第52話 再びダンジョン探索③
ダンジョンの5階層に降り立つと広場になっており奥に大きな両開きの扉が鎮座していた。もしかしてボス部屋なのかもしれないと思い
「見渡す限り、魔物の存在は無いみたいだから一応1人2時間交代で見張りを置き、残りの者は、仮眠を取って魔力を戻そう。」
そう言って、テントを人数分出し、食事も出して夕食を取り、エーデルト、騎士2人ずつ、そして最後の見張りは私と云う順番を決めて睡眠を取った。
「……ヴァルグード様、申し訳ありません。
ヴァルグード様。」
呼ばれている気配に気付き飛び起きる。
「見張りの交代?」
「申し訳ありませんが、お願い致します。」
「朝食には皆んなを起こすから、それまでゆっくり休んで。」
騎士と入れ違いで見張りを行う。
周りを見渡すが、門扉がある以外は石畳と岩肌の天井と壁、何も無い。
今の所、安全地帯は各階の階段とこの5階層の広場だけ。
やはり結界を作り出す魔道具か魔術が無いとこのダンジョンを探索するのは難しい。
魔石が有るからこれで結界の魔道具を作成しようと思う。
失敗すると行けないのでゴブリンの魔石で試す。
先ず、魔石が小さいので「創造」で平たく伸ばす。
厚みは必要ないので2mm程に伸ばす。補強に神気鉄を5cm角厚み3mmに制作して
神気鉄プレートに彫刻針で魔法陣二重丸に三角を刻んで輪間に〝魔法攻撃無効〟〝物理攻撃無効〟〝精神攻撃無効〟を刻む。
三角の底辺に2行の文字列〝発動キー(結界)3m✕3m✕3mBOX〟〝停止キー(終了)魔力遮断〟と刻む。
次に平たくした魔石を彫刻針を使って「
この結界プレートに魔力と神力を送る。
動作確認のため結界プレートを地面に置き、発動キーの「結界」と唱える。
すると淡い乳白色の箱型結界が作動した。
「〝火球〟」と唱えて結界に放つ
「ボンッ」と音が鳴り火球は消えるが結界はなんとも無かった。
次に「〝風刃〟」と唱えて放つ
「キンッ」と風刃の当たる音は鳴ったが結界に傷は付いていなかった。
停止キー「終了」を唱えると結界が消える。
これで結界の魔道具は完成した。
ゴブリンの魔石で作れることが確認できたので大きい結界が出来るか確認するため、5m角のプレートを作成してゴブリンの魔石を繋いだ所、眩しい光が一瞬光って魔石が粉々になった。
ホーンラビットの魔石も同じ大きさなので除外して、キラービーの魔石で挑戦しようとするが魔法陣の内円よりはみ出すと何の反応もしないので、魔石を平たくしないで半円にして内円からはみ出さない様に繋いだら5m角の結界が出来た。
今度は神気鉄を8cm角厚さ2mmでプレートを作成して10m✕10m高さ5mの結界が出来るプレートを作成して、キラービーの魔石をセットし発動確認をするが魔石が粉々になってしまった。
ブラックキラービーの魔石で挑戦した所、発動した。
壁の端に置いて障害物があった場合はどうなるかと確認したら、結界が押されてプレートごと移動した。
発動時に物質全体が入らないものは排除するようだ。
これでは木々が邪魔をした場合は発動しない事になる。
サイズを考えて製作する。
ゴブリンの魔石で50個目の3m角の結界プレートを作成していたら3人が起きてきた。
「皆んな起きてきたんだね。」
「十分な睡眠が取れましたので、其れとお腹が空きました。」
「そう云えばお腹が空いたね。
朝食にしよう。」
皆でアイテムバックに入っている、パンと、ステーキ、野菜スープで朝食を摂った。
エーデルトが私の作業を見ていたらしく、
「ヴァルグード様は何か作られていたようですが、何を作られて居たのですか?」
「結界の魔道具を作っていたんだ。
この先安全地帯があるかどうか分からないから、今のうちにと思って。」
騎士の一人がびっくりして
「そんな高価な魔道具作れるのですか?」
「高価なのかい?
