第6話 兄の職授の儀と情報収集
〝命名の儀〟が終了して、1歳になる頃には卒乳し、歩ける様に言葉も〝チチ〟〝ハハ〟に始まり簡単な単語は喋れるようになった。
そしてスキルにはレベルがあるみたいなので、鑑定しまくっているのだが、
「かんてぇ」
と声を出して唱えると、フィルターの様にスクリーンウィンドウが立ち上がり視界に入る全ての物の名前が映し出される。
これには参った。
1つの物に意識を向けながら鑑定をしてみると、その物の名前が映し出される。
しかし名前だけである。
(神様。切実にこのスクリーンウィンドウの取説を私にお与え下さい!
無ければ、せめて設定ボタンの付与をお願い致します。)
神に訴えてみたが、変化は無かった。
〝アカシックレコード〟にアクセスすれば方法が見つかるかも知れないが、言語取得時の激痛と発熱がトラウマとなっており、あれ以来アクセスするのを躊躇っている。
なので毎日ひたすら色々な物を鑑定する日々を送っていた。
相変わらずの日々を送り私は2歳を迎えた。
2歳になると、部屋を与えられた。
部屋はシングルベットと机に椅子、クローゼットにソファがあり広さは25㎡程。
個室なので、色々試せなかった魔法の訓練が出来るようになる。
と心を弾ませていた。
扉をノックする音がして、乳母のマリネラとその後ろには兄カリアスと姉ソフィアが部屋に入って来た。
すると、ソフィアが飛び出して
「ヴァルちゃ~ん」
と私に、突進してきた。
抱き着く前に幾らかは減速していたみたいだが、勢いは止まらず私は尻もちを付いた。
ソフィアは構わず、頬を引っ付けてグリグリしてきた。
カリアスはゆっくり近付いてきて、
「ソフィア、ちょっと離れようか。
これじゃヴァルグードをお話し出来ないよ。」
「そうだったわ。マリネラあれ頂戴。」
「畏まりました。どうぞ」
マリネラは手に持っていた麻袋の一つをソフィアに渡す。
「これ、私からのプレゼント。
私が大事にしていた絵本だよ。」
と言って麻袋から本を出して渡して来た。
カリアスも、マリネラからもう一つの麻袋を受け取り、
「これは、僕からのプレゼント」
麻袋ごと私に渡して来た。
「にいちゃ。ねいちゃ。ありゅがと。」
カリアスから受け取った麻袋を開けてみると、木の人形が入っていた。
「にいちゃ、こりぇにゃ〜に〜」
「これは、動く人形だよ。
今は、魔石が無いから動かないけど、魔石を入れると動くんだ。」
「すぎょい、ありゅがと。」
(ウッドゴーレムって奴か!動かしたい)
ウキウキで、麻袋を探ったが魔石らしきものは、入っていなかった。
ガックリしているとカリアスが
「あぁ~。魔石は父上に用意してもらって。
僕も、魔石は持ってないから。」
プレゼントの受取が終わると、マリネラが
「カリアス様、そろそろ衣装の採寸をするお時間になります。
お部屋に、戻りましょう。
ソフィア様も、奥様の所に向かいましょう。
ヴァルグード様、5歳の〝職授の儀〟までは、このお部屋でお食事していただきます。
ですので、お食事をお持ちするまでお寛ぎ下さい。
それでは失礼致します。」
「僕は、1ヶ月後に〝職授の儀を受けるんだ。
ヴァルグード、またね。」
「ヴァルちゃん、またすぐ会いに来るからね。」
「にいちゃ、ねいちゃ、またね〜。」
ちなみに、両親、兄妹に鑑定してみたが、ステータスは視えず、名前が見えるだけだった。
余談ではあるが何度か、父親に魔石を強請ったが未だ貰えていなかった。
1ヶ月が過ぎ、5月に入って今日は兄カリアスの〝職授の儀〟が行われると云う事で、家は朝から騒々しい。
私と姉ソフィアはお留守番。
姉は私の部屋に入浸り、お昼ゴハンも一緒に頂き、私に、ずっと抱きついて両親や兄が帰って来るまで離れなかった。
自宅建物の1階南側にあるコンサバトリーに、両親、兄姉と私が集合した、家宰のセバスチャンは扉の脇に直立して控えている。
父親のティモンが咳払いをして、
「ゴホン、カリアスが職授の儀で授かった神の祝福は戦いの神アーレス神から職業は
