第68話 家族との話し合い

皆んなで、コンサバトリーに集まると父ティモンが帝都に向かう事を話し始める。


「国から帝都への招集が掛かっている。直ぐに騎士団と領兵を引き連れて出発しなければいけない。

そこで、セバスチャン。父上に早馬を飛ばしてこちらに来て貰い、領主代行をお願いしてくれ。それと、騎士団と領兵の招集もしてくれ。」


「畏まりました。」


「それで、皆んなに聞いてもらいたいのだがヴァルグードに帝都まで同行をさせる事にした。 理由はヴァルグードの作り出す武器や魔道具が凄く優秀である為、その武器や魔道具を騎士や領兵に満遍無く持たしてやりたいからだ。 子供のヴァルグードを連れて行くことは反対だと思うが俺は我が領の者たちを誰一人失いたくないのだ。」


そう告げると、母アリーシアが、


「ヴァルグード、まだ子供の貴方に人を殺傷する道具を作らすことは母親としてやらせたくは有りません。貴方は望んで作っているのですか?」


「母上、この世界には魔物がいます。人を襲う悪意ある人がいます。改心することの無い悪意に動かされる人がいます。その悪意から守るためにも武器は必要だと思っています。

ですから、僕が出来る事なら望んで行います。」


「そうですか。ヴァルグードがその様な覚悟で臨んでいるの有れば、領主の妻として言う事は、領民の命を守るためにも良い武器を作りなさい。 お願いねヴァルちゃん。

とはいえティモン、貴方はもう少し息子に配慮すると云うことが出来ないのですか?

息子が子供であるにも関わらず人を殺せる武器を作る事に忌避を持たずに推奨するのは如何と思うのですが……もしかしてですけど、『良い武器貰ったヤッタぜ!』とか思ってませんよね。」


「そ、そn、そんな事を思うわけ無いだろ。

断腸の思いでヴァルグードにはお願いしたんだ。」


「本当ですか。かなり動揺している様に見受けられますが………」


「本当だぞ! 子供を危険な目に合したい訳無いじゃないか。」


そんな夫婦のやり取りを尻目に姉ソフィアが抱き着いてきて、兄カリアスが、


「ソフィア、そんなに抱き着いていてはお話が出来ないじゃないか!ヴァルグードとお話がしたいから少し離れて。」


兄カリアスに言われて姉ソフィアが名残惜しそうに離れる。


「で、武器と防具作ったんだよね見せてよ。」

「良いですよ。」


と言って、インベントリから剣と盾を取り出した。


「これがそうか。剣は僕には少し大きくて持ち上がらないや。こっちは盾か。大きくないけど、これで盾なの?」


「兄上、それを持ったまま結界と唱えて下さい。」


「うん。結界」


すると乳白色の結界が発生する。


「わわっ、っと、びっくりした。凄いね。 これは良いけど片手が塞がっちゃうなら僕は使えないな~。まだ両手でしか剣が振れないから。」


私は、兄弟に合わせた防具が必要と思って、

インベントリから神気鋼を取り出して巾4cm腕環を製作して彫刻針で魔法陣二重丸に三角を刻んで輪間に〝魔法攻撃無効〟〝物理攻撃無効〟〝精神攻撃無効〟を刻む。

三角の底辺に2行の文字列〝発動キー(結界)縦1、5m✕横1m5度曲面〟〝停止キー(終了)魔力遮断〟と刻む。

次に半円にしたゴブリンの魔石を彫刻針を使って「光線レーザー」で魔石の中に魔法陣を刻み、魔法陣の輪間に〝魔素吸収〟〝魔力変換〟〝魔力補填〟〝魔力供給〟と刻んで腕環の内輪部分に密着させて合わせそれを持ちながら魔力と神力流し「創造」で腕環に魔石を接着させる。

それを3個作って兄姉と母上にも渡す。

そして、兄姉に、


「二人共、これを腕に嵌めて下さい。」


二人が腕環を嵌めるがぶかぶかなので返してもらい、腕輪の裏側に魔法陣を刻みそして輪間に〝サイズ自動調整2mm〟三角の底辺に2行の文字列〝起動(魔力感知)〟〝停止キー(終了)魔力遮断〟と刻んで再度兄姉に渡し、


「もう一度嵌めてみて下さい」


と伝えると二人共黙って腕に通すと腕輪が縮んで腕にフィットした。


「凄い。」  「凄いね。」


「これで、結界と言ってみて下さい。」


「「結界」」

と唱えると腕輪から乳白色の結界が現れる。


「これで、どうですか? 少し使い勝手が悪いとは思いますが、終了と唱えれば消えます。 これで少しでも危険が排除されると思います。」

それを見た、父ティモンが、


「それを騎士たちにも造ってくれ。盾は領兵に配ってやりたい。装備は騎士には剣と結界の腕輪を、領兵には槍と盾を渡したい。」


「それでは、今から作成いたしましましょう。母上、お渡しした腕輪を一度お返しください。自動調整を付与しますので。」


母アリーシアから腕輪を返して貰い自動調整を付与して渡した。

そして腕輪の作成に取り掛かる。

その間、母アリーシアは私の帝都行きに文句を言って自分も同行するといい。兄姉も同行したいと騒いている。

それに対して父ティモンは末娘のアンジェリカが赤子であることで母アリーシアが断念し、兄は当主と嫡男が一緒にいては家の存続が危ぶまれる事を諭され、姉には妹の世話を理由に断念させた。


腕輪の作成が50個に差し掛かる頃、ドアをノックしセバスチャンが入って来て、


「御領主様、訓練所に皆が集まりましてございます。」


「そうか、すぐ行く。 ヴァルグード出発するぞ。」


「分かりました。」


そして家族みんなが立ち上がり訓練所に向かう。訓練所に到着すると、騎士団長以下、騎士50名と領兵300名が整列していた。

父ティモンがそれを見渡し、


「皆、良く集まってくれた。今、我が国はサンスクード王国の侵攻を受けている。西の辺境伯領は、かなりの被害を出してその侵攻を防いてはいるが、砦は陥落し村々は焼かれ領都も陥落寸前であると云う状態だ。

西側諸侯はそれに対抗してはいるが、サンスクード王国軍は今や増援に増援を重ねて、西側諸侯だけでは持ち堪えるのが困難になっている、其の為、帝国直轄軍に合わせ我々東側諸侯にも参集が掛かっている。今や国家存亡の危機に瀕していると言っても過言ではない。ここで皆の力を貸してもらいたい。宜しく頼む。」

そう父が締めくくると、騎士団長が、


「抜剣!敬礼!」


と声をあげ、剣を正中に持っていき敬礼をする。そして、


「直れ! 門ヘ移動!行進始め!」


こうして帝都への移動が始まった。



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