第5話 命名の儀
あれから数日が経って、10月のある日、本日は〝命名の儀〟を受ける為に神殿に向かう様だ。
この世界では、親が候補を考えて赤子を祭壇に置いて神に祈りを捧げることで名前が決まるその儀式が〝命名の儀〟
そして、家が伯爵家であることも判明した。
私が、授乳を受けている時に、銀髪の女性と騎士服を着た金髪の男性との話で、〝命名の儀〟の順番を確認する時の中で判明した。
家名はリートゥス
騎士服を着た金髪茶眼の男性が父親で名前は
ティモン
銀髪碧眼の私に、お乳を与えてくれている女性が母親で名前はアリーシア
当家の
青髪紺眼のメイド服を来て、偶にお乳を与えてくれている女性が、乳母で侍女のマリネラ
金髪碧眼の男の子が長男のカリアス
金髪金眼の幼児が長女のソフィア
今、分かっているのはここまで。
乳母のマリネラが光沢のある絹の様な布で私を包む。
そして、包んだ私を母親のアリーシアに渡して移動を開始する。
家から出ると玄関先には馬車が停まっていて、馬車の扉の脇にメイド服着た女性2名とセバスチャンそして、父親のティモンが待っていた。
「来たね。では行きますか。
セバスチャン留守はよろしく。」
セバスチャンは
「畏まりました、お留守はお任せ下さい。」
そして、私を抱いた母親が乗り込む、続けて父親最後に、乳母のマリネラが乗り込んだ。
そして、馬車が動き出す。
馬車の中から外を覗こうとするが抱っこされているので、外の様子が見えづらい。
それでも、僅かではあるが見える風景で、私が住んている建物が塀で囲われている事が分かる。
広葉樹の木々があり何かの実をつけている。
しばらくすると、馬車が停車し、御者が門番らしき兵士と何やら言葉を交わして、門が開く。
門を抜けると塀しか見えない。
またしばらく進んで馬車が停まる。
また門のようで、兵士が手に持つ槍を起てて此方に、目礼している。
門を通過すると道の両脇は石積みの建物が並び、何やらお店の様で開かれた扉の先は、麻袋が積んであるのが見えた。
更に進むと、大きな空き地?広場?になっている。そこを直進している。
周りは土壁の建物がびっしりと並んでいた。
廣場の端まで進んで馬車が減速し、そして停車した。
御者が馬車の扉を開けると、父親が外に出て、次に乳母が最後に母親と抱かれている私が外に出た。
外に出て、直ぐに階段がありそこを上ると装飾された石柱がありその奥に扉の開かれた建物の入口があり、そこに家に来ていた神官とは違う神官がいた。
階段を上がり
「神官長殿、本日は〝命名の儀〟宜しく」
と伝えて、小さな革袋を神官長に渡す。
神官長は、
「承りました。
どうぞ此方に、お進み下さい」
と言って、神殿へと先導していく。
神殿の中に入ると、部屋は円形の広い空間になっており、扉から進行方向の突き当りに3メートル程の大理石の様な石で彫刻された神像が一柱。
その両脇に2メートル超の神像が一柱づつ更に右側に5柱、左側に5柱合計十三柱の神像が配置されていて、中央の神像の前に腰高の祭壇があった。
神官長は祭壇前に着くと、此方に振り返り、
「それでは〝命名の儀〟を執り行います。
赤子を祭壇に寝かせて下さい。
ご両親は祭壇前で
両親は膝をついて神に
それを見届けて、神官長は祭壇に手を付き、
【紡ぎ示す煌めきの神々よ、
我が言霊に呼応する叡智の神々よ、
聖なる祝福を紡ぎ出し、
この者の秘められた真実を解き放て。
〝ステータスオープン〟】
神官長が呪文の様な語りが終了するとウィンドウが立ち上がりステータスが表示された。
※※※※※※※※※※
名前 ヴァルグード
年齢 0歳
種族 ヒューマン
性別 男性
職業
スキル 鑑定 ***** ****
※※※※※※※※※※
すると、いつの間にか10代後半位の神官がやってきて、羊皮紙の様な物に、ステータスを書き写していた。
写し終えると、祭壇に手を付いていた神官長は手を放すとウィンドウが消えた。
そして若い神官から羊皮紙を受け取ると指先を光らせて文字をなぞり始め、ガラスペンの様なモノを持ち、羊皮紙に何やら記入した。
その羊皮紙をクルクル丸めてから、
「お二人共、お立ちください。
〝命名の儀〟は
こちらが、証明書となります。
本日はお疲れ様でした。」
と言って、羊皮紙を父親に渡した。
母親は私を抱き上げ、父親は、
「ありがとうございました。
これにて失礼します。」
と皆で出口に向かって歩き出し、階段を降りて馬車に乗り込んだ。
そして馬車が動き出すと父親が羊皮紙を広げて、
「名前はヴァルグード。
先天スキルが3個も有るじゃないか!
一つは鑑定だが、後の2つは読めなかったか。
まぁ鑑定持ちは貴重だから、それが有るだけでも将来は有望だな!」
それを聞いて、母親は
「ヴァルグード。
愛しの我が子、鑑定持ちだなんて素晴らしいわ。名前はティモンの候補が選ばれちゃったけど、ヴァルちゃん帰ったら皆にお披露目よ。」
そして、無事我が家に辿り着くとセバスチャンが出迎えた。
「お帰りなさいませ、ご主人様。
エントランスに使用人一同集めております。
先ずは、使用人に発表をお願い致します。」
馬車を降りてそれを聞いた父親は、
「分かった」
と言って、建物内に進む、母親と抱っこされた私も後をついて行く。
エントランスを抜けて2階に上がる階段を両親が3段上ると使用人の方に向き直り、
「皆も存じ寄りの〝命名の儀〟は恙無く終了し、我が子の名前はヴァルグードと決まった。
これからも我々共々、皆の忠誠に期待する。
以上だ」
するとセバスチャンが片膝を付き、右手を胸に当て、頭を下げて
「リートゥス伯爵家に忠誠を」
皆も一斉に片膝を付き、右手を胸に当て、頭を下げて
「「「「「「「リートゥス伯爵家に忠誠を」」」」」」」
それを聞きセバスチャンが、
「それでは、各自仕事に戻って下さい。」
そして両親は2階へと階段を上がって行く。
父親は、
「アリーシア、私はこれから子供達に、ヴァルグードの名前を教えてくるよ。
君はどうする。」
「ヴァルグードをベットに戻したら、そちらに向かうわ。」
私は、いつもの部屋に戻り、光沢のある絹の様な布から綿の貫頭衣の様な服に着替えた
私は、お腹が空いたので授乳を急かすように泣いた。
母親は、
「あぁ、お腹が空いたのね。」
とと言って上着を脱ぎ、お乳を飲ませてくれた。
授乳が終わった私を母親はベビーベットに寝かせた。
私は満足し眠った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます