第55話 ロスラン代官屋敷
SIDE:オデット
商業ギルドでアイテムバックとマジックポーチを売却して資金を得た私は、ロスランの代官屋敷を訪れて、代官のアグウェル様と先代に面会を求めた。
門番に面会の希望を伝えると、門番は屋敷に行き、執事を連れて戻ってきた。
「オデット様、先代よりこちらにいらっしゃるとお聞きしています。
どうぞご案内致します。」
「ではお願いする。」
執事に案内されながら応接室に向かった。
応接室に通されて、執事が、
「先代と代官様に、お伝えしてまいります。」
と応接室を出ていく。
それと前後してメイドがお茶を用意して出ていった。
私はお茶を頂きながら待っていると、暫くして先代と、代官のアグウェル様が応接室に入って来た。
「お待たせ。
商業ギルドの用件は無事に済んだのかな。」
「はい、少々目標額には届きませんでしたが概ね想定内の金額に納まりましたが数は捌けませんでした。」
「安い買い物じゃ無いから仕方ないじゃろ。」
「父上、私もアイテムバックは欲しい。」
「でしたら、カバンを私にお預け下さい。
それをヴァルグード様にお伝えしてアイテムバックにして頂きましょう。」
「いくつか頼んでも良いかい。」
「儂も、頼みの書状を書こう。」
「お願いしてみます、きっと大丈夫でしょう。」
安請け合いをしてしまったが、身内からのお願いだから引き受けてくれるだろう。
見返りにこちらのお願いを、
「その見返りと云う訳ではありませんが、ガルチ村の文官、武官の紹介又は募集をお願い出来ませんか?それと領主様にこの処方をお送り頂きたい。」
「希望者の募集であれば告示してみるけど、強制出向は無理かな。
今は海が騒がしいから。」
「武官は無理じゃな。
唯でさえ、海賊騒ぎで人手が足りんのじゃから。」
「近くであばれているのですか?」
「そうではないが海上で襲われているみたいで、漁に出た漁師が交易船が襲われている所を目撃したそうでな漁師は慌てて逃げ帰って来たので詳細は分からない。
しかしこちらも港の襲撃を警戒しないといけないから、海の監視に人手を取られているんだ。」
「そうですか、それでは文官も忙しくしているのでしょうね。」
「正直、ガルチ村に出せる人手がこのロスランには無いね。」
「孤児院には話はしていただいてますか?」
「そちらは、父上が話をしに行ってくれた。」
「ロスランに到着して直ぐに孤児院に出向いて院長に話しておいたぞ。」
「成人を迎える者たちを送ってくれるそうだ、何なら未成年にも希望者を募るそうだぞ。」
「助かります。 春になったら送迎の馬車を用意するとお伝え下さい。」
「判った。孤児院の段取りは此方でしておく。」
「スラム街はどうです?」
「あっちはなぁ、正直勧められん」
「若い染まっていなさそうな者を集められませんかね。」
「それだと冒険者ギルドの手助け無ければとても無理じゃな」
「そこも冒険者ギルドですか。」
「明日、儂も同行するからもう一度話を詰めに行かんか?」
「そうですね。
それでは同行宜しくお願い致します。」
「今日はここの客室を使ってくれ。父上宜しいですね。」
「もちろんじゃ。 明日、朝一で冒険者ギルドへ向かおうか。」
「朝一はあちらに迷惑が掛かるでしょうから、朝一は職方ギルドに同行頂けませんか?」
「ガルチ村の住宅建築の件じゃな。
冒険者ギルドは朝は依頼受付で大変じゃろうからそうするか。」
「職方ギルドと冒険者ギルドに先触れお願い致します。」
「判った。
父上の名前で出しておく。」
「宜しくお願い致します。」
こうして明日の行動を取決めて、2人と別れて執事に客室を案内されて一先ず落ち着いた。
晩餐に招待され、食事を取り終えると客室に戻り素直に眠りについた。
翌朝早い時間に、先代と2人で朝食を済ませ、エントランスで先代が来るのを待つ。
暫くして、エントランスに先代が護衛騎士一人を連れて現れた。
「先代様、本日は宜しくお願い致します。」
「あぁ。それで今日は馬車を用意しておる。
それで移動しよう。」
「畏まりました。」
そう言って、先代の後に続く。
玄関を出ると馬車が用意されていた。
先代が乗り込み、その後を私が乗り込んで、最後に護衛騎士が乗り込むと馬車が移動を開始した。
代官屋敷の門を出て、職方ギルドに向かう。
職方ギルドの前には、男性2人が立って待っていていた。
ギルド前に馬車を止めると馭者が扉を開ける。
護衛騎士が、最初に馬車から出て、その後を私が最後に先代が降りた。
「お越し頂きまして、有難うございます。
私は職方ギルドの副ギルド長をしております、ミレックと申します。
お見知り置き下さい。
早速、応接室にご案内致します。
こちらにどうぞ。」
「宜しく頼む。」
副ギルド長の後を護衛騎士が続きその後ろに先代、最後に私が進んでいく。
職方ギルド内に入りが受付カウンターの脇を抜けて奥にある扉を開けて副ギルド長が入っていくその後ろを3人で入室する。
私と先代がソファーに据わり護衛騎士は先代の背後に立つ。
私達の着席を見届けて、副ギルド長と迎えに来ていた職員らしき者が向いに着席した。
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