これを成人の儀迄に上級職に上げれるかは、本人次第だが剣術スキルがあるのだから精進すれば、剣聖なんて職業も目指せる。
頑張るのだぞ。」
「はい!、父上精進します。」
母親のアリーシアが、
「カリアスちゃんには誰か指導者を付けないといけないかしら?」
「そうだな、家の騎士団長に打診してみよう。」
とティモンが言うと、アリーシアが
「それが良いわ。
2年後にはソフィアちゃんが職授の儀を受ける
それを聞いて、ティモンは、
「そうだなぁ。魔法使いは需要があるから、魔法ギルドに打診しておこう。
兎に角、カリアス今日は移動で疲れただろう、今日から食堂で一緒に初めての晩餐だから、呼び出す迄、休んでなさい。」
するとアリーシアが、
「ようやく子供と食事を楽しめるのね。
嬉しいわ。」
「報告は以上、皆んな部屋に戻りなさい。」
それを聞いて、各自部屋に戻った。
そして遂に〝アカシックレコード〟のアクセスに覚悟を決めて試みた、
(検索 アヴィブロシア植物一式の名称及び詳細)
(植物の種類は20万3千種類がヒットしました。ダウンロードしますか? Y/N)
(う〜ん、多過ぎる、これは寝込みコースだなぁ。睡眠前に仕切り直すか。
とりあえずNOで。)
夕食を終えて植物の情報を取り入れる。
(植物の情報をダウンロードしますか?Y/N)
(yes)
Yを押すとまた頭頂部をハンマーで叩かれた様な頭痛が
そして熱が上がり私は気絶した。
体を揺すられていると感じ目を開けると、
マリネラが、
「ヴァルグード様、朝食をお持ちしております。
お顔の色が赤いですが、お熱が出ましたか?」
と額に手を当てる。
「熱い!奥様をお呼びして参ります。」
と言って部屋を飛び出した。
スクリーンウィンドウには未だダウンロード中と表記され、頭痛が酷い。
(これは、痛すぎる。気絶したい。)
しばらくするとマリネラとアリーシアが部屋に入って来た。
「ヴァルちゃん、お顔が真っ赤じゃない!
マリネラ、ティモンにお願いして司祭様をお呼びして!戻って来る時に桶と布を持ってきて頂戴。」
「畏まりました。」
返事をしたマリネラはまたすぐ部屋を飛び出した。
私は激しい頭痛の痛みで意識が
(ダウンロードが終了しました。)
終わった様だ。
すると、頭痛がピタッと止まった。
どうせならこのまま次もやってしまうことにする。
(検索 アヴィブロシアに出現する魔物の名称及び詳細)
(基本種族の魔物名称と詳細で宜しいですか?上位種は必要ですか?)
(必要)
(魔物の種類をダウンロードしますか?Y/N)
(yes)
また頭痛が始まり、気絶した。
意識が戻ると、前に治療に来ていた司祭様が両親と話をしていた。
「治癒魔法をかけましたが、余り変わりません。
魔法をかけても直ぐに熱が出てしまいます。
これは、病気の熱ではない無いように感じます。
頭を冷やして様子を診るしかありません。」
それを聞いたアリーシアが
「そんな!!」
「アリーシア、落ち着きなさい。
司祭様、病気ではないのですね。」
「そう感じます。
ですので、熱さえ下がれば元気になるでしょう。」
それを聞いて、両親は安堵の表情をする。
すると、頭の中に音が鳴り
(«ピロン。»痛覚耐性Lv,1を取得しました。)
とスクリーンウィンドウに表示された。
頭痛は収まり、熱っぽさも引いて来たので寝ることにした。
翌朝、お腹が猛烈に空いたので目を醒ますとベットの横には椅子に座りながらベットに、俯せになっているアリーシアがいた。
「はーは、おきて」
とアリーシアを左手で揺さぶる。
アリーシアは直ぐに目を醒まして、
「ヴァルちゃん、お熱は。」
と言って、私の額に手を当てる。
「お熱下がっているわね。
良かった〜。」
「はーは、おなかすいた。」
「そうね、昨日何も口にしていないのだからお腹空くわよね。
今なにか持ってこさせるわ。
マリネラ、食事の用意をお願い。
私は皆に伝えてくるわ。」
「畏まりました。
では私は厨房に向かいます。」
2人はそれぞれ部屋を出て行った。
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