第2話 追放から異世界

扉を潜るとその部屋には

床、天井、正面の壁に魔法陣がえがかれていた。

右の壁にはタッチパネルの様な物が備え付けられている。

それをブラフマー様が指で操作して、私に

「魔法陣の中央に行きなさい。」

と指示してきた。


言われるがままに、魔法陣の中央に移動すると床と天井の魔法陣が光りだした瞬間、ビニールを突き破った様な感覚がしたかと思ったら部屋が真っ暗闇になった。


すぐに自身の魂魄の光で周りが視えて来ると、同じ部屋ではあるが、ブラフマー様が居なくなっていた。

周りをキョロキョロしていると、扉が開かれブラフマー様が入ってきた。

『来ましたね。ではついて来て下さい。』

聴こえてくる音声は全く理解出来ない言葉なのだが、副音声のように日本語が伝わって来て理解が出来る。

ブラフマー様なのに何故?

戸惑いながらもブラフマー様の後について行く。


すると選別門と同じ部屋に辿り着く。

ブラフマー様は1段上がった所で椅子に座っている銀髪でパーマがかかった金眼の人物に合掌しかしずくと

『オパクメ様、イレギュラーの魂魄 大地 智輝を連れて参りました。』

と銀髪、金眼の人物に伝えた。


すると、

『智輝、いろいろ理由が分かっていない様なので、少し説明しましょう。

私は、十三天王が一柱、オパクメと云います。宇宙を管理する一柱です。

此処は異界門。

所属する銀河系から別の銀河系ヘ魂魄や物質を送り出したり受け取ったりする門になります。そして、此処はソンブレロ銀河の異界門です。

十三天王は各銀河に神は各惑星に分体しています。

十三天王は各銀河に一柱づつ存在し円環の理を管理、神は生命体の存在する惑星に存在し惑星の管理をしています。

智輝、貴方は天の川銀河には存在出来なくなった為、このソンブレロ銀河に転送陣で此処に来たという訳です。

この後は、ブラフマーの後について行き、声聞門で〝アカシックレコード〟のアクセス方法や転生する惑星の事を学んで下さい。

ブラフマー、後はお願いします。』

とオパクメ様が言い終えると、


ブラフマー様は、

『畏まりました。』

と立ち上がり、転送陣のある部屋へと戻り始めた。私は、

「オパクメ様、ありがとうございます。

これから宜しくお願い致します。」

と、伝えてそそくさとブラフマー様の後について行く。


転送陣の部屋に入ると既にブラフマー様がタッチパネルを操作しているので、私は床の魔法陣の中央で静止した。

すると正面の魔法陣と床の魔法陣が光りだし、ブラフマー様も魔法陣の中に入ってきた。ブラフマー様は

『これから声聞門に転送しますよ。』

と言っている瞬間に、またビニールを突き破った様な感覚と同時に、転送陣の部屋に辿り着いた。


そして転送陣の部屋を出て先程と同じ様な部屋に辿り着く。

ブラフマー様は1段上がった所で椅子に座っている銀髪で長い髪を団子のように纏めた蒼眼の人物に合掌しかしずくと

『モンジュシュリ様、イレギュラーの魂魄 大地 智輝を連れて参りました。』


するとモンジュシュリ様は、

『智輝の魂魄よ、私は、十三天王のモンジュシュリこの声聞門を統括管理する一柱です。

これからここ声聞門の説明をしましょう。

円環の理には現世で亡くなると

選別門に行き、光の失った魂魄が取り除かれて光を維持した黒と灰色の魂魄がここで三途の川に流され現世に戻ります。

虹の橋を渡った先は審判門で功罪を問われ、穢れに応じて魂魄の階位が変動します。

そしてその階位に応じて、基本は、地獄門、餓鬼門、畜生門、修羅門、人道門、天界門に振り分けられます。

光を失った魂魄は浄土門に行きそこで浄化されますが階位は変わりません、その後、現世に戻るか異界門に行くか分かれます。

天界門を潜った先は天界でそこに声聞門、

清使門、神階門があり、神の眷属と成る魂魄は、ここ声聞門で修行を行います。

神の眷属が住まう場にあるのが清使門

神が住まう場にあるのが神階門です。

十三天王は各門を統括管理しています。

神の眷属より階位の高い者は〝アカシックレコード〟のアクセス権を保有しています。

その使い道等を学ぶ場がここ声聞門です。

学び終えたのちに、転生を行います。

ブラフマー、学舎へ案内を。』

とモンジュシュリ様が言い終えると、

ブラフマー様は、『畏まりました』

と立ち上がり、私に向き直ると

『では、案内します。付いてきなさい。』

とモンジュシュリ様に一礼して左側の通路に向かって歩き出した。


私は、モンジュシュリ様に

「ありがとうございました。」

伝えて、ブラフマー様の後について行った。

長い通路の突き当りに扉が有り、ブラフマー様がその扉を開けると東京駅の丸の内側の様な西洋館風建物があった。


その建物の正面図玄関には向かわず、右側に向かって歩き出し通用口の様な場所の扉を開けてすぐ右側の部屋に入った。


その部屋は執務室の様になっており正面の机に左右は本棚になっており、その本棚には皮で装丁された本が隙間なく並んでいた。


その机で何やら書き物をしているブロンズ髪で碧眼、黒色のローブを着た女性に、ブラフマー様が声をかけた。

『メーティス、作業中に悪いがちょっと教師のお願いをしたい。』

メーティスは顔を上げて、

『これはブラフマー様、久方振りで御座います。

こちらに出向かれてのご依頼とはイレギュラーで御座いますか?

まぁ〜この魂魄、黄金色ですね。

ということは〝アカシックレコード〟のアクセスでございますね。』

と理解した様にメーティスは尋ねる。


ブラフマー様は

『お察しの通りだ、教師お願い出来るか?

転生先はアヴィブロシアと考えている。』

それを聞いてメーティスは少し考えてから、

『承りました。

〝アカシックレコード〟のアクセス方法と転生先の基礎知識ですね。

終了しましたら、私の方で現世に転送させますか? こちらにも、神の眷属達の実習で使用する転送陣が御座いますから、其れを使えばブラフマー様の御手を煩わす事も無いかと思いますが?』


すると、ブラフマー様は

『では、その様に。

智輝よ、ここでお別れとなりますが私の加護を授けておきましょう。

これでオーラが抑えられますから。』

ブラフマー様はそう言うと、こちらに手を翳し銀色の光を浴びせた。

すると私の魂魄の光が徐々に弱くなってきた。

其れをある程度で終えると、

『それでは』

と言って、部屋から出ていった。

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