第57話 ガルチ村に戻る

今回の探索は6階層までで村に戻る事になった。

この6階層にはブラウンブルとビックボアが肉を落とすのでゆっくりじっくりと探索しながら5階層を目指す。


早速、森に入るとブラウンブル2頭と遭遇し、私は杖を構えたが3人が射線に入った為、打てず3人のカバーに回る。

騎士達は左右に別れてブラウンブルの前足をきり落とす。

バランスを崩した所をエーデルトが首を狩る。

この連携と剣の斬れ味で、一撃で終了してしまう、こうして私は何もせず歩いているだけとなってしまった。


帰りはブラウンブルが10頭 ビックボアが

8頭仕留めて、階段を登り石版のあった部屋へと戻ってきた。

「それじゃぁ皆んな戻るよ。」「「「はい」」」

と言って、4人で石版に手を置き魔力を流す。

すると石版から眩しい光が出て同じ様な部屋に移動したようだ。


眩しい光で目が眩み、周りは真っ暗で何も見えず確認出来ないが、

「皆んな居る。」

と声を掛けると

「はい、居ます。」

「「私も居ます。」」

3人の声は聞こえたので一先ず安心する。

ここで「〝光球〟」と唱えてライトボールを上げた。


岩の扉が見えたのでそれを押すがビクともしない。

横に石版があり、

〝此処に魔力を流せば扉が開かれる〟

と書いてあるので魔力を流すと、扉が開いた。


出てみるとダンジョンの入口と草原の間にある洞窟の通路だった。


「草原に目が行ってしまうから、解らなかったね。」

「そうですね、またこちらに入る時はどうするのでしょう?」

「何処かに魔力を流す場所が……あっ!この窪みじゃない、手形の様に凹んでいるよ。」

「2人共、その部屋から出てください。

開くか確認します。」

騎士2人が部屋を出ると。扉は閉まって行った。

扉が閉まると岩壁にしか見えない。


エーデルトが岩の窪みに手を置き魔力を流すと岩壁が扉を形作ると開き出した。

中に入ると奥の突き当りに石版があった。


その石版には

〝行ける階層を思い浮かべ魔力を流せ〟

とあった。

「これで1階層から始めなくて済むみたいだね。」

「そうですね。

5階層まで辿り着けば此処に帰還出来るというのも探索の励みになります。」

「それでは、帰るとしますか。」

こうしてダンジョンを出て見ると、夕方になっているので、階段を登り天辺まで登ってきた。

「エーデルト、ダンジョンから天辺の広場まですんなり行けない様に、門は必要だよね。」

「そうですね。 今後の運営で出入りの制限を行う事や、魔物が出てきた時の防衛にも門は必要だと思います。」

「僕の魔術で門を製作するから、夜営の準備をお願い。」

「ヴァルグード様、ご自身のテントをお出し下さい。 設営しておきます。」

私はテントを出して、

「それじゃテントをお願い。」

と言ってエーデルトに渡した。

エーデルトがテントを受け取り、

「畏まりました。」

と告げて広場中央に設営しに向かう。

私は、天辺の広場でダンジョン側の階段前に門を設置しようと、砂に練気力と神力を浸透させて「創造」と唱え5mの高さで厚みが2mの門を作り、木のパウダーを出して練気力と神力を流して門柱と門扉を設置した。


皆んなもテントの設営を済ませていた。

騎士の一人が、

「建物があるのにテントで就寝するのは何故ですか?」

と聞いてきたので、

「夕食後に、建物のベットや物入れ箱などを作って配置しようと思ってね。

階段が有るからここまで持ってくるのがつらいだろうからね。

食事が済んだら皆んなにも手伝って欲しい。」

「そう云う事でしたか。 畏まりました。」

そして、肉塊を出して夕食の支度をする。

大皿を出し串の準備をして肉塊をサイコロ型に切って串に刺す。

それを「火球」で炙る。

良く炙って口に含むと、味付けしていなくても肉の旨味が溢れてとても美味しい。

エーデルトにパンを出して貰って一緒にいただく。

昨日と同じメニューだが食べ飽きない。

野菜スープも合わせると満足のいく夕食となった。

食事を終えてから少し寛いだ後、木のパウダーを建物入口付近で山にして「創造」を唱えてベットを2床と物入れ箱2箱を作ると3人にお願いして、建物中に配置した。

店舗の建物にはベット4床に物入れ箱を4箱作って配置して貰った。

こうして、天辺での作業を終わらせて就寝した。

翌朝、麓まで降りて建物にベットと物入れ箱を作り配置して帰途についた。


帰りの道で、フォレストウルフの襲撃があったが、騎士達とエーデルトでことごとく、討伐してしまった為、私の出る幕は無かった。


こうして、ガルチ村に無事辿り着き、代官屋敷へと戻った。

代官屋敷に戻ると、執事のウィリアムとメイド3人が出迎えてくれた。

「ただいま、何事も無かった?」

ウィリアムに異変は無かったか尋ねると、

「ヴァルグード様、お帰りなさいませ。

特にご報告する様な事はございませんが、オデット様がお帰りになっております。」

「オデットもう戻っているの?」

「はい、どうやら商談が少し上手く行かなかったようで、詳しくはオデット様にお聞き下さい。」

「判った。」

私は騎士2人に向かって、

「探索、ご苦労さまここで解散としよう。

ゆっくり休んで。」

「「畏まりました。お疲れ様でした。

こちらで失礼します。」

そう言って騎士達は代官屋敷を後にした。

私とエーデルトはい執事とメイドを引き連れてエントランスから執務室へと進んだ。









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