第56話 ギルドとの交渉
SIDE:オデット
職方ギルドの応接室でガルチ村の住宅建築の交渉に当たる。
「本日は、前回の続きという事で宜しかったですか。」
「そうだ、建材については此方で用意する準備は整っている。
職人の手配はどうなっている?」
「収穫後の修繕繁忙期がそろそろ終わりますので、すぐ動ける組は大工が2組18名で石工が1組6名ですね。
彼らでしたら3日後にはここを出発出来ます。」
「報酬はどの様に取り決める。」
「報酬は日当が一人2万ダラで家一軒の成功報酬が50万ダラ此れが最低報酬となります。
それと滞在の費用が1日一人1万ダラとなります。
滞在場所につきましては、ご依頼者のご負担でご提供頂くというのが条件となります。」
「食事は別途でいいのだな。」
「はい。滞在費に含みますのでご提供頂くのは寝る場所としての宿泊施設のみです。」
「では、その大工2組と石工1組の手配をお願いする。」
「期間はどのぐらい見ますか。」
「90軒作りたいのだが。」
「間取りはどの規模になりますか?」
「2階建ての4DKを30軒と平屋の3DKを60軒お願いしたい。」
「それですと60日は最低必要になりますので、4320万ダラとなります。前金で頂くことになりますがご用意の方は大丈夫でしょうか?」
「心配いらない、ここに用意している」
と言って大金貨4枚、金貨3枚、小金貨2枚を出した。
「有難うございます。
早速、工事請負契約書を作成してまいります。
しばらくお待ち下さい。」
「オデットよ、完成報酬金の方は大丈夫か。」
50万ダラ✕90軒分 4500万ダラだが、アイテムバックを1個売却すれば支払える金額なので領都にでも売りに行こうと思っている。
「少し足りませんが、まだ売却していないアイテムバックがありますから、其れを領都にでも持ち込んで売却すれば、資金は出来ます。」
「そうだった。
アイテムバックがあるんじゃったな。
まあ、資金は儂の懐から融資することも可能じゃから何時でも相談に来いの。」
「有難うございます。
その時は是非にお願い致します。」
そんな会話をしていると職員と副ギルド長が戻ってきた。
「お待たせ致しました。
此方が、工事請負契約書となります。
2階建て石造2階建が30軒、木造平屋建が60で60日の契約となっております。
完成報酬額は4500万ダラとなります。
2通ありますので2通共にサインをお願い致します。
そして此方が今回工事費の前金の領収書となります。
お収めください。
それでは3日後ロスランを出発という契約で履行させて頂きます。
宜しくお願い致します。
現場にの管理者としてこの者が同行いたします。
宜しくお願い致します。」
「職方ギルドの現場担当のカイル申します。宜しくお願い致します。」
「宜しくそれと良い忘れていたが、ガルチ村には、職方ギルドが入る予定の建物が入れ物だけのモノだが完成している。
ダンジョンの発見もあってこれより発展が著しいと思われる。
早急に、支部の設立を検討して欲しい。」
「何ですと! それは……カイル現地を確認したら報告してくれ。」
「畏まりました。」
「今回はこんなもんじゃろ。
儂らはこれから冒険者ギルドに行かねばならんからこれで失礼する。」
「はい、支部の件は早急に対応致します。
今後とも宜しくお願い致します。」
応接室を出て、馬車に乗り込み職方ギルドを後にして、次は冒険者ギルドに向かう。
冒険者ギルドの前に到着すると、中から男性2人が出てきた。
「ご足労頂きまして。
どうぞ、応接室にご案内致します。」
先ほどの職方ギルドと同じ様に護衛騎士、先代、私の順番で応接室に入ると冒険者ギルド長が待っていた。
「ご隠居樣、またお越しですかい。
倅に領主をお任せしているのですから、ここまでお出ましならずにお屋敷でお孫さんの世話でもなさって来てくださいや。」
「は、は、は、面白いこと言うではないか、孫の世話のために此処に出張ってきているのに。」
「あぁ、そうでしたね。
ガルチ村の代官はご隠居樣の本筋のお孫さんでしたね飾りの。
これまた失礼致しました。」
「ギルド長、嫌味は終わりか。
それなら早速本題に入ろう。
こちらは、ダンジョンの管理を冒険者ギルドに移管するつもりはないが、ガルチ村の支部の設置とダンジョン入口の買い取り施設の設置許可は出そう。
ダンジョンの入場管理はこちらで行う。
鉱物の採掘権も冒険者ギルドには渡さず、こちらで採掘を管理する」
「討伐は認めるが採掘は駄目だと!
そんな条件認めたら冒険者の寄り付かないダンジョンになっちまうよ!
移管は仕方無いかも知れないが、採掘権はやり過ぎじゃないか。」
「ギルド長、そんなに噛みついていては、纏まるモノも纏まりませんって。
副ギルド長のクレインと申します。
採掘権に関してはこちらに任せては貰えませんか。
ダンジョンを発見したのはうちのギルド長何ですし。」
「発見者の所有権利は、鉱山に対する権利であってダンジョンには適用されない。
しかし、一切採るなと言っても無断で持ち帰る
但し、無断での持ち去りは討伐対象になるからな。」
「そこ迄ですか!」
「そこまでやる。」
「ご隠居樣、厳し過ぎちゃしませんか。」
「お前ら、鉱物が軍事物資と云う事を忘れちゃおりゃせんか?そんな物を他国なんぞ以ての外、他領にだって持ち出して欲しく無いわい。」
「そう云う事だ。
このロスランは港町だ、海に出てしまえばどこにでも行ける。
そんな街の近くのダンジョンがやりたい放題になってしまったら他国の良い
なので、こちらの条件は飲んでもらいたい。
無理であれば、この案件は領都のギルドに持ち込む。」
「なっ!」
「そんな事をしたら、ロスラン冒険者ギルドのメンツ丸潰れじゃねぇか!」
「其れに、領都からダンジョンまで何日かかると思っているのですか。」
「お前達には残念ながら、領都とガルチ村は直線的に馬車が通れるほどの道が開通しているから領都からダンジョン迄、大人の足で4日馬車なら3日で着く。」
「そんな!」
「それじゃこっからダンジョンに行くのと1日ぐらいしか変わらないじゃねぇか。」
「そう云うことだ。
どうする、契約は止めておくか?」
「そちらの条件で契約いたします。」
「おい!勝手に……」
「ギルド長、これ以上は……無駄です。
それ以上にこの話無かった事にされたら、冒険者居なくなりますよ~。」
「判った。そちらの条件で契約いたします。」
「それでは、契約書作成して参ります。
暫くお待ち下さい。」
こうして管理契約では無く、専売契約のみとなったが冒険者ギルドも旨味はあるので、これ以上ゴネる事無く、契約は終了した。
「冒険者ギルドの施設も出来ているから支部の設置を早めにお願いする。」
こうして大筋の目的であった、商業ギルドでのアイテムバック売却とその資金で職方ギルドとの住宅建築契約及び冒険者ギルドとの契約を終了した。
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