戦争

第69話 帝都への移動

箱馬車ヘ父ティモンと乗り込み領都の南門から出発し移動を始める。

その間も腕輪の作成を続けているが、武器を渡しそびれている事を思い出し、


「父上、皆んなに武器を渡しそびれました。」


「そうだった!休憩を取る時に渡そう。」


「ではそうしましょう。帝都まではどのぐらい日数がかかるのですか?」


「ここからだとうまく行けば馬車で10日程かな。魔物が出なければだが。」


「そうですか。では、モノづくりにいそしみますね。」


父ティモンにことわりを入れて箱馬車に手を当てて練気力と神力を流して〝空間拡張〟を唱える。すると、馬車後部に奥行きが4m程出来上がった。

そちらに移動して鉄鉱石出し、神気鋼に変えた物と木のパウダーを出して〝創造〟と唱えて槍を作成する。

300名との事なので、作ってはインベントリに収納していった。

槍の製作を終わらせると、馬車が停止して、外から休憩の声が聞こえてきた。

馬車のドアがノックされ、


「エーデルトです。御領主様、ヴァルグード様こちらで休憩となります。」


「分かった。」


と父ティモンがドアを開けて外に出る。

私は外に出る前に、インベントリから、剣を50本と槍300本を取り出して、エーデルトに声を掛ける。


「エーデルト、僕があげたアイテムバック持ってるよね。」


「はい!確り肌身離さずこの通り!」


「馬車の中にある武器をアイテムバックに入れてくれる?」


「畏まりました。」


エーデルトが剣や槍をアイテムバックに仕舞って私の後について来る。

父ティモンに追い付いた私は武器の件を伝える。


「父上、騎士達に剣を下賜しないのですか?」


「そうだな。 騎士団長!」


父ティモンが騎士団長を呼ぶ。

その間にエーデルトを呼んで、


「エーデルト、武器を一本づつ出してくれ。」


「はっ!」


そして、剣を一振り出して貰う。

それを父ティモンに渡す。

呼ばれた騎士団長がやってきた。

父ティモンが騎士団長に


「騎士団長、これはヴァルグードが造った物だが、なかなかの逸品になっている。

多分だが国宝級の聖剣だと思うが、この剣でこの戦いを勝ち抜いてくれ。」


「おぉ~、これが……。ありがたく頂戴致します。」


「騎士たちにもあるのでな、皆を集めてきてくれ。」


「畏まりました。 お~い、騎士たちよ~。

御領主様の前に集まれ〜!」


騎士団長がそう大声を上げると、騎士たちが集まって来る。

そこで父ティモンが


「休みの所を集まって貰ったのは、皆に今回の戦いで生き延びて貰う為に、ヴァルグードが武器や防具を製作した。

それを渡して行きたいと思う。」


そう伝えると、一人一人に剣と結界の腕輪を渡して行く。

その際に私は、結界の腕輪と剣の使い方を説明していく。

最後に騎士団長に結界の腕輪を渡して、領兵を集める様に言う。


「兵達よ! 御領主様の前に集まれ!」


直ぐ様、兵達が父ティモンの前に整列して集まる。


「領兵のお前達に、槍を渡しておく。これも壊れにくく出来ているから安心して使って欲しい。」


そう伝えて槍を渡して行く。因みに槍の長さは2m程、盾はまだ100しか無いので完成次第渡すつもりだ。

その事を父ティモンから領兵達に伝えて貰う。

「盾は今製作中だから、出来次第渡して行くつもりだ。それまでは従来の盾を装備しておいてくれ。では出発しよう。」


すると、騎士団長の号令で、騎士団は動き出した。

父ティモンと私も、馬車に乗り込み移動を開始する。

早速、鉄鉱石を取り出して、神気鋼に変えて板状と取手を作っていく。魔法陣を刻みそれにゴブリンの魔石加工しながら取り付けていく。その時に魔石にも魔法陣を刻み200の盾を完成させた。

これで兵達に盾を配れる様になった。

そうしているうちに、領の南端、宿泊地である南の宿場町エピカボスに到着した。

各町には兵達を泊める為の兵舎があるので騎士団と領兵はそちらに移動して、我々は代官屋敷に向かった。

代官屋敷には代官が待っていた。


「御領主様、お疲れ様でした。

今宵はゆるりとお休み下さい。」


「出迎えご苦労。」


ヴァルグード様、お披露目以来でございます。 この町エピカボスの代官を勤めます。

シェリエーズ・バロレ・フランドルでございます。 エーデルトはしっかり護衛を務めていますでしょうか?」


「はい!エーデルトには大変頑張ってもらっています。 今日は、お世話になります。」


「それは、それは、エーデルト!今後もしっかりヴァルグード様をお守りするのだぞ。」


「父上、心得ております。」


代官屋敷で食事を頂き、客間で父ティモンと一緒に寛いでいると、父ティモンから、


「ベットで休めるのは今日が最後となる。道中の町では兵達を全員宿泊させる宿は無いので、皆で野営することになる。子供のお前には厳しい事だが頑張ってくれ。」


「分かりました。でも、馬車で休めるのですよね。」


「それは勿論だ。 ……そうか!、空間拡張しているからゆっくり休めるな。」


「はい!ですので心配はいりません。それよりもアイテムバックやマジックポーチを作りたいのですが、カバンやポーチを買って来てはくれませんか?」


「それは! 俺の分もあるよな!」


父ティモンは部屋を飛び出し、「エーデルト!」と叫んで居なくなった。

その間に、2mm厚の10cm✕10cmのプレートを「創造」して成型する。

私のインベントリにアクセスするスペースを作る。大きさは10m✕10m✕10mの立方体空間。

インベントリに手を入れ立方体をイメージしながら練気力と神力を混ぜ込みインベントリ内にアイテムバックプレートがアクセス出来る立方体を作り出した。立方体にはアクセス用の魔法陣とアクセスキーになる番地を入力する。

魔法陣は空間の二重丸の中に三角の魔法陣を入力し、番地はA10−005と二重丸の輪間に入力した。これを番地記号を変えて10箇所作成する。

そしてアイテムバックプレートに魔法陣を彫刻針に光線レーザーを流してプレートに二重丸に三角の魔法陣を刻む。

輪間に〝異次元収納〟〝インベントリA10−001〟〝出し入れ自由〟〝登録魔力()〟〝登録者限定〟

〝魔力登録解除(マスター登録者のみ)〟

〝マスター登録()〟〝魔力供給〟と刻む。

プレートの四隅に5mmの穴を開けてリベット打ち出来る様にしておく。

これを10枚作製して、ゴブリンの魔石を取り出して魔石の中にに魔法陣を刻み、魔法陣の輪間に〝魔素吸収〟〝魔力変換〟〝魔力補填〟〝魔力供給〟と刻んでプレートの内輪部分に密着させて合わせそれを持ちながら魔力と神力流し「創造」でプレートと魔石を接着させる。

魔力変換は魔素はそのままでは溜められ無いので魔素を魔力に変換して溜めるために刻んだ。

これで、カバンにリベット打ちをすれば、アイテムバックが完成する。

マジックポーチには5m✕5m✕5mの立体空間で300枚作成した。これもポーチが来たら完成だ。

父ティモンが帰って来ないので、先に寝ることにした。

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