第47話 アイテムバックの価値

剣を渡した後、すぐ皆んなは自室に戻っていったので私は鞄を受け取り、夜通しで購入来てきたカバンとポーチの底にプレートをリベットで固定した。

これでアイテムバックが完成。

朝起きて、ジョギングで村を廻る途中に井戸を見に行く。

未だ水はあるようだが釣瓶つるべのロープを長くしないと水面に届かなくなるみたいだ、それを昨日、副代官とご意見番は視察していたそうだ。

ジョギングを終わらせて朝食を摂る為、食堂に向かい、メイドに配膳をお願いする。

メイドと入れ違いにお祖父様がその後を副代官オデットが入ってきて着席した。


「ヴァルグードよ、昨日は遅くまで何やら作業をしておったようじゃが、何をしていったんじゃ?」


「アイテムバックを作っておりました。」


「そうか、アイテムバックをのぅ……聞き間違いでもしたか?? アイテムバックを作ったと言ったか?」


「ヴァルグード様、アイテムバックはダンジョンからの産出以外で入手出来る物ではありません。それを作ったとおっしゃいましたか?」


「はい、昨日エーデルトが購入してきた背負い鞄3個と肩掛け鞄6個其れとマジックポーチ2個を仕上げました。」


「今、持っておるのか?」


「部屋に有りますので食事が済んだらお持ちします。」


エーデルも食堂に到着して食事が配膳されて

皆、食事をする。

食事が終わり、部屋に戻ると全てのアイテムバックとマジックポーチを持ち出し食堂に戻るとテーブルの上にアイテムバックとマジックポーチを並べた。


「これらが僕の作ったアイテムバックとマジックポーチです。」


インベントリ内の空間を仕切って収納スペースにしているから時間停止も付与される。


「此れがそうなのか?」


「今は、所有者設定していませんからアイテムバックの機能は作動していません。

お祖父様一つお渡ししますので気に入った鞄を登録してみてください。

カバンの奥にプレートが見えると思いますがそれに手を当て魔力を流し登録と唱えてください。」


お祖父様が肩掛け鞄を一つ選んで、


「わかった、【登録】」

とお祖父様が唱えるとアイテムバックが一瞬光り消える。

「もう一度魔力を流して収納と唱えて下さい。」


「【収納】」


「これで縦横高さ10mのスペース分収納が出来る様になっていると思います。」

お祖父様は帯剣していた剣を腰から外し、アイテムバックに入れた剣がアイテムバックに収納される。


「おおっ!収まった。」


「出すときはアイテムバックに手を入れ取り出すモノをイメージすれば取り出せます。

これはダンジョン産のアイテムバックと変わらないはずです。」


「おおっ!取り出せた。」

お祖父様はアイテムバックから剣を取り出す。

そしてまたアイテムバックに入れる何度も同じ事を繰り返す。

それを見てエーデルトとオデットが

「「私にも下さい」」

「良いよ。」

と言った瞬間に2人共背負い鞄を選び登録して剣を出し入れしていた。

「1000立方メートルということは馬車20台分の荷物の運搬が出来るということですか!

市場に出ているダンジョン産出のアイテムバックは5立方メートルが標準ですから8倍の収納能力ですね。

ダンジョン産出のアイテムバックが2000万ダラですが時間遅延は120分の1です。

時間遅延では無く時間停止が付与されているとなると、最低5000万ダラはしますが容量4倍と時間停止ですから6000万ダラの買い取り価格は間違いないと思われます。」

(6000万ダラというと大金貨6枚か!凄いのだろうなぁ)

それが後、6個あるのだが。

「このマジックポーチは容量は5立方メートル時間停止なんだけど。」

「それも3000万ダラは最低価格ですね。

これらはどれぐらい製作出来ますか?」

「材料が有れば1日15個は出来るかな。

材料は鉄、ゴブリン魔石と市販の革製ポーチが必要。」


「鉄鉱石でも構いませんか?」


「鉄鉱石でもいいよ。」


「でしたら直ぐにご用意いたします。

此方のアイテムバックとマジックポーチを私にお預け頂ければ販売もして参ります。」


「おう!それならば儂は同行して一度ロスラン代官屋敷に戻って状況確認と職方ギルドと冒険者ギルドに交渉しに行ってくるか。」


「私は、これを持って商業ギルドに出向きます。」


「それじゃ、僕とエーデルトはダンジョンで魔石を集めて来ようかな。」


それを聞いたエーデルトが、


「それは良いですね、是非ダンジョンに行きましょう。」


「この間の残留した騎士達に声を掛けて置いてね。」


「畏まりました。」

「副代官達はいつ頃帰って来る?

アイテムバックの売れた利益は6割を税収として村の運営費に当ててね。」


「ありがとうございます。

少し長くなるかもしれません、ダンジョンの件を決着させたいですから。」


「判った。お祖父様は戻ってこれますか?」


「難しいかもしれん。

海や国境で何やらきな臭くなっているから、詳細はオデットに伝えておく。儂も、ダンジョンに行きたいのだがなぁ。」

「戦争ですか?」


「海賊と隣国と辺境伯の小競り合いなのだが、どうも規模が以前より大きくなっていそうで、其れと西側の隣国も動いているみたいなんじゃ。」


「どちらにしても暫くはお会い出来なそうですね、今度は僕からお逢いに向かいます。」


「楽しみにしておるぞ。」


「はい!ではこちらで失礼いたします。

お逢いするまでお元気で!」


「ヴァルも息災でな。」

そう言って食堂でお別れをした。

そうして、部屋に戻りダンジョンに向かうべく準備を始めた。

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