ゴブリンの魔石で作って見たけど、ちゃんと起動したから値段的には……。あっ、でも神気鉄を使って作ったから高価になちゃうかも。」
それを聞いたもう一人の騎士が、
「結界の魔道具って拳大の魔石で作るから大変高価と聞いています。
拳大の魔石が取れる魔物といえばオーガが有名ですがC級以上冒険者がパーティーで狩る魔物です。ですから結界の魔道具って高価なんです。
その魔石に魔法陣を刻んで作った、結界の魔道具は何でも魔力の補填が出来無いから使い捨てと聞いています。 どのぐらい使えるかは聞いていませんが。」
「魔道具の情報収集も街に行ったら必要だね。」
そんな話をして食事を済ませた。
エーデルトが食事を済ませた我々に向かって、
「テントをしまって、門に突入しましょう。」
皆で食器を片付け、テントをしまって
準備を整えた所で
「準備も出来た事だし、出発しよう。」
「「「おう」」」
そして満を持して門扉を開けた。
門扉を開けると蜘蛛がいた。
「ブラックスパイダー20ダークスパイダー1です。」
蜘蛛を見た瞬間に「〝火壁〟」と唱えてファイヤウォールを発現させた。
「エーデルト、魔物の情報を教えて。」
「ブラックスパイダーは口から糸を出しますが色が黒いので判りづらく糸に触れると麻痺します、前の脚に針があり脚の先端から飛び出して来ます。其れに神経毒が付いていますので、気を付けて下さい。
ダークスパイダーも同じですが、闇属性魔術を使います。良く使ってくるのがシャドウバインドです。影からロープのようなものが飛び出してきます。ブラックスパイダーやダークスパイダーの影には十分気を付けて下さい。発現するタイミングは目が光ります。」
「判った。 魔術が消えるから、戦闘準備。」
「「「畏まりました。」」」
「魔術消えるよ!」
【【火よ 無数の矢となりて 顕現せよファイヤアロー】】
【雷よ 無数の矢となりて 顕現せよサンダーアロー】
「〝火槍〟」
火壁が消えると同時にファイヤアローが左から右へ散弾のように放たれ、サンダーアローも右から中央へばら撒かれた。
私が放った火槍はダークスパイダーに向かって飛びダークスパイダーの右前脚の付け根に刺さる。
ブラックスパイダーは黒糸を飛ばしてくるので私は魔法攻撃がの発現と同時に「〝火壁〟」を唱えて黒糸の攻撃を遮断する。
「糸は厄介だね。」
「でも、ヴァルグード様の魔術発現が早いので助かっています。」
「それじゃ、同じ要領で行くよ、戦闘準備。」
「おう」
「魔術消えるよ!」
【【火よ 無数の矢となりて 顕現せよファイヤアロー】】
【雷よ 無数の矢となりて 顕現せよサンダーアロー】
「〝雷槍〟」
私は魔術を火槍から雷槍に変えた。
残っていた魔物はブラックスパイダーが8匹とダークスパイダーだった。
ファイヤアローは確実にブラックスパイダーを仕留めて行き、サンダーアローも残っていたブラックスパイダーに当たっていたが仕留め切れていない様だった。
雷槍はダークスパイダーの頭部に当たり、頭部が破裂した。
杖を構えて、1匹づつ「
地面に魔石と糸束が20束とシルクのような反物が1巻落ちていた。
ダークスパイダーのいた場所の後ろには扉があった。
「あの魔物達ってあの程度なの?」
「ヴァルグード様、一度しっかりダンジョンについてお話させて頂きます。今は、先に進みましょう。」
「はい。」
私はエーデルトに厳しい顔して言われてしまったので、大人しくついて行った。
扉を開けると大きな部屋になっていて左側に宝箱が3つあり右側に展示台のような物の上に石版が置かれていた。
先ず、宝箱を鑑定する。
(鑑定)
※※※※※※※※
品名:罠無し宝箱
※※※※※※※※
と出た。
残りも鑑定すると罠無し宝箱だったので、
「鑑定したけど、罠無しと出ているから開けてみて。」
「ポーションがいっぱいあります。」
「こっちはアイテムバックとマジックポーチのようです1つずつあります。」
「こちらは金属のインゴットが5本入っていました。」
戦利品を鑑定してみると
中級ライフポーション10本
上級ライフポーション3本
下級マナポーション5本
中級マナポーション2本
肩掛アイテムバック
マジックポーチ
魔鋼インゴット 5本
であった。
その事を伝えて肩掛けのアイテムバックとマジックポーチは騎士2人の戦利品として良いと伝えた。
二人は話し合って分けていた。
ポーションも3人の戦利品として分け合って貰った。
半端は欲しい人がいなかったので私が回収した。
インゴットについては私が頂いた。
そして石版を見に行く。
石版には
〝⑤帰還する者はこの石版に魔力を流せ〟
と書いてあった。
「どうする。」
「「「先に進みましょう。」」」
と3人共まだ帰る気は無い様なので、奥の扉に進む。
扉を開けると階段がありそれを降りた所、直ぐに森になっていた。
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