ 無数の矢となりて 顕現せよ ファイヤアロー】】】】】】】
【雷よ 無数の矢となりて 顕現せよ サンダーアロー】
40発近くの火矢と6発の雷矢がキラービーとブラックキラービーに炸裂する。
10匹のキラービーと1匹のブラックキラービーは燃え上り消滅して魔石と透明な膜に包まれた液体が一つドロップした。
「これなんだ?」
「小隊長、何か液体の様なモノがドロップしましたが、回収しますか?」
「神経毒でも攻撃に使える、回収しよう。」
「了解です。」
先に進むとまたしてもキラービー10匹ブラックキラービー1匹が襲撃してくるので
同じ要領で殲滅した。
未だ森に侵入して200m程しか進んでいないにも拘わらず、今度はグリーンマンティスが3匹向かってくる。
グリーンマンティスは風魔術を使うので風土火水魔法は効き目が薄い。
近接戦闘もあの鎌で瞬殺される可能性が有るのでなかなかの強敵なのだが単独でなら騎士2人以上で対応すれば問題なく討伐出来る。
しかし3匹となると途端に難しくなる。
「撤退だな。
これ以上はなにか対策を考えないと難しいが手持ちのアイテムが無い。
無策ではこれ以上の探索は無理だ。
エルギス、撤退命令。」
「傾注!撤退する。
殿は私と小隊長!全員駆け足!」
騎士達を撤退させ自分達も後ずさりながら、
【雷よ 無数の矢となりて 顕現せよ サンダーアロー】
私がサンダーアローをグリーンマンティスに放つとその後に
【雷よ 無数の矢となりて 顕現せよ サンダーアロー】
エルギスも放つ。
2匹に当たり倒れその体にもう一匹が足止めされているうちに森を撤退した。
草原ではホーンラビットの襲撃を食らうが難なく切り倒して3階層を脱出2階層及び1階層も魔法を使うこと無く剣で撃退しながらダンジョンを脱出した。
「結局、金属の採取は出来ませんでしたね。」
「もっと魔物を間引かないと4階層なんて夢物語だな。」
「どの位の期間でどれ程魔物が増えるか分かりませんが、それでも間引きは必要でしょうね。」
「残念だ。 本当にざんねんだ。
村に帰還する」
「了解です。
傾注!直ぐ様村に帰還する 下山するぞ。」
『了解』
こうして大した成果も挙げられず村に帰還した。
村に帰還すると先代当主様、副団長改めて副代官 ヴァルグード様が待っていた。
ヴァルグード様が「どうでした? 金属は見つけられた?」
「それが、到達階層が3階層まででして、草原と森のフロアしか探索は出来ませんでした。
申し訳ありません。
獲得した魔石は
グリーンマンティスの1個
ブラックキラービーの3個
キラービーの30個 ホブゴブリンの2個
レッドキャップの40個
ゴブリンアーチャーの12個
ゴブリンの80個
ホーンラビットの100個位
これが成果となります。
小物の魔石は見つけるのが難しく全部は収集出ませんでした。」
「短期間に十分な成果だと思うよ。」
「そうじゃな。 平和ボケしとる騎士団ではこんなもんじゃろ。」
「先代そうおっしゃらず、怪我人無しなのですからそこを加味すれば十分な成果です。
お疲れ様でした。」
「はっ。
それでは失礼いたします。」
こうして我々騎士団のダンジョン探索は終了した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます