転生

第4話 転生

不意に意識が戻ったので、四肢を動かす。

(小さっ、とても小さい手足だなぁ。

こりゃ、赤ちゃんから意識があるパータンかぁ。 立ち上がる迄、羞恥心が酷いなぁ。)

そして視える範囲を観察する。

天井は木組みで出来ており、壁は石積みに漆喰の様な物で出来ていて、所々剥がれている。

窓は木枠に歪んだガラスが嵌っている。

床は見えない。


窓よりの中央にキングサイズのベットがあり、その横に、私が寝かされている木枠のベビーベットが配置されている。

オムツやおくるみは綿の様だ。

そこそこ良い、家庭環境ではありそうだ。

すると、扉がが開いた音がして誰かが入って来たようだ。


女性が2人と小さな男の子と女性に抱っこされた幼児。

その一団が私のベットにやってきた。

男の子と手を繋いでいる女性は腰まである銀髪に碧眼で男の子は金髪の碧眼。

幼児を抱っこしている女性は青髪に紺眼で、幼児は金髪に金眼である。

みんな美男美女で、肉親であれば私の容姿も期待できる!


銀髪の女性が何やら、私に語り掛けてくる

「Γλυκό μου παιδί.」

う〜ん。全く理解できん。

青髪の女性も、

「χαριτωμένος」

赤ん坊なので、理解出来なくても良いのだが、これはなかなかのストレスである。

男の子がピョンピョンその場で飛びながら、

「θέλουν να δουν」

と銀髪の女性に何かを訴えている。

銀髪の女性は男の子を抱っこして、俺の方に近づける。


男の子は俺を見て

「μικρότερος αδελφός」

叫んだ。

それに驚いた私はビックリして泣いてしまった。

すると、銀髪の女性は男の子を降ろして、私を抱き上げて、

「πίνετε γάλα ουίσκι, ουίσκι」

と何かを言うと上着をはだけて、お乳を私の口に充てがってきた。

勘違いではあったが、私はそのまま授乳を受けた。

飲み終えると、ベットに戻されたのでそのまま眠ってしまった。


起きると辺りは薄暗くなっている。

扉の近くに人の気配がする、下半身が粗相をしているので、合図代わりに泣いてみた。

「オギャー。オギャー」

すると青髪の女性がこちらを覗いて、オムツを交換してくれた。

青髪の女性は汚れたオムツを持って部屋を出ていったので、今のうちに何が出来るか試して見ようと思う。


先ずは〝アカシックレコード〟にアクセスできるか試したい。

(検索)

と心の中で呟くと

眼の前の左側にタッチパネルの様なモノが映し出された。

それはキーボードになっていて文字を打てるかやってみると、打ちたい所に、指を合わせてそこを押す仕草をすると中央のやや上に文字が表示された。

(良し、使い方は分かった。

それでは〝アヴィブロシア言語習得〟っと)

〝アヴィブロシア言語をダウンロードしますか?  Y/N〟

(もちろん、〝yes〟だ)

Yを押すと頭頂部をハンマーで叩かれた様な頭痛がはしった。

そして、熱が上がり出して私は、気絶した。


目を醒ますとキーボードとウィンドウはそのままでウィンドウには〝アヴィブロシア言語のダウンロードは終了しました。〟

と表示が映し出されたままだった。

この先には複数の人々が私を覗き込んでいた。

どうやらウィンドウは私にしか視えていない様だ。

直ぐさま、私は、

(終了)

と心の中で唱えると、キーボードもウィンドウも消えた。


修道服を着た中年女性が私の頭に手をかざして、魔法を行使している。

銀髪の女性が、

「目を醒ましたわ!」

とこちらを見て叫んだ。

騎士服を着た金髪に茶眼の男性が

「本当だ!司祭様。神官殿。この子は大丈夫でしょうか?」

すると神官服を着た茶髪茶眼の男性が

「目を醒ませば大丈夫でしょう。

如何ですか?司祭殿」

と尋ねる。


司祭殿と言われたブロンズ髪に茶眼の中年女性は、

「大丈夫とは思いますが、もう一度、治癒魔法を施術しておきましょう。」

【我が手に宿りし癒やしの泉よ。

 患者の苦痛を取り払え〝ヒール〟】

私の頭に再度手が翳されると手から光が私の身体に吸い込まれた。

すると気怠かった身体が落ち着きを取り戻した。


すると神官も、

「赤子は何かあるといけません。」

【邪悪な毒素を一掃し、再び清浄なる肉体へと還らん。〝キュア〟】

と、手を翳して魔法をかけた。

騎士服を着た男性は

「司祭様、神官殿、此の度のご尽力誠にありがとうございました。

応接室にて今回の御礼を御用意しておりますので、そちらに移動を移動をお願い致します。

セバスチャン! ご案内を」


良く考えてみると、今までの会話が理解出来るようになっていた。

言葉は地球のギリシャ語に近い感じ。

騎士服の男性が、

「一度皆も部屋を出る事にしよう。

赤子の〝命名の儀〟について相談もしたい。」

銀髪の女性が

「私は、この子にお乳をあげてから向かいますわ。」

と言って皆が出て行くのを見送ると、私を抱き上げて、授乳させてもらった。

とっても美味しく、いつまでもおっぱいに吸い付いていた。

そして乳首を咥えたまま眠ってしまった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る