第3話 転生前の講義

ブラフマー様が出ていき、残ったメーティスが、

『私は、智慧神メーティス 貴方の教師になります。

早速ですが、講義を始めますね。

神も魂魄も睡眠や休憩は必要ありませんから、終わるまで止まりませんからね。

〝アカシックレコード〟は宇宙の外側、所謂いわゆる異次元に存在する、知識の集積空間です。

異次元を認知するには神との接触が必須となります。ですから、神の眷属はここで私達、神々に教えを受け、私達、神々は眷属に絆としての印を授けます。

そして神の眷属いわゆる天使、悪魔、獄卒、使い魔等に形作られてその役割に付きます。

形作られる時に神々から受け取った印には〝神力〟が込められている為、その印が〝アカシックレコード〟のアクセス権になります。

イレギュラーはこの印が無くアクセス権を持つに至った場合です。

これは、神々の聖遺物が関係しています。

貴方の場合は〝経文〟〝真言〟がそれに当たります。

貴方の転生する惑星アヴィブロシアには存在しませんから安心して下さい。

〝アカシックレコード〟にはインデックスは無く、文字も様々です。

ですから、全てを読み解けるのは十三天王様方しか出来ません。

神々ですら、自身の専門分野やそれに付随するモノだけとなります。

神の眷属は自分の知り得た言語で所属する神の知り得るモノだけです。

貴方が、アクセスする〝真言〟は日本語とアヴィブロシア言語にしましょう。

その〝真言〟を使うことで〝アカシックレコード〟にアクセス出来ます。

転生する時に私から、アクセス権の印を授けます。

先ずは、〝アカシックレコード〟とアクセスについてはこれで終了します。』

一区切りついた所で、少し疑問に思った事を尋ねてみた。


「創造神様から加護を頂きましたが、これは神の眷属に成ってはいないのですか?」

すると、

『成ってはいません。現に未だ人形ひとがたですが魂魄のままです。

印では現世で受肉しませんから、転生するには魂魄に種子を埋め込まないと受肉しません。ですので貴方を転生させる時に種子に印を刻みそこに加護を吸収させます。

今、加護は魂魄の周りを覆っているだけです。』


其れを聴いた私は、

「分かりました。続けて下さい。」

と次の講義をうながした。

『それでは、アヴィブロシアについてお話ししましょう。

アヴィブロシアの所属しているソンブレロ銀河の中心には魔素を放出している恒星があります。

この影響でアヴィブロシアの生命体には魔素を取り込む魔臓が出来て其れを魔力に変換して様々な魔法が存在します。

そして、様々な物質が魔石化します。

魔物は魔石化した物質の場所に磨素が多く滞留する所から生まれますので、生まれてすぐ魔石を持っています。

精霊もまた磨素によって生まれます。

一時期アヴィブロシアに魔道具を開発した文明が発達しましたが、魔素を放出している恒星の表層で爆発が起こり、大量の魔素がアヴィブロシアに注がれました。

これによって、魔道具は使い物にならなくなり、大量の魔素を浴びて多くの生命体が亡くなってしまいました。

更に、精霊が多くの魔素を浴びたことで、自我を持つ精霊が出て来て、その精霊達が、亡くなった生命体に魔石を埋め込み動かして遊び始めたのです。

此れがアンテッドです。

今ではこの自我を持っている精霊は妖精に進化したモノと大精霊に進化したしたモノと別れています。

恒星の爆発が起きたのは今から1000年前の事です。

今の、アヴィブロシアの文明は貴方が生きていた地球で云えば13世紀〜15世紀ぐらいの文明になるでしょうか。

国は封建国家が主流です。

講義はこんなところでしょうかね。』

まぁ、転生のお約束な世界って事だな。


メーティス様は私の魂魄の状態を見て、

『貴方の魂魄の状態は、自身が内包するオーラこれは地球で言う〝気〟で創造神の加護は〝神力〟になります。魔力とは違うエネルギーですが元は魔素が元素となります。

これを受肉させる種子の深層に押し込める為に種子に神の印を刻みます。

受肉した後は、魔臓に印が内包されますので、魔法を発現させるのはかなり難しいです。

ですので、〝気〟や〝神力〟を介して発現させる魔術を使える様にしましょう。

魔法は魔力だけで発現しますが、魔術は魔力と触媒を使って発現させます。

発現させるキーは〝真言〟日本語にしましょう。

魔素を身体に取り込む訓練をすれば魔臓を成長して魔法も使えるかもしれません。

受肉すると創造神の加護と智慧神の加護が付きます。

受肉した貴方はヒューマンとして生を受けますが、その人生は神格へと階位を上げる修行の場となりますので俺Tueeeだとかハーレム御殿だとかやっちゃったら、階位は下がります。

階位を上げる努力は怠らないように。

そしてアヴィブロシアには努力次第でスキルという特殊技能身に付ける事が出来ます。

今なら、私が与えられるスキルを印に刻みますよ。』


其れを聞いて俺は、

「では、鑑定、収納、転移、剣術が欲しいです。」

と伝えると、メーティス様は困った顔で、

『私が与えられるのは鑑定のみですね。

他のは別の神々の領分になりますので、自力で獲得して下さい。

後は、〝アカシックレコード〟にアクセスするスクリーンウィンドウを付与しましょう。

コレがあれば、自身のステータスや鑑定結果、〝アカシックレコード〟の検索も簡単に出来ます。』

これはかなり嬉しい。


メーティス様は、立ち上がって

『それでは転生の準備に取り掛かりましょう。

貴方は、私の後ろをついて来て下さい。』

と言って歩き出す。

私は、

「はい。」

と答えて、メーティス様の背後からついて行く。

部屋を出て右に廊下を歩いていると右側に階段があり、其れを上がって行く。

4階まで上がると左に曲がり廊下を進む、左手に扉が見えて来てその扉を開けて、部屋に入る。


そこには日焼けサロンにあるタンニングマシンの様な物が鎮座していた。

『それでは、此処に横になるイメージで入ってください。』

タンニングマシンの様な物に横になっている一で静止していると、開いていた口を閉じるようにマシンが閉じられた。


外ではメーティス様が何やら操作しているようだ、そして暫く経つと、内部の上から乳白色のピンポン玉が私に向かってゆっくり落ちてきた。

するとメーティス様が、

『この乳白色の珠が、貴方の受肉させる種子になります。

印を刻んであるので、このまま埋め込みその後転生させます。

この種子を取り込むと意識を失うけど直ぐに転生する魔法陣を発動させるから心配しないで。

それでは良い人生を行ってらしゃい』

その言葉を聞きながら意識を失った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る