第42話 ダンジョンに向かった騎士達
SIDE:小隊長 ベリック
ガルチ村からダンジョンに向かって進んでいるが馬車と徒歩では進行速度が遅い。
それでも、道の整備が終わっているので通常の街道よりも障害なく進む。
綺麗で平坦な道なので馬車に乗っていてもガタつく事もなくお尻に優しい。
今は草原を進んでいるので、出てくる魔物はホーンラビット、スライム、ビックラットが出てくるが特に問題なく討伐しながら進んでいる。
「エルギス、もうすぐ森に入るがその前で休憩しよう。団員の配置転換するか?」
「いいえ、小隊長まともな戦闘はありませんでしたし、討伐は一撃で終わりですよ。
配置転換したら苦情が来ますよ。」
「そうだな、帰りにするか。スタンピードの時も魔法一発で終わってしまったものなぁ。」
「ダンジョンでは
「そうしよう。ダンジョンに歯応えのある魔物が出てくれる事を祈るよ。」
森の前で小休止をしてから、森に入っていくとフォレストウルフが出て来た。
斥候だろうと思い皆に声を掛ける
「フォレストウルフだ。
前にいる奴らは斥候だろう。周囲を囲んでいる可能性があるから注意しろ。」
『了解』
先頭を歩いている騎士2名が3頭に対応する
【【風よ
騎士2人は詠唱してフォレストウルフにウィンドカッターを放った
魔法は1頭の両眼の下に当たり、もう一発は
左肩から背中を切り付けた。
最後の1頭を剣で斬りつけようとした時、馬車の後ろにいる騎士が叫んだ。
「左後方から3頭」
それに続いて、
「右側面から3頭」
先頭の騎士は目線をフォレストウルフから逸らさず飛び掛かってきたフォレストウルフを右側に避け首筋を剣で切り裂く。
もう一人の騎士は魔法で瀕死のフォレストウルフにトドメを刺す。
左後方からフォレストウルフに馬車の後ろにいる騎士2名が
【風よ 刃となりて 顕現せよ。ウィンドカッター】
【水よ 刃となりて 顕現せよ ウォーターカッター】
と詠唱する。
ウィンドカッターは下顎を切り裂き、ウォーターカッターは右斜に飛んでフォレストウルフの左肩から腹を突き抜けた。
最後の1頭は飛び上がった瞬間には口に剣が突き刺さっていた。
「右前方から3頭」
と馭者をしている騎士が叫ぶ。
それに構わず、右側面にいる副隊長エルギスと騎士1名は右側面から来るフォレストウルフに
【雷よ 雷球となりて 顕現せよ サンダーボール】
【風よ 刃となりて 顕現せよ ウィンドカッター】
サンダーボールを食らったフォレストウルフの顔面が燃え上り倒れる、ウィンドカッターはフォレストウルフの口に当たり切り裂く。
最後も1頭は急停止して後退り反転しながら逃げていった。
右前方から襲い掛かったフォレストウルフに
先頭にいた騎士2名が
【【風よ 刃となりて 顕現せよ ウィンドカッター】】
と魔法を放つ。
そして右側面にいた小隊長のベリックが
【水よ 槍となりて 顕現せよ ウォーターランス】
ウィンドカッターの一発はフォレストウルフの眉間に当たり頭の上部を切り裂く、もう一発は縦に飛び眉間から腹まで切り裂いた。
ウォーターランスは左目からつき刺さり下腹まで貫通していた。
「残存無し」
『残存無し』
「了解だ。」
「小隊長、フォレストウルフの死骸はどうしますか?」
「打ち捨てて行こう。
本来の目的はダンジョンだ!解体処理していてはダンジョン探索の時間が減って仕舞うからな。」
「了解です。」
「問題無ければ出発する。」
『はっ』
こうして、森を抜けてダンジョンのある山の階段が見えてきた。
「これがヴァルグード様が作られた階段か。」
「小隊長、馬車はどうしますか?」
「こちらに置いていくしか無いな。
馬も解き放ちにして置くしか無い。
傾注!各自背負い袋に持てるだけの食料とポーション、水袋を持て!用意が済んだ者から階段を進め!」
『了解』
準備の終わった者から階段を登って行く。
階段を登り切ると何も無い平らな広場が有り
反対側にダンジョンと続く階段があった。
「良し!このままダンジョン探索に進む。
ヴァルグード様達は2階層まで進んで、草原と森が有るそうだ。1階層も2階層も強い魔物は出ていないそうだ。それでも油断無く進むぞ。今から4人組の2班に分ける。
中は広大だそうだから二手に分かれて探索する。 では出発。」
ダンジョンの洞窟に侵入する。
少し行くと広大な草原が目前に広がっている、腰高の雑草以外に背の低い草の群生地があるが1階層は無視して森へと向かい、下に降りる階段を目指す。
森は迷路になっていて話で聞いた通りだった。
「前方からゴブリン群れ」
副隊長のエルギスが
「魔法は使うな!剣で対処しろ!抜剣」
『おう』
道いっぱいのゴブリンがこちらに向かってくるそれを2列横隊で対応する。
後ろに廻らせない様に、後ろについた騎士が抜けそうなゴブリンを突きで刺し殺す。
前列はひたすら前にいるゴブリンを斬り付ける。抜けそうなゴブリンを突き刺す。
そんな作業にも似た戦闘を終了すると魔石が踏み場も無い程、地面に落ちていた。
「エルギス、魔石の回収を指揮してくれ。
私達の班は後続が居ないか見てくる。」
「了解致しました。」
ゴブリンからドロップした魔石の回収を指示して先の曲がり角にゴブリンが居ないか確認する。すると先の方に地面に穴が有るように見える。
私は振り返り、
「階段発見!」と叫ぶ。
エルギスの班が、回収を終わらせる迄、待機する。そうしてエルギス班が回収を終わらせて合流した。
「では2階層に行くぞ。」
『おう』
階段を降りると1階層と同じ様に草原と森がある、ここでは草原にゴブリンがいた。
「円陣形!」
丸い陣形を取り進む。
ゴブリンが波の様に向かってくる。
円陣形を回転させながら先頭を入れ替えて対応する。先頭を抜けたゴブリンは最後尾の騎士が捌くそう云う具合でゴブリンを殲滅していく。
殲滅し終えると魔石の回収だが、腰高の雑草に阻まれて見付けづらい。
「少し探して諦めよう。」
「そうですね。これはキリが無い。」
魔石の回収もそこそこにして森の入口に向かうが、ホーンラビットが次々と飛び出して襲ってくるそれを躱し剣でさばいていく。
そうして森まで到達して、森の中に入っていくと矢が飛んできた。
「アーチャーだ」
「飛んできた方角は分るか!」
「あそこです。」
【風よ 刃となりて 顕現せよ ウィンドカッター】
「未だいるぞ。探せ。」
「ヒュンッ」 「カン」
【風よ 刃となりて 顕現せよ ウィンドカッター】
「前方レッドキャップ5頭」
「エルギス、任せる」
「はっ!【雷よ 複数の矢となりて 顕現せよ サンダーアロー】」
矢は飛んでくるが躱せなくても鎧で防げる威力だったので、魔法で反撃出来た。
12頭のゴブリンアーチャーを魔法で倒した。
レッドキャップゴブリンは5頭全てにエルギスのサンダーアローが刺さり全滅した。
未だまだ先は長そうだ。
進んでいるとキラービーに遭遇する。
見つけた瞬間に
【【【火よ 矢となりて 顕現せよ ファイヤアロー】】】
私と騎士2人が同時に見つけたらしく複数のファイヤアローがキラービーに突き刺さった。
そうして、キラービーは見つけたものが詠唱を唱えて次々と倒していった。
「マンティスだ。」
声の方向を見るとグリーンマンティスがいた、体長は2mを超える鎌が80cmはありそうだ。
「エルギス、同時にサンダーアローを」
「了解」
【【雷よ 複数の矢となりて 顕現せよ サンダーアロー】】
10本の雷矢が同時にグリーンマンティスに突き刺さった。
「ギギ〜〜ッ」
と鳴き声と共にグリーンマンティスは倒れ魔石と鎌がドロップした。
それを回収していると先に進み出した騎士が
「階段があります」
皆は早足となり階段に進む。
「降りて3階層に出ないで、階段で休もう。」
「そうですね。安全地帯がわからない以上階段が唯一の安全地帯かも知れません。」
こうしてダンジョン探索の初日は3階層到着で終了した。